選手自身がマーケターである
「Adobe Summit 2017」2日目のKeynoteに登壇したパム・エル(Pam El)氏は、北米で展開する男子プロバスケットボールリーグ、NBAのCMOを務めている。
彼女は最初に「NBAはコミッショナーのアダム・シルバーをはじめ、ストーリーテリングの価値、感動でつながることの重要性を理解しています」と語った。
くわえて、NBAは幸運なことに、アスリートとしての才能だけでなく、選手自身がマーケターとして、NBAというブランドを理解しており、エンターテインメント性の高い選手も多いという。ファッションのトレンドを作るような選手も出てきており、パム氏は「NBAがスポーツ、ファッション、エンターテインメントと3つのシーンをミックスしてきました」と様々な領域に影響を与えていることを示唆した。
また、「NBAは社会のバリアを取り除くというところにも貢献しています」とパム氏は語る。たとえば、最初の女性のアシスタントコーチにベッキー・ハモン氏が就任し、スポーツ界での女性進出を成し遂げた。さらには支援活動としてアフリカ大陸でのエキシビジョンゲームを開催するなど、広く活動を行っている。
10億人以上がゲームを視聴 データに見るNBAのファン層とは
続いて、パム氏はNBAのマーケティング活動に関わるトピックを語った。NBAはグローバルに13のオフィスを展開し、215の国や地域で試合や関連番組を放送している。イベントも世界中で年に300以上開催、NBA関連グッズは6大陸の100カ国において、125,000以上の店舗で販売されている。
では、これだけ世界的なプロスポーツリーグであるNBAにはどういったファンがいるのだろうか。この疑問に対し、パム氏は次のように答えた。
「1シーズンの間に、10億人以上が試合を見ています。ソーシャルメディアに関しても、Facebookは3,200万、Twitterは2,400万、Instagramには2,200万のフォロワーがいます。YouTubeの総視聴数は3.9億回を超え、最近ではSnapchatのアカウントなども開設しています。
コアファンに関しては、テレビとPC、スマートフォンを駆使して試合のコンテンツはもちろん、オールスターやドラフト、キャンプに関する情報を閲覧しているので、彼らにオフシーズンはありません(笑)。そしてNBAの試合を見る多くの人たちはバスケットボールのプレーヤーであり、フィットネスにも関心が高いことがわかっています」(パム氏)
パム氏はその他にも、アメリカの放送ネットワークABCが放送した2016年のNBAファイナルの第7戦の視聴率が同ネットワークのNBA中継史上最高を記録し、NBAのオンラインストアでも大きな売り上げになったことを明らかにした。それだけNBAが多くの人とエンゲージメントを築いているのだ。