叫ばれる「透明性」「信頼性」の意味は?

なぜ昨今、「透明性」や「信頼性」といった言葉がバズワード化し注目されているのでしょうか。
デジタル広告に対する不信感やそれを煽るニュースは、決して今に始まったことではありません。ビューアビリティをはじめとするアドベリフィケーションは2011年から2012年にかけてその必要性が活発に議論されましたし、同領域を専門とする国内外のテクノロジーベンダーの存在も決して目新しいものではありませんでした。
ではなぜ、改めて今クローズアップされるのでしょうか。ここには二つの理由があると考えられます。
- 問題が改めて表面化し始めたここ数ヶ月より以前からデジタル広告に対する不信があった
- テレビ広告予算と並ぶ米国にはおよばないものの、国内のデジタル広告予算は成長の一途を辿っている
筆者はいろいろな方々とお話をするなかで、ある広告主から率直な疑問を耳にしました。
「CTRやCPCがどれだけ良くなったかとか、そういうデータを見せられるが、正直、デジタル広告をやっても売上に影響がない気がするので辞めることも考えています」
検索連動型広告の場合、目的意識を持ったユーザーが行動を起こし、広告を認識することにより当初の目的である「クリック」という行動を起こします。合理的で無駄のない、非常に効果的な広告システムです。
一方で、ディスプレイ広告や動画広告、ソーシャル広告の場合、何か他の行動をしようとしているユーザーの意識の範囲内に(もしくは完全に画面そのものを乗っ取り)広告を出し、態度変容を促します。
まったく別の行動をとっているユーザーに受動的なメッセージを投げかけるという点では、テレビCMや屋外広告などのトラディッショナルな広告に似ています。これらの広告に共通する評価基準は、当たり前かもしれませんが「クリック」ではありません。
クリック、さらには料金が発生しないコンバージョン(資料請求や会員登録など)はボットでも安易に偽装することができます。クリックに至っては、人間よりもボットからの(クリックの)方が多いことや、クリックはしないが購入はするユーザーも多く存在し、真のキャンペーンの評価基準として妥当ではないという意見が国外で浸透しつつあります。
では何が評価基準なのか? ブランド毀損や不正インプレッションなどという問題は最低限除去する必要がある前提に過ぎず、「見られることのない広告に価値はない」とはいえ、単純に「見られただけ」でも価値につながらないため、ビューアビリティさえもあくまで前提に過ぎません。
問題となる要素を明確にした上でデジタル広告の価値を証明することが何よりも大切なことなのです。それはすなわち、広告としての価値、売り上げやブランド認知度への貢献です。これらを正確に把握するのは非常に困難です。しかし、不可能ではありません。叫ばれる「透明性」「信頼性」の意味するところは、ここに集約されていると考えます。
以上が「透明性」や「検証」がなぜ今必要とされる現状に関する弊社の見解になります。次回からは、今後のデジタル広告における適切なKPIをより明確にしながら、改善につながる具体的なアクションについてご紹介していきます。