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ナイアンティックの仕掛け人が明かす『ポケモン GO』世界的大ヒットの舞台裏

「共有性」と「共通性」がヒットの鍵

菅野:では、今後考えているマーケティング活動としてはどんなことがありますか?

須賀:そうですね、みんなが一緒に楽しめることをやっていきたいと思っています。『ポケモン GO』がなぜ爆発的に流行ったのか分析してみると、もちろんポケモンが20年続く日本が誇る素晴らしいコンテンツであることが最大の理由ではありますが、それだけではない。

 あれだけのヒットの理由は、「共有性」と「共通性」という二つのキーワードに集約されると思うんです。『ポケモン GO』の仕組みとして、遊んだ人がこんなところにポケモンいた! と写真を非常に共有しやすい。

 そして、同じ場所にいけば同じポケモンがいるという、みんなが同じ体験をできるという共通性があり、思い出深い体験になるものだったということです。今年中にはそういった『ポケモン GO』の良さをより強化するような施策、イベントをやっていきたいと思っています。

菅野:共有性と共通性をテーマとして、マーケティング活動を通じてこれからゲームを盛り上げていくということですね。

須賀:はい。そもそも我々のマーケティングって何なんだろうと言ったときに、マーケティングがマーケティングのために単体で動くのではなく、マーケティングの活動がプロダクト体験の一環になっていることが大切なことだと思っています。

 なのでプロダクトの一部のメッセージとしてのマーケティング活動というのが重要だと思っていますし、今後もキモになっていくと思います。

新しい場所に人々を連れて行けるO2Oプラットフォームとして

菅野:最後の質問です。『ポケモン GO』は企業ブランドとのコラボレーションも行っています。ある意味ではマーケティングプラットフォームでもあるわけですが、この側面としてはどのような取り組みを行っていくのですか?

須賀:ナイアンティックの製品というのは、O2O (Online to Offline) を成功させているプラットフォームだと思っています。『ポケモン GO』や『Ingress』をプレイしているときに、今まで行ったことのない場所にたどり着いてしまったこと、ポケモンを探したり、ポータルを追ったりして、今まで入ったことのない道に入ったことが皆さんあると思うんです。

 これって実はかなりすごいことで、僕を含めて人々はいつもの通勤の途中で一本横の道路に何があるかを知らないことが多いですよね。ナイアンティックのプラットフォームというのは、近くにある新しいもの、今まで知らなかったものを再発見させてくれるという価値を持っていると思っています。

菅野:今マクドナルドやローソンなどと結んでいるパートナーシップは、おそらく他にも手を挙げている企業は多いと思いますが、どういう基準でO2Oプラットフォームとしてのナイアンティックの製品を活用できるんですか?

須賀:基本的なモデルとして、CPV(Cost Per Visit)と呼んでいますが、その地点にいかに人を送り込んだかによってスポンサー料を払っていただきます。このリアルワールドゲームというコンセプト、人をもっと外に出したいというビジョンに共鳴してていただける方々とパートナーシップを組んでいます。

 課金だけに頼りたくないという弊社の強い気持ちの表れでもありますね。より多角的な収益を求めることでゲームを長く楽しんでいただきたいということです。

菅野:CPVのプログラムでのパートナーは今何社くらいいるんですか?

須賀:基本的に1業種1社と組んでいて、『Ingress』で5社、『ポケモン GO』で6社ですね 。今、他の会社とも継続して話をしています。

菅野:CPVの成功事例を教えていただけますか?

須賀:たとえば『Ingress』と『ポケモン GO』でパートナーシップを結んでいる伊藤園のキャンペーンは非常にうまくいっています。まず災害対応の自動販売機(大規模災害で停電となった際に飲料の提供が可能な自動販売機)をポータルにしていて、ポケストップなどにしています。

 O2Oには二つの意味があると思っていまして、一つはその場に企業の製品があるということを認知させるブランディング、もう一つはその場に行くことによって一個ファネルが縮まるので購入率が高まるというリアルなコンバージョンですね。

 まずブランディングとして、自分がプレイしているゲーム内にそのブランドが存在していることは、ブランドをより身近に感じることにつながります。調査結果としても『Ingress』プレーヤーはスポンサーのブランドに対する好感度が非常に高くなっていることがかなり強い数値で出ています。

 またコンバージョン施策として、伊藤園は普段から自動販売機をポータルにしており、4半期に1回、「伊藤園の自販機で購入すると『Ingress』のグッズがもらえるよ、ゲーム内アイテムがもらえるよ」というキャンペーンを行っています。位置情報とキャンペーンの組み合わせは非常に効果が高いです。さらにコミュニティに対して密にコミュニケーションを取ることでエンゲージメントがより深くなっていって一人当たりの購入量も上がっていく結果になっています。

菅野:なるほど。非常に充実したお話を聞かせていただき、ありがとうございました。今年は『ポケモン GO』でもたくさんのアップデートがあるということなので、それも楽しみにしています。

転載元

この連載は、モバイルでイノベーションを起こす「人」と「仕事の舞台裏」にスポットライトを当てるMOBILE PEOPLEの記事を再編集して掲載しています。

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この記事の著者

ファイブ株式会社 菅野 圭介(カンノ ケイスケ)

2008年にGoogle Japanに新卒一期として入社。買収後のAdMobの日本オペレーションの立ち上げ、YouTube広告製品等のプロダクトマーケティング・収益化・ビデオクリエイティブエコシステムの拡大を担当。2014年にFIVEを設立。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/05/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/26407

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