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急成長企業の広報女子が語る、今すぐやるべきこととやめるべきこと

広報担当者なら絶対やったほうが良いこととは?

市川:今まで様々なことに取り組まれてきたと思いますが、実際にやってみて成果につながった、広報担当者なら絶対にやった方が良いこととはなんでしょうか?

田尻:弊社の社員数は200名程度で、広報は私と新卒社員の2名だけです。やりたいことはいっぱいあるのですが、なかなかすべてに手が回らないので、各部署に広報マインドを持ったスポークスパーソンを作るということをしています。

 その一環として、様々な分野の専門家を社内に作ることを試みています。2015年から新規事業としてスマートハウス事業をはじめましたが、その時から、この領域のことならこの人に聞くという状態を作ろうと仕込んできました。昨年から今年にかけてそれが花開いてきて、多い時には月5~6本、少ない時でも月1~2本くらいの講演やメディアからの取材依頼をいただいています。これは採用広報にもつながると考えています。専門性を持った人材がいることをPRすることで、プロフェッショナルな人材が集まりやすくなるためです。

リノベるでは社内に専門家を育てPRしている
リノベるでは社内に専門家を育てPRしている

吉田:私が成果を実感している取り組みは2つあります。まず社会動向と自社の取り組みを結びつけた企画で報道ボリュームを厚くすること。そして、リテンションを目的としたイベントの開催です。

 まず1つめについて。新しい社内制度である「保育料補助制度」を紹介するときに、他社の保活対策もまとめて記者に提案しました。結果、日経新聞の1面に頭記事として大きく掲載していただきました。ただプレスリリースを出すだけだと5W1Hのストレートニュースで終わってしまいます。世の中で何が起こっていて、それに対して自社は何をしているか、他社の事例などもまとめて企画を提案することで掲載面が大きくなり、よりターゲットや関係者の目に触れやすくなります。

 2つめは、主にユーザーオフ会です。広報は認知向上の施策に注力しがちですが、サービスの継続利用を促すのにオフラインのイベントは有効です。受付で参加者一覧を配ってワクワク感を出したり、オープニングで乾杯して緊張を解いてあげたりと、ユーザーがどういう状態になれば満足してもらえるか、感情の流れから逆算してコンテンツを作ることを意識しています。

地田:私のところでは、組織を横断したコミュニケーションの手段として「Lightning Talk&Tea」、通称LTTという社内勉強会をはじめました。内容は真面目なビジネスに関するものからヨガといった趣味的なものまで様々です。これを社員に浸透させるために、LTTのロゴを作ったり、ポスターを社内に貼ったりしています。

 交流を深めるためにこだわっているポイントは3つあります。1つは20名という少数限定で行い、熱量を高めること。次に、この20名を5名のチームに分けて、グループディスカッションをしてもらうこと。こうすると、その後の全体での質疑応答で質問が出やすくなり、盛り上がります。最後が東京ではなかなか手に入らないお菓子を振る舞うこと。お菓子があると、みんな自然に笑顔でコミュニケーションを取るので、私としてはかなり重要なポイントです。参加者アンケートの結果では、LTTの満足度は99%を達成。また、85%の人が社員同士のつながりが深まったと回答しています。

 Lightning Talk&Tea(LTT)のポスター
Lightning Talk&Tea(LTT)のポスター

高井:私がやってよかったと思っているのは、毎週の全社会議の場で広報活動について発表する時間を設けるようにしたことと、経営者との接点作りの強化です。

 全社会議で発表することで、毎週の記事掲載やプレスリリースの裏にある戦略を伝えることができ、全社員の広報意識を少しずつ高められてきたと感じます。それによって、事業部が持っているネタを企画段階から相談してもらえるようになったり、「うちの事業部からもリリースを出せないか」と課題から相談をもらえたり、田尻さんの会社のように自ら取材を取ってきてくれる人も生まれてきました(笑)。広報の仕事は一人で絶対にできないので、助かっています。

 また、なぜ経営者と接点を積極的にもつべきかについては、私の失敗談からきています。大手メディアに会社が掲載された際、経営者が当時考えていた最優先で広報活動してほしい領域ではなかったため、「やっとあのメディアに掲載出来た!」という達成感とは裏腹にあまり評価されなかったということがありました。今はメディアも情報も溢れかえっているので、ただ露出することには価値を生みません。会社にとって意義があるかどうかが重要で、そこは経営者との擦り合わせが必要になります。会社も市場もナマ物で日々重要なポイントは変化し続けます。どのような形でも構わないので、こちらから積極的に接点を作って視点をずらさない努力をしていくことがとても大事だと感じています。

経営者とのコミュニケーション手段は

高井:他のパネラーの方にも、経営者との接点をどうされているか聞いてみたいです。というのも、弊社はこの数年の間で100人から260人に一気に人員拡大したので、経営者と接点を作るのが以前より難しくなってきたところがあるんです。皆さんのところは経営者との距離感ってどうですか?

吉田:弊社は正社員が700名ほどおり、拠点も国内外に複数あります。ですが、様々な制度や取り組みで部門を超えた情報共有をする文化が根付きはじめているので、経営者含めメンバーとの距離はあまり感じません。物理的なコミュニケーションを取るのが難しくても、メールやチャットですごくマメに連絡を取っています。また、月1で社長から、本人の考えや会社の状況など情報共有のメールが送られてきます。

地田:社長はやっぱり忙しいので、社長の席の目の前に自分の席をもらっていた時期もありました。そして、カレンダーを見て、タイミングを見計らって自分も席に着いて話すようにしています。あとは、シーンに応じてどのツールが一番コミュニケーションを取りやすいかは把握しています。

田尻:過去のキャリアで入社時は従業員数30人だった規模から5年で2,000人に急成長した企業にいました。やはり、規模によって経営者とのコミュニケーションをどうしていくべきかという課題は出てきます。200人なら可能なコミュニケーション手段も、1,000人を超えると使えません。広報は着任したらまずはじめに、「社外より社内の人脈を作るべき」だと思っています。

 しかし、1,000人を超えてくると経営者だけではなく、誰がどんな仕事をしているのかやネタをもっているキーパーソンが誰かわからないという状況になってきます。ですので、まだ規模の小さいうちから、コミュニケーションの仕組み作りをしていくことが重要で、私もまさにリノベるでそれに取り組んでいるところです。

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やりがちだけどやってはダメなことやムダなこと

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/01 08:00 https://markezine.jp/article/detail/27285

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