2017年6月8日 エクスペリアンジャパン株式会社クロスチャネルマーケティング事業は、チーターデジタル株式会社に社名が変わりました。リリースもご覧ください。
「オムニチャネル」の内容・質は変化している
ECの浸透やSNSの台頭により、「多様化する顧客チャネルに対応しよう」といわれ続けて10年近く経つ。全国展開している消費財メーカーや流通・小売業などは、ECサイトやSNSアカウントを持っていない方が少ないくらいだろう。
かつて「多様な顧客チャネルに対応する」といえば「新しいチャネルを開くこと」と同義だったが、いまや企業の関心は「多様に存在するチャネルで、効果的なコミュニケーションを取るにはどうするべきか」というテーマに移ってきている。
様々なチャネルで最適な顧客コミュニケーションを実現するにはどうすれば良いか。こうした課題に悩む企業に対し、チーターデジタル(旧 エクスペリアンジャパン) クロスチャネルマーケティング部部長 遠藤光一氏は「第一に、今の消費者を明確にしないといけません」と語る。
遠藤氏が在籍するチーターデジタルは、メール配信システム(MailPublisher)やマーケティングオートメーションツール(CCMP)の提供をはじめ、それらのプラットフォームの導入/運用支援や、デジタルコミュニケーションをクライアント企業と共に作り上げるプロフェッショナルチームの提供をしてきた。
こうしたBtoC企業を対象としたマーケティング支援サービス事業を中心に、ECが現れたデジタルチャネルの黎明期から、SNSが普及・浸透した現在に至るまで一貫して企業と顧客の関係構築やコミュニケーション設計を支援してきたスペシャリスト企業だ。
遠藤氏は、同社のMAツール「Cross-Channel Marketing Platform」(以下、CCMP)の営業責任者であり、流通小売やサービス企業などを中心にマーケティングを支援してきた実績を持つ。こうした経験の中で、「現在企業が抱えているオムニチャネルのコミュニケーション戦略の課題と、その解決に必要な施策トレンドが見えてきた」(遠藤氏)という。
「消費者のオムニチャネル化」とは何か
いまや消費者を取り巻く環境は大きく進化して、単なる「チャネルの多様化」という表現では捉えきれなくなっている。販売チャネルひとつ取っても、リアル店舗やEC、通販など様々だ。またコミュニケーションチャネルも、かつてのような店舗やコールセンターだけにとどまらず、LINEやFacebook、TwitterなどのSNSが主流となっている。
そしてこれらのチャネルに接するデバイスも、PCやタブレット、スマートフォンなど多種多様だ。遠藤氏は「今の消費者は、これらの多様なタッチポイントを自由に行き来して様々な顧客体験を重ねています」と語る。
「認知」「検討」「購入」という購買プロセスになぞらえて、実際に自分の身に置き換えてみるとわかりやすい。たとえば、スマートフォンに新商品紹介のメルマガが届く。そのメールを読んで商品に興味を持ったら、「実際に週末に店舗に行ってどんな商品か実物を見てみよう」と考える。そして店舗に行き、気に入ったらその場で購入するか、もしくはECサイトで購入する。
「このプロセスの間、消費者は『異なるチャネル』ということを意識しません。当たり前のようにシームレスに行き来します。消費者はオンライン・オフラインに関わらず、同じサービスレベルでシームレスに体験することを求めています。これが『消費者のオムニチャネル化』です」(遠藤氏)
この「異なるチャネルでシームレスに一貫した体験を求めている」という消費者に対し、企業は二つの意味で消費者に“不適切な”コミュニケーションを強いていると遠藤氏は指摘する。
チーターデジタルは、7月13日(木)にベルサール半蔵門にてMAの【活用最前線】を紹介する「Marketing Forward 2017 Summer」を開催します。MAの「導入」・「運用」をテーマに、同社のMA『CCMP』を導入している事業会社が登壇し、導入経緯、運用方法、実施施策、今後の展望にいたるまで、実際の現場の視点に基づいて語ります。申込・詳細はこちら
消費者離れを招く“不適切な”コミュニケーション
二つの“不適切な”コミュニケーションとは何か。
第一に挙げられるのは、各チャネルが個別に消費者とコミュニケーションを取ろうとする傾向だ。たとえば、「まったく同一のキャンペーン通知を、メール、LINE、SNSで同一の顧客に送付する」という失敗パターンがある。様々な顧客チャネルに対応し、接点を増やす試みは良いのだが、肝心の顧客のデモグラフィックデータや行動データを把握していないために、複数チャネルで同じ内容のメッセージを同じタイミングで立て続けに送ってしまうのだ。
チーターデジタルが毎年行っている「メール&クロスチャネルユーザー動向調査」によると、「複数チャネル登録をしていることにストレスを感じたことはどの程度あるか?」という問いに対して、31.7%のユーザーが「頻繁にある、またはたまにある」と回答したという。
しかもこの中の4分の1のユーザーが、「頻繁に送られてくるメッセージがストレスになり、企業との関係を絶った」と答えているそうだ。ユーザーとの接点を増やしたことが、逆に離反の原因になるケースといえる。
第二に、オンライン重視のコミュニケーションにより、リアルの場で販売機会を逸しているケースがある。遠藤氏は「オンラインは行動履歴や購買履歴など様々なデータを取りやすいので、レコメンドを送りやすく、顧客の反応も良いという大きな成果をもたらします。その一方で、オフラインのコミュニケーションがおろそかになり、顧客を失望させるケースも増えています」と指摘する。
確かに、オンラインで購入したお気に入りのアイテムと合う服を買いに店舗に行ったのに、すでに購入済みのアイテムを勧められたり、興味のないアイテムを紹介されたりしても購買には結びつかない。こうしたオンライン・オフライン間の情報のギャップが、コミュニケーション上の課題となっているわけだ。
MAツールで顧客コミュニケーションを改善できる理由
どうすればこれらの課題を解決できるのか。遠藤氏が解決策として挙げるのが、MAツールの活用だ。その理由は二つある。
ひとつは、顧客が求めるメッセージを適切なタイミングとコンテンツで届けること。これはコミュニケーションのありかたとしては当然のことかもしれないが、チャネルが多様化した現在、「認知・検討・購買」というステージの中で顧客がどのような状態にあるのか把握することは非常に難しい。
そこで、MAツールを用いて、顧客の購買履歴や行動履歴、属性情報を一元管理することに加え、メッセージに対する反応履歴を見ながら最適なコミュニケーションを探っていくことで、顧客との関係性を強化できる。
もうひとつが、オンラインとオフラインのデータを連係してコミュニケーションに活用できることだ。「顧客は、オンライン・オフラインに関係なく、あらゆる場面や接点においてシームレスに同じサービスが受けられることを無意識のうちに求めています。そこで、オンラインとオフラインで分断されがちなデータをMAツールで統合することで、顧客一人ひとりに応じた適切なコミュニケーションを設計できます」と遠藤氏は語る。そして、実際にMAツールを活用し、コミュニケーションを最適化できた事例もあるという。
チーターデジタルは、7月13日(木)にベルサール半蔵門にてMAの【活用最前線】を紹介する「Marketing Forward 2017 Summer」を開催します。MAの「導入」・「運用」をテーマに、同社のMA『CCMP』を導入している事業会社が登壇し、導入経緯、運用方法、実施施策、今後の展望にいたるまで、実際の現場の視点に基づいて語ります。申込・詳細はこちら
なぜ、シンプルなログイン促進メールが効果をあげたのか?
遠藤氏が語る「顧客が求める情報を適切なタイミングで届ける」という取り組みで成果を上げているのが、とある家電専門店企業だ。
この家電専門店は、ECサイトとリアル店舗の二つの販売チャネルを持っているという。最大の強みは、会員向けに行っている手厚い保証やアフターサポートのサービスだ。会員は「マイページ」にログインすると、自分の保有ポイントを確認することや、購入した商品の修理サービスなどを申し込むことができる。
こうした中、課題となったのは、会員が受けられる便利なサービスを認知・理解してもらうことだった。具体的には「マイページ」の認知度を上げること。だが、購入した商品の保証サポートの必要性を感じていない時にアピールしても、顧客にとっては不要な情報になるだけだし、逆にサポートや修理が必要な顧客に、サービスの存在が知られていないのならせっかくの強みも無駄になってしまう。
そこでこの家電専門店は、保証期間が残り少なくなった顧客に対し、保証期間終了間近の通知メールを送ることにした。その文面の中に、会員用のマイページに誘導するURLを挿入し、ログインするように促したという。これにより、マイページの認知度が上がり、ログインやサポートサービスに申し込む顧客が増えたという。
この会社が行っていることは非常にシンプルで、「MAツールのCCMPに購買履歴や商品の保証期間データを入れ、保証期間が残りわずかになった顧客を抽出してメールを送るというものです」と遠藤氏は説明する。「こういう場合、多くの企業は『直近でログインしていない顧客』を抽出してログインを促すメールを送ることが多いのですが、この家電専門店では『保証が必要になる顧客』を抽出することで大きな成果につながりました」(遠藤氏)
もともと保証期間通知メールの開封率は、非常に高い。なぜならそれが「顧客が知りたい情報」だからだ。この情報に、顧客が「便利だ」と感じるサービス内容の案内を追加することで、より大きな効果を挙げることができるという。
遠藤氏は「企業目線で考えれば、こうした開封率が高いメールにクーポンを付けて販売促進を目指すという方向がありますが、顧客と長く付き合い続けることを考えれば、クーポンによる短期的な施策は決して得策ではありません。自社を好きになってもらうため、提供しているサービス内容を効果的なタイミングで伝えることで、良い関係を構築できるのです」と説明する。
店舗での「会員登録」体験に革新をもたらしたアパレル企業
もうひとつ「顧客のオンラインとオフラインの情報を連携させたコミュニケーション」を実現しているのが大手総合アパレル企業だ。
このアパレル企業は、店舗の売り上げが大きいという特徴があった。そんな中での課題は、売上比率が大きい店舗の顧客をECへ送客することで、より売り上げ拡大を目指すことだった。これを実現するため、「店舗において自社会員の登録を促すこと」と、「店舗での購買データをECへの送客に活用すること」という二つの目標を掲げたという。
だが、アパレル店舗で顧客が積極的に会員登録をすることはほとんどない。住所や氏名を記入する煩わしさがある上、「面倒な案内通知が増えるのは避けたい」という気持ちがあるからだ。
これを解決するため、このアパレル企業が考えたのはLINE ビジネスコネクトとCCMPを活用することだった。まず店舗で買い物をしたお客様がレジにくると、クーポン発行などの特典について説明し、LINEでの ”友だち追加” を勧め、クーポン付きのデジタル会員証をLINEの画面上に発行する。レジでクーポン画面のバーコードをスキャンすると、店舗で顧客のLINE IDと購買履歴を取得することができ、それらのデータをCCMPに蓄積する。こうすることで、リアル店舗での購買履歴をデジタルと連携できるわけだ。このデータを活用し、ECへのスムーズな送客を実現したという。
「このアパレル企業では、店舗で購入をした会員に向け、CCMPを使って一時間後に購入明細と購入した商品を基にお勧めアイテムを知らせるレコメンドメールを配信しています。これにより、普段ECを活用していない顧客に向けても、直前に購入した商品に合うアイテムを勧めることによって、ECでの購買を促す効果が得られました」(遠藤氏)
信頼性の高いコミュニケーションを実現するには、配信性能が重要
顧客が求める情報を、適切なタイミングと適切なコンテンツで届けることや、オンライン/オフラインのシームレスな連携は、決して目新しい施策ではない。だが、これを実現できている企業は、実はそれほど多くない。
特に、「適切なタイミングで顧客に確実にメッセージを届ける」という観点からすると、大量の顧客を抱えていればいるほど、配信エラーが起こりやすくサービスレベルが維持しにくいという。なぜなら、一般的なMAツールはそもそも、詳細なセグメントに抽出された会員に対してメッセージを送ることを目的に設計されており、一度に大量の会員に意図したタイミングでメッセージ送信ができるMAは少ないからだ。
これに対しCCMPの場合、最大で1時間あたり600万通の配信性能を保証するというサービス品質基準を適用しており、信頼性の高いコミュニケーションが実現できるという。
遠藤氏は「チーターデジタルでは、MAツールの導入から構築、その後の運用に至るまで様々なサービスをワンストップで提供しており、国内で多数の実績があります。こうした知見をもって、顧客コミュニケーションに悩む企業の課題を解決したいと考えています」と語り、講演を締めくくった。
チーターデジタルは、7月13日(木)にベルサール半蔵門にてMAの【活用最前線】を紹介する「Marketing Forward 2017 Summer」を開催します。MAの「導入」・「運用」をテーマに、同社のMA『CCMP』を導入している事業会社が登壇し、導入経緯、運用方法、実施施策、今後の展望にいたるまで、実際の現場の視点に基づいて語ります。申込・詳細はこちら