「売れる」広告予測の精度は75%
ところで、視聴者の感情と実際の行動(購買)にはどのような関連性があるのだろうか。リアルアイズは大手食品メーカーのマース・インコーポレイテッド(以下、マース)と共同で、感情測定により売り上げアップ(またはダウン)につながる動画を見極めることができるかどうかを調査した。
調査では4種の商品カテゴリーにおける149の動画について、6ヵ国2万2,300人の視聴者を対象にリアルアイズの感情測定を実施。これをマースの売り上げデータベースと照らし合わせ、感情パフォーマンスが売り上げに及ぼす影響を見た。この結果、視聴者の感情と購買の間には相関関係が見られ、すべての地域・商品カテゴリーにおいて、感情の測定により売り上げアップ(またはダウン)につながる広告を75%の精度で見極められることが判明した。
視聴者を引き付ける動画はどっち?ハイネケンのケーススタディ
実際にリアルアイズの感情測定サービスを利用したケースを見てみよう。オランダの大手ビールメーカー、ハイネケンは「Dropped(落とされる)」という一連の動画シリーズについて、2分間のエピソード動画と30秒のトレーラー(エピソード動画の要約版)のうち、どちらがよりターゲット視聴者を惹きつけるかを調査した。
この動画シリーズは、都会に暮らす一般人が目隠しをしたまま海外の見知らぬ土地にドロップされ、厳しい環境の中、慣れない交通手段で冒険一杯の旅を経験するというもの。調査では11のエピソードについて、アメリカ、スペイン、オーストラリアで4,200人の視聴者から1週間以内に感情フィードバックを収集した。
モロッコバージョンのエピソード動画。約2分の動画で、サバイバル感満載のストーリーが繰り広げられている。トレーラーはこの動画をより短く、30秒に要約したもの。
この結果、30秒のトレーラーよりも2分間のエピソード動画の方が視聴者の感情へのインパクトが強いことが判明した。リアルアイズのシステムがはじき出したスコアは、トレーラーが「5」、エピソード動画が「7」。視聴者は、この動画シリーズの「物語」に惹きつけられたのだ。ハイネケンはこの結果を受け、トレーラーへのメディア投資を削減する一方で、エピソード動画のプロモーションを強化。これにより、エピソード動画の再生回数はトレーラーの2倍、ソーシャルメディア上のアクションは3倍に拡大した。