顧客・環境理解のために
電通グループでは、企業の顧客理解や環境理解を支援するために、「People Driven DMP」を提供している。これは、4億Cookieのオーディエンスデータに加えて、各種の電通独自データや、提携パートナーデータを収納した巨大マーケティングプラットフォームである。Web上の行動データのみならず、意識データや購買データ、さらにはTwitterの全量データなども搭載している。
もし、顧客構造やカテゴリーごとのジャーニーが把握しきれたならば、現段階のメディアの作用から投資を検討するという段階に進む必要もあるだろう。電通グループでは、企業のグローバルなマーケティング投資に一貫性をもって対応するため、グループ横断組織「Data2Decisions Japan(略称:D2D Japan)」を立ち上げた。深田氏は、「売上という最終ゴールを対象に分析するMarketing Mix Modelingを進化させメディア同士の相互作用とそれぞれの影響の大きさを推定するため、複数のモデルを組み合わせた『エコシステムモデリング』を開発しました。どのメディアが売上に影響を与えるかを特定し、ROI最大化の策を提示します」と語る。
まるで家を建てるように、計画的に丁寧に
最後に深田氏は、「マーケティングプランナーは、マーケティングアーキテクトへ進化するべき」だと主張した。メッセージを企画するだけではく、情報構造を設計する、いわば建築のような視座に立つことを目指すべきだということだ。そして、「ブランドエコシスムは、指針として大きなもの。内包する手段も多く、複雑なものになります。だからこそ、いきなり大きな建物を建てようとするのではなく、まずは丁寧に、地盤や建材をしっかり調べることが重要で、そして何より住む人々にあわせた住みやすい家を丁寧に考えなければなりません。最初は試験的に建築模型を作ることからはじめてみてはいかがでしょうか。私どもは、設計事務所として、建築会社として、あるいは大工として。皆さまのお手伝いをしていければと思います」と講演を締めくくった。