真の広告効果の最適化が必要なタイミング
デジタル広告予算が増大するのに比例し、これまで以上に広告本来の効果が求められています。つまり広告を配信することで、商品の売り上げ(コンバージョン)やブランド認知度の上昇につながったかどうかという、クリックなどデジタル特有の指標を超えた広告本来の役割が重要になっています。
弊社はデジタル広告におけるビューアビリティやブランドセーフティ、不正インプレッションといった「アドベリフィケーション」のデータを扱うベンダーです。
一方でそれら指標の計測はあくまでも前提に過ぎず、データを使った広告キャンペーンの改善と真の広告効果の分析が最重要課題であると常々考えています。
そのためには単純なビューアビリティなどの個々の指標の計測と向上だけではなく、様々な指標を包括的に活用した真の広告効果の最適化が必要になります。
「ビューアビリティ」から「閲覧時間・回数」へのシフト
広告が正しく見られていることにより、コンバージョンやブランド認知度などに効果があることは実際のキャンペーンの検証結果からも立証されています。しかし、ここで重要なのは「ただ見られている」だけではなく、「どのように」見られているかです。
弊社とIPG Mediabrands社が2015年に行った広告ビューアビリティと効果の検証結果によると、メディア調査会社の監査や認定審査を行なう業界団体である、米Media Rating Council(MRC)基準である「広告クリエイティブの50%が1秒以上表示」されていたか否かを、それぞれ基準以上・以下で比べた結果、広告の想起率は以下の通りになりました。
左の表示時間の場合、MRC基準以下である「広告閲覧1秒以下」の想起率が「1%」だったのに対し、MRC基準の「広告閲覧1秒」の想起率は「3%」に留まっています。
3倍とはいえあまり変化がないのが現実です。その反面「4秒」、「7秒」の想起率は飛躍的に上昇し、単純に「(1秒)見られた」ことより、より長く、しっかりと見られたことにより効果が増大することがわかります。
右の表示面積においてはMRC基準の「50%」がそれ以下よりも若干想起率が低くなっていますが、基準を超える75%、100%に限って見ると、想起率も上昇しています。
では閲覧時間と表示面積両方を掛け合わせた場合、想起率にどのような効果があるか? 下記の表を見てみましょう。
一つ前の図では閲覧面積に関しても基準以上の場合、効果が増大しているように見えますが、上記のように閲覧時間も掛け合わせた場合、「1秒」もしくはそれ以下では閲覧面積の大小に関わらず、想起率には直接的な影響は少ないことがわかります。
その一方で、閲覧時間が「4秒」、「7秒」と長くなるにつれ閲覧面積による想起率への効果も如実に表れてきます。