消費者は意外と無意識?その気にさせる説得ノウハウ
読者の皆さまは、「消費者が思い通りに動いてくれたらどれほど楽だろうか」と考えたことはありませんか。そんな方におすすめするのが『顧客を説得する7つの秘密』です。
同書では、人間の「無意識」に着目。その無意識に働きかけ、顧客に選ばれるために必要なノウハウや知見が7つにまとまった1冊になっています。
その7つの2つ目「考えではなく行動を狙え」では、人間は考えよりも行動を変えるほうが簡単だということを明らかにしています。
例えば同書で取り上げられている事例では、マイクロソフトが自社製品をより使ってもらうために、Windows7や8のユーザーに対しWindows10へのアップデートを無償で提供。その場では利益は得られませんが、のちに他のマイクロソフト製品を利用する可能性を上げたり、Macへ移行する可能性を低くしたりしました。Windows10へ無料でアップデートするという行動が、ユーザーからの印象も良くし、今後の行動を変化させることができるのです。
このほかにも、無意識の正体や無意識に働きかけるコミュニケーションに必要な要素などが盛りだくさんとなっています。デジタルマーケティングでは購買などのアクションのひと押しを担うケースが多いかと思います。その中でとても役立つ内容なので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
「コト消費」って正しいの?
2冊目に取り上げるのは『「コト消費」の嘘』という書籍です。「コト消費」という言葉は、私が様々な企業に取材する中でも聞く言葉です。同書は、その「コト消費」をより詳しく理解し、顧客に「買いたい」「また来たい」と思わせる売り方を解説しています。
同書の特徴は、「コト消費」を7タイプに分類しているところだと思います。つい漠然と何かしら体験させることくらいに「コト消費」を捉えがちでしたが、お金を払ってライブを見るという体験と、ヴィレッジヴァンガードや東急ハンズといったお店作りが凝っていて買い物するという体験では提供する価値も変わってきます。
川上氏も「7タイプに完全に区切ることはできない」と述べていますが、体験という価値を提供するとはどういうことか網羅的に理解できる内容になっています。
また、同書のおもしろいところは、「コト」だけ売っても意味のないケースがあることをきちんと認識し、「コト」と「モノ」を結び付けた解説や事例が多く含まれているところです。
例えば、ヤマハが音楽教室を立ち上げたのも、音楽は鑑賞することがメインだった時代に「もっと気軽に音楽を楽しんでほしい」と経営者が考えたからでした。その結果、楽器に触れる人は増え、ヤマハというブランドも認知され、商品の購買促進にもつながったという事例が同書に載っています。
このように、「コト」を基軸に商品を売ったり、来店につなげたりするにはどうすれば良いのかというエッセンスが詰まっています。小売や流通、メーカーなど消費者向けにビジネスを行うマーケターの方にぜひ読んでほしい1冊です。