※本記事は、2017年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』21号に掲載したものです。
観光地の夜は「死に時間」に
先日、鎌倉観光に出かけた際に、こんな経験をした。鎌倉駅周辺の観光を楽しみ、昼過ぎからは江の島方面を巡った。日が落ちて少し経った時間に鎌倉駅に戻り、食事をすることにした。だが、駅前にある小町通商店街の飲食店は、ほとんど閉店していたのだ。鎌倉での食事を楽しみにしていたのに、とても残念に感じたのを覚えている。
似た経験のある人も多いのではないだろうか。宿泊旅行で、昼は観光や買い物などを楽しめるのだが、夜はほとんどの観光スポットが開いていないし、地方だと飲食店が閉まるのが早い。宿で夕食をとってテレビを観るくらいしかすることがなくなる。せっかく旅行に来たのに、楽しめない時間ができてしまうのはもったいない限りだ。
だが、多くの観光客がそこに不満を抱いているとすれば、それは、新たな消費を生むビジネスチャンスが転がっているということだ。近年は日本をはじめ多くの国や地域で、有効活用されない「死に時間」となっている夜の時間帯の活用による経済振興に注目が集まっているそうだ。
本書『「夜遊び」の経済学』は、健全な夜の経済活動(ナイトタイムエコノミー)を考察した一冊だ。国内外における事例の紹介、振興にともなうリスクや、効果を高めるのに必要なことなど、多角的にナイトタイムエコノミーを探究している。
著者はネバダ大学ラスベガス校でカジノ経営学を専攻した、日本で数少ないカジノの専門研究者。現在は自ら設立した国際カジノ研究所の所長を務める。
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