本国審査をクリアする高いクオリティが必須
MZ:そのあたりは、今回の映画のプロモーションの課題でもあったわけですね。
T:はい。そもそも、どんな作品であっても映画業界のクリエイティブというものは大切な資産であり、その資産に加工を施すこと自体大きなチャレンジとなってしまいます。特に、『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイ監督は映像に強いこだわりがあることで有名で、そのハードルはさらに高くなってしまいます。
MZ:でも今回、けっこう映像にハサミを入れられてますよね……?
T:そうですね(笑)。ただ、本国に対して、日本でもこんなおもしろいことをやっているんだというアピールも込めて、当社の方から前のめりになって提案させていただきました。
新作映画はプロモーションのタイミングも限られるので、そこもチャレンジングではありましたが、だからこそ映像にギミック加工を施してもアプルーバルが通るくらい、クオリティの高いものに仕上げる必要があったんです。
今回タッグを組むにあたって、popInさんの過去の事例のクオリティや広告としてのパフォーマンスを見せてもらい、きっとその点をクリアできると判断しました。私自身は動画のディレクターではないので、具体的な案は金谷さんから多数いただけたのがありがたかったです。
MZ:それで、実際に本国のチェックはどうだったんでしょうか?
T:正直いくつか指摘は入りましたが、本国からお褒めの言葉をいただいたものもありました! 日本でもここまでやれるということを示したい気持ちがずっとあったので、やり抜けて良かったです。
金谷:むしろ、本編の何分あたりの映像を使っているのか教えてほしいといわれて、ソースを出しました。もし向こうでも宣伝に活用する考えなら、光栄ですね。
固定ファンの熱量をいかに上げられるか
MZ:popInは配信ネットワークに強みがあるイメージが大きいのですが、制作にも力を入れているんですね。
金谷:主力事業は確かに配信ネットワークですが、我々はメディアとも向き合っているので、下手な広告は流せないといつも思っています。クオリティが低いと広告主の目標を達成できないだけでなく、それを流すメディアにも失礼になってしまうので、実力のある映像クリエイターをそろえています。
彼らはそもそも映画好きなので、マイケル・ベイ監督の映像を自分で触れるなんて夢のようだと、今回は本当に喜んでいましたね。
MZ:そうなんですね。配信について、先ほど本作のメインターゲット層向けの媒体に絞ったというお話がありましたが、今回のターゲットはどう捉えているのですか?
T:もう10年続いているシリーズという事や、日本のアニメや玩具からのファンである30~40代男性の固定ファンがある程度います。ただ、同時期に封切りとなるライバル作品も似たようなファン層を抱えているので、今回はプロモーション全体としても「固定ファンの熱量をいかに上げられるか」という部分がテーマになりました。
popInさんの動画広告でも同様に、そのメインターゲット層である30~40代男性ファンに向けて、いかにアテンションを獲得しエンゲージメントを高められるかという観点でみています。popInさんの動画広告自体、強く興味喚起できる仕組みだと思っていますが、配信先が事前に把握できるため、配給への説明責任としてもターゲットにしっかり届く点でとても相性が良かったですね。