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「デジタル」マーケティングはいずれ消滅する 日本郵便が考えるデータドリブンなオフライン施策とは

「92%の会員にリーチできない問題」をDMで解消した富士フイルム

 富士フイルムは、フォトブックや年賀状の作成が可能な公式ネットショップを運営している。同ショップはメールマガジンを発行しているが、メールの受取を受け入れているのは総会員の50%だけで、平均開封率は15%にとどまる。つまり、サービス利用者全体の8%としかメールでコミュニケーションが取れておらず、残りの92%の顧客にはリーチできていないのだ。

 おまけに、メールの受取を拒否している顧客の50%が、サービスのリピーターということがわかっていた。つまり、企業にとっての優良顧客とつながることができていないことが課題だったのだ。

 検証実験の方法は以下の通りだ。

 まず、顧客を2つに分類した。一つ目は、リピーターの優良顧客層で、クロスセルによってLTVを向上させたいセグメント。二つ目は、年賀状プリントのみ利用したことがある新規顧客層で、情報提供によってリピート客になってほしいセグメントである。

 両方へ、フォトブックの無料制作ができるクーポン情報を送付する。ただし、メッセージングには違いを設けた。優良顧客へは日頃のお礼、新規顧客には「特別なご案内」を強調した。さらに、DMのみ送付する層・メールだけを送る層と2つのクラスターに分け、検証を行った。

 DMについては、「特別なお知らせ」「年賀状ご購入者限定」という内容で開封を促し、ターゲットに合わせてメッセージ・画像をパーソナライズした上で、クーポン番号やQRコードもユニークにすることで個別で効果検証を可能にするという施策を行っている。

 バリアブル印刷とは、1枚ずつ顧客ごとにパーソナライズされた文面が印刷できる手法だ。またIDやURLはMAツールで管理されているため、誰がいつアクセスしたかが瞬時にわかるようになっている。

メールのみと比較して、DMからのサイトアクセス率は60倍

 結果、富士フイルムとしても驚きのデータが取れたという。

 「DMを4,000通送付したところ、45%の会員がアクセスしました。メールと比較すると、サイトアクセス率は60倍です。従来であれば、DMの『CTR』は取れないものでした。しかし今回の実験では、MAツールを使って会員ごとにユニークなIDとURLを発行して、印刷してあります。つまり、送付した数に対して何人がアクションを起こしたかということが数字ではっきりとわかるのです」(鈴木氏)

 さらに鈴木氏は、アナログとデジタルを横断した内容のメッセージを送る効果に注目した。

 「今回、キャンペーン終盤の時期に“お手紙は届きましたか?”という内容のメールを送りました。DMは、送付した直後に大きく反応があり、継続的に反応があるという傾向があるからです。事実、DMをリマインドする内容のメールを送ることで、もう一度大きく反応が出ました

 キャンペーンを振り返ると、フォトブックのクーポン利用率も高く、また料金をプラスして上のランクのフォトブックを選ぶ有料転換率も高くなった。加えてフォトブックは他の人にプレゼントすることが多いため、追加注文につながりやすい。結果的にアップセルが実現し、リクープ目標を大きく上回ったという。

 アナログとデジタルを組み合わせた富士フイルムとの実証実験は、大きな成果があったといえるだろう。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/18 16:27 https://markezine.jp/article/detail/27313

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