視聴者の反応は地域ごとに異なるのか?LGのケーススタディ
一方、韓国の家電メーカーLGエレクトロニクス(以下、LG)は、IPSモニターのキャンペーンについて、視聴者の反応を事前調査し、結果的に大成功を収めた。「So Real It’s Scary(リアルすぎて怖い)」と銘打ったこのキャンペーンでは、IPSモニターを男子トイレに設置。彼らが用を足すときにちょうど目線にあるモニターにセクシーな女性達が現れ、まるで本当に彼女たちに見られているかのような気分にさせるのだ。

調査ではイギリスで300人、アメリカで300人を48時間以内にモニター。視聴者の反応はどうか、地域ごとに反応は違うのかを調べた。この結果、動画の評価は非常に良好で、視聴者は初めに「困惑」した後、継続的に「幸福感」が増し、ピークで終わるという感情パフォーマンスが見られた。地域差は見られず、どちらのマーケットでも好評だったため、同キャンペーンは大西洋をまたいで同時リリースされた。最終的にこの動画は1,000万回再生され、110万回のソーシャル・アクションにつながった。
音声と言葉の分析で、より精度の高い感情分析を目指す
リアルアイズは2007年、オックスフォード大学で3人の技術者により設立された。現在のクライアントはマース、イーベイ、マーケットキャストを含むトップブランドメーカーや広告代理店、調査会社、コンテンツ制作会社など。
ソーシャルメディアでの視聴者の反応がマーケティングにおける重要性を増す中、人間の表情から感情を読み取り分析する同社のサービスは、今後も需要が高まることが予想される。この技術は他の分野への応用も期待されるが、現在のところリアルアイズは動画コンテンツの感情測定に注力する方針。同社広報担当のナタリア・クズネツォヴァ・リース氏は、「まずはより多くの企業でこの感情測定をマーケティングに活用してほしい」とコメントしている。
現在は顔の表情だけではなく、声や言葉を分析する研究が進められているという。感情を測る要素が加わることで、より包括的で精度の高い感情分析が期待される。