LINE@専業で急成長
BALIEは2013年の設立後、LINE@専業の販売代理店として2,600社にのぼるクライアントの導入・支援を行ってきた。累計申し込みアカウントは15,000を超え、2016年にはLINE@販売実績上位の会社としてゴールドパートナーに認定されている。
同社 代表取締役社長 佐瀬 武士氏は、地元の仙台で起業するに際して、東北地方を盛り上げたいと考えていた。いくつかビジネスを検討する中で、LINE@の存在を知ったという。
さらに、中小企業や店舗を持つ個人事業主の課題も掴んだ。既存の媒体は新規集客を目的としたものばかりで、顧客の囲い込みやリピーターを増やすためのツールがない。販促に力を入れたいが、リソースや手段・予算もないという背景があったのだ。そこに、低コストでスタートできるLINE@のサービスはぴたりと当てはまった。
「LINE@を知った瞬間、これだと思いました。東北は関東と比べてITビジネスの規模が小さい。ならば、まず私たちがLINE@の販売代理店として働きかけ、東北を盛り上げるきっかけになろうと事業を始めたのです。LINE@を通しネットのツールを使ったビジネスを知ってもらい、地方でもできるんだということを実感していただこうと考えました」(佐瀬氏)
創業メンバーの一人であるコンサルティング営業部の村上 綾氏は、LINEが生活のインフラになっていたからこそ、LINE@の将来性が見えたという。
「LINEの魅力は、世代を問わず利用されていることです。家族や友人との連絡ツールとして、生活感があります。つまり企業や店舗が、お客様の日常に寄り添える唯一のツール。生活の延長線上で使うからこそ、高い開封率やコンバージョンが獲得できるのです。LINE@ならば、お客様とつながりたいというクライアント企業の課題も解決し、ビジネスで東北を活性化させるという私たちの理想を形にできるのではないかと感じました」(村上氏)
LINE@に惚れ込んだプロが対応
とはいえ、同社が設立された時期はLINEがプラットフォーム戦略を発表した翌年。まだLINE@が広く浸透しきっていない時期だ。なぜ、LINE@専業という思い切った選択をしたのだろうか。
「確かに当時のLINEは個人間で使うのが一般的で、LINEを使って顧客とコミュニケーションをとろうと考える店舗側の方も少数でした。ですが、友人同士で当たり前に使っているものですから、必ず近いうちにビジネスでもLINEが当たり前になると考えました。また、複数のサービスを取り扱うよりは専業のほうが、社員一人ひとりの知識・対応レベルも高くなると判断しました」(佐瀬氏)
当初はLINE@の活用自体を提案していた同社。約4年の間に確実に周囲の状況が変化しているという。
「どのようにLINE@を使ったらいいのか? という、具体的なお問い合わせが増えています。起業した2013年頃に比べ、LINE@は効果のある販促ツールだという認知度が上がってきていると実感しますね」(村上氏)
とはいえ、リピーターを増やしたいのか、顧客単価を上げたいのか。企業ごとに、LINE@で実現したい目的は違う。BALIEではまず、企業の課題をヒアリングし、ロードマップを作成。目的に合わせた細やかなアドバイスやサポートを行っている。
それができるのは「スタッフ全員がLINEのプロであるから」だと佐瀬氏は断言する。
「私たちの強みは、スタッフ一人ひとりがLINEやLINE@に惚れ込み、理解をしていること。そのため、おのずと効果のある運用方法やナレッジが蓄積されていくのです」(佐瀬氏)
ニーズに合わせたプラン選択が重要
プロダクトの良さを知っているからこそ、企業のニーズに合った提案ができる。
たとえば、利用するプラン。LINE@には3つの料金プランがあるが、結果の見えない内はフリープランで試してみようと考えがちだ。だが、目的によっては、あえて最初から有料プランを提案するという。
具体的には、LINE@で顧客としっかりコミュニケーションをとり、成果を出したい場合。リッチメッセージを利用できるベーシック以上のプランを提案している。
「トークの場合にもいえることですが、長すぎるテキストは読み辛さを感じてしまいますよね。リッチメッセージは、視覚的に伝えることができサイトへの誘導にも効果があります。また、リッチメッセージとテキストのみのクリック率を比較すると、4倍の差があるというデータもあるのです。LINE@を販促の主軸にしたいとお考えでしたら、リッチメッセージの活用は検討していただきたいとご提案しています」(村上氏)
LINE@運営に重要な、友だちの増やし方にも工夫がある。基本は、店頭での声かけ、ポスターの設置・友だち追加時のクーポン配布・SNSやWebでLINE@を告知するという4つの施策だ。しかし、すべての企業に当てはまる方法ではない。
たとえば、セルフのガソリンスタンド。急いでいる顧客に対して、友だち追加の声かけをすることは逆効果だ。この場合は、店舗を出た後に改めて友だち追加につながるよう、LINE@のお知らせを目立たせ、2次元バーコード持ち帰ってもらう工夫を提案する。LINEのプロだからこそ、日常の中でどのようにLINEが使われているのかを熟知したアドバイスだ。
利用者の生活に入り込むLINE@、2つの事例
実際にBALIEが関わる、LINE@の成功事例を2件紹介したい。若年層の来店を増やした「まるまつ」と費用対効果を可視化した「セキ薬品」だ。
若年層の来店促進
東北や北関東を中心に飲食店業を経営する宮城県の企業、カルラ。その主力となる「和風レストランまるまつ」の課題は、若年層の顧客を増やすことだった。チラシや既存の販促方法による効果が落ちてきている中、LINE@を導入しクーポンの配布を始める。しかし運用開始当初は、クーポン使用率が上がらなかったという。
「配信するタイミングや内容を精査し、PDCAを回しました。今では、クーポンを配信するたびに使用率が上がり、まるまつは定期的にクーポンが届くので楽しみだという認識を形成できています。時間をかけてLINE@を運用することにより、クライアント企業とお客様の関係が強くなっています」(村上氏)
LINE@限定クーポンの開封率は14%。そこからの使用率は35%と高い効果が見られる。また、店舗スタッフへ向けても、クーポンの使用フローをまとめた資料を共有し丁寧なサポートを心がけている。
リピート顧客の創出
埼玉県に本社があり関東圏に店舗を広げるセキ薬品は、リピート顧客の定着化を課題としLINE@でクーポンを配布する。クーポンの使用期日を細く設定することで利用を促し、来店へつなげている。
毎月配信される5%OFFのクーポンの利用率は17%と、リピーター増加に確実な効果を出しているという。
また、これまで行っていたチラシを中心とした販促方法ではクーポンの使用管理が難しく、期待した費用対効果が得られないという状況でもあった。LINE@の導入で、クーポンの使われた時間帯・曜日や内容まで細かく使用状況が可視化されるようになり、マーケティングに活用されているという。
「東北のビジネスはLINE@で」を実現したい
2017年7月、BALIEはこれまでの業績が高く評価され、LINEグループの一員となった。東北エリアでの営業を一層強化しつつも、「既存クライアントに対して、より効果的で高品質なサポートができるよう社内体制を整えていきたい」と佐瀬氏。
また、同時にLINE@の販売パートナーも募っており、自社のノウハウを外部にも提供していくという。
「東北エリア全体へLINE@を広めていくためには、地域の関係性を大切にしているパートナー様との協力が欠かせません。LINEが生活のインフラであるのと同じように、ビジネスならLINE@というモデルを当たり前にしていきたいと考えています」(佐瀬氏)
企業の規模や地域を問わず、導入が可能なLINE@。その上でローカルなビジネスを成功させるには、地場の販売代理店によるサポートも重要だ。BALIEの事業スタイルからは、地元企業のニーズを拾い上げLINE@のテクノロジーで支援するという橋渡しのような役割も伺える。
LINE@は、地域の活性化と新しいビジネスの基盤ともなりそうだ。