動画広告の印象は変化したのか
ところで今のスマートフォンユーザーは、動画広告を『データ通信量がかかるコンテンツ』として捉えていないのだろうか。動画再生画面上に表示される動画広告について、“ネガティブに感じていること”を聴取した。
両ユーザーとも、「興味のない広告が多い」が6割と最も多く、次いで「スキップまで時間がかかる」「再生する動画と関係がない広告が多い」「おもしろくない広告が多い」と、広告の内容が上位に挙がる。「データ通信量がかかる」と感じているのは3割ほどだった。
では、格安SIMユーザーは動画広告に対してネガティブに感じることを、大手キャリア利用時から気になっていたのかというと、ユーザーの9割が「以前から感じていた」と回答した。格安SIM乗り換えによって動画広告への意識が変化するわけではないようだ。
満足度は
データ通信サービスの利用・意識についてここまでの結果を見ると、格安SIMと大手キャリアで大きな差は見られない。では満足度ではどうだろうか。モバイルデータ通信の満足度と総合満足度をそれぞれ聴取した。結果は、総合満足度も、モバイルデータ通信の満足度も、格安SIMユーザーの方が高い(図表3)。
しかし大手キャリアユーザーより格安SIMユーザーの方が、総合満足度からモバイルデータ通信の満足度は若干であるが減少するようだ。
「ゼロ・レーティング」について反応は
最後に、今年注目を集めている「ゼロ・レーティング」。各社が定めた一部のデータ通信(SNSや動画/音楽配信サービスなど)がカウントされないサービスで、「カウントフリー」とも呼ばれる。昨年春、このサービスを武器にLINEがMVNO市場に参入したことで話題になった。
しかし、認知率は大手キャリアユーザーで2割、格安SIMユーザーでも3割と、消費者にはいまだ浸透していない。そのゼロ・レーティングが、もし格安SIM/大手キャリアそれぞれに導入された場合、各ユーザーは魅力に感じるのだろうか。
格安SIMユーザーは格安SIMに、大手キャリアユーザーは大手キャリアに導入された場合を聴取すると、いずれも5割が魅力的であると回答。逆に、格安SIMユーザーは大手キャリアに、大手キャリアユーザーは格安SIMに導入された場合では、魅力的であるとの回答はいずれも3割程度だった(図表4)。
今回の調査では、大手キャリアからの乗り換え後でも、格安SIMユーザーの通信サービス利用方法に大きな変化はないこと、データ通信対策はWi-Fi利用が多いことがわかった。また、利用の実態とデータ通信量の節約意識に、大手キャリアユーザーとの大きな違いがないことも確認された。
格安SIMへ乗り換えをしたユーザーが通信サービスを違和感なく使えるのは、大手キャリア契約時からWi-Fiを利用していることが大きいだろう。Wi-Fiが利用できない、Wi-Fiへの接続切り替えが苦に感じるユーザーが格安SIMに乗り換えた場合、平均的なユーザーと同程度にデータ通信サービスを使う、というのは難しいかもしれない。
Wi-Fiが利用できるかどうかにかかわらず、節約意識は今後もついて回るものになると予想されるが、これがデータ通信サービス利用を縮小させているのかというと、多くの場合はそうではない。しかし、ゼロ・レーティングのような、データ通信量を意識せず利用ができるようになるサービスは、乗り換え検討の足掛かりになりそうだ。今後の各社データ通信サービスの動向に注目したい。
▼調査レポート
『格安SIM乗り換えはデータ通信利用に影響するのか、調査を実施』(HoNote)
