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VUI(音声インターフェイス)の最前線

Amazon Alexaも上陸 AIスピーカーで、ブランドと生活者の新しいタッチポイントが生まれる

AIスピーカーは、ブランドと生活者の新しいタッチポイントをつくる

 なぜ私がここでAIスピーカーの話をしているのか。それは、マーケティングに大いに活用できる可能性を実感しているからだ。

 これまで、家庭の中で、家族みんなでブランドに接触するコンテンツは、テレビ・ラジオくらいしかなかった。でも今後は、AIスピーカーがある特定の領域ではそれらに取って代わるのではないかと思っている。

AIスピーカーがかつてのテレビ・ラジオのように、家族の中心を占める日が来るかもしれない
AIスピーカーがかつてのテレビ・ラジオのように、家族の中心を占める可能性も

 AIスピーカーは、多くの家のリビングルームに置かれ、家庭の中の重要なシーン、たとえば「料理」とか「掃除」「育児」の場面に入り込むメディアになるに違いない。

 ここで、一部の人にはいまさらかもしれないが、AIスピーカーとはどんなものかを整理しておきたい。

 AIスピーカーには、各社が独自で開発する音声AIアシスタントが搭載される。Amazon Echoには「Alexa(アレクサ)」、Google Homeには「Googleアシスタント」、Clova WAVEには「Clova」だ。音声AIアシスタントは、例えて言うならスマートフォンでいうところの、iOSやAndroid、つまり「OS」のような存在だ。

 これら音声AIアシスタントが、ユーザーからの入力に対してどんな反応を返すかを決めるのが、「OS」に載せる「コンテンツ」のレイヤーだ。スマートフォンにおける「アプリ」のようなものと考えると分かりやすいだろう。

 iOSに対して「iOSアプリ」があるように、AmazonのAlexaに対しては「Skills」が、Googleアシスタントに対しては「Actions on Google」、Clovaに対しては「Clovaコンテンツ・サービス」が載る。

 アメリカのAmazon.comではAlexaに載せる「Skills」を検索できる。現在、世界中のさまざまな企業・個人が開発しており、2016年の1月には130しかなかったSkillsが、2017年9月時点で20,000を超えた。「Actions on Google」の数はまだ数百程度だが、今後、どんどん数が増えていくはずだ。

AIスピーカーは私たちの生活に、どのように入り込んでくるのだろう

 アメリカでは、企業やブランドが「Skills」を開発して「Amazon Echo」のユーザーに提供している。ここでその具体的な事例をいくつか紹介したい。

レシピアドバイザーskill/Campbell's Kitchen(キャンベル)

 スープのメーカーとして世界的に知られるキャンベルのSkillは、音声によるレシピアドバイザーだ。「どんな料理にする?」と尋ねてくるので、たとえば「チキンを使ったディナーのレシピを教えて」というと、いくつかのレシピを候補として提案してくれる。必要な食材や調理法の詳細、かかる費用などを教えてくれるので、そこから、気に入ったレシピを選ぶといい。

シミ抜きアシスタントskill/Stain Removerタイド

 洗剤のブランド「Tide」が提供する、お掃除Tipsを教えてくれるSkill。「カーペットにこぼしたジュースのシミ」などのように話しかけると、瞬時に汚れを洗い落とす方法を音声で教えてくれる。

映画BATMANプロモーションskill/The Wayne Investigation(ワーナー)

 バットマンの主人公ブルース・ウェインの両親を殺害した犯人を突き止めるミステリー小説をサウンドノベルゲームにしたもの。ワーナーブラザーズが「バットマン vs スーパーマン」の映画宣伝のために、Amazonの協力のもと開発した。

 CNETによると、リリースから1週間で、他の全スキルの7倍の滞留時間を記録したとアマゾンは明らかにした。他にも、バットマンに関するトリビアのクイズ形式で楽しめたりして、ファンのエンゲージメントを高める仕掛けだ。

 3つめのゲームはやや宣伝の色が濃いけれども、こうしたエンターテインメントも含め、音声のやりとりだけで成立する情報群は、実はけっこうたくさんあることが分かる。「ちょっと人に聞く」感じで、手軽に、スピーディに情報を得る時代になっていくのだろう。

 私は、ブランドがAIスピーカーを通じて家庭での生活の中で使われるコンテンツを提供していくことが、マーケティングでは重要になると考えている。なぜなら、AIスピーカーとやりとりすると、ある人格と触れたかのような気持ちになって、好感度が高まるから。

 実際に体験してみると、「キャンベルズキッチン、いいやつだな」と思ったりするのだ。おそらく、ブランド想起率も高まる。

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マーケティング担当者がすぐに始めたほうがいい3つのこと

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この記事の著者

神谷 憲司(カミヤ ケンジ)

株式会社WHITE 代表取締役社長。クリエイティブディレクター兼クリエイティブテクノロジストとして活動しながら、テクノロジーを起点とした新しい広告体験や製品・サービス開発に携わる。国内外の広告賞受賞歴も多数。2015年テクノロジーイノベーション事業会社、WHITE Inc.を立ち上げる。2016年SXSW Inte...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/09 10:20 https://markezine.jp/article/detail/27336

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