SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

広告運用の情報サイト「Unyoo.jp」出張所

プログラマティック広告における3つのトレンド、「透明性」「AI」「プログラマティックTV」の現在

AI活用に適切なデータセットは不可欠

 マーケティングの分野においても、「機械学習(Machine learning)」や「深層学習(Deep learning)」といったAIに関連するワードが飛び交い、注目を浴びているのはご存知の方も多いかと思います。ランジェリーブランドCosabellaのAIマーケティングプラットフォーム「Albert」の活用事例も出てくるなど、プログラマティック広告においてもAIは無視できない存在となっていることが伺えます(参考記事はこちら)

 「AI In the Ecosystem」と題されたパネルディスカッションでは、AIマーケティングプラットフォームを提供する3社のCEOがマーケティングにおけるAIの意義について語っていました。

「AI In the Ecosystem」の様子

 まず、AIの活用が必要になってくるポイントとして、Lattice EnginesのCEO 兼 共同ファウンダーShashi Upadhyay氏(写真右から二番目)はリード獲得であるといいます。ユーザーのエンゲージメントを基準としたルールをマニュアルで作成し、それを元にターゲットを抽出していくことも可能ですが、適切なデータセットがあればAIに任せた方がより優れたパフォーマンスが期待できるとのことです。

 AlbertのCEO 兼 ファウンダーOr Shani氏(以下、Or氏/写真左から二番目)は、業界のトレンドという理由だけでAIを導入するのは間違いだと前置きしたうえで、現在の課題を明確にし、その課題が非常に複雑で解決するのに複数のデーターサイエンティストを雇う必要があるというのであればAIを導入する価値はあるといいます。

 CognitivのCEO 兼 共同ファウンダーJeremy Fain氏(以下、Jeremy氏/写真一番左)は、現在より正確に結果を予測する必要がある施策を実施する場合にAIは適切であるといいます。そのうえで、正しいデータセットがあればAIにできないことはないだろうと言い切っていたのはとても印象的でした。

 広告主が保有しているデータの問題点として、Or氏はサイロ化していることをあげます。AIを活用するうえでCRMデータとの連携は不可欠ですが、デジタルマーケティングの担当部署がCRMデータに容易にアクセスできる環境がない例がみられる等、社内の組織間でのデータの分断が起きているのが現状のようです。Jeremy氏も同じ文脈で、データを一か所に集めることが大切であると述べていました。

未来の予想においては、AIよりも人が活躍する

 適切なデータセットがあればAIは万能に機能すると思われるかもしれませんが、AIが人間よりも不得意とすることもあるといいます。Jeremy氏とOr氏が共通して触れていた例が、ブランド戦略そのものの決定です。Or氏は「Visionary(想像力のある)」という単語を強調したうえで、3年、5年、10年後に顧客にとって何が大切かを見通すことは人が得意とするところであり、AIにとって代わることが難しいといいます。

 コンバージョン率の高いユーザーや、ユーザーのセグメントに応じた最適なクリエイティブの抽出はデータを溜めることができるため、AIが人の代わりに、むしろ人よりも優れたパフォーマンスを発揮できる領域かと思います。一方で、未来の予測については、データを溜めることが難しく、AIよりも人が活躍するという話は非常に納得感のあるものでした。

 AIと人との今後の関係性については、「Demand-Side Perspective:AI To Drive Audience Insights And Segmentation」と題されたセッションの中でも話題にあがりました。

 Equals 3のファウンダー兼CTO Marc Dispensa氏(以下、Marc氏/写真左)とHavas MediaのCatherine Cottle氏(以下、Catherine氏/写真右)による本セッションでは、Equals 3が提供する人工知能「Lucy」について、実際にこれを活用しているCatherine氏も交えて機能概要や活用方法が紹介されました。

「Demand-Side Perspective: AI To Drive Audience Insights And Segmentation」の様子

 Catherine氏によれば、Havas MediaはLucyを活用することによって、同社が保有するデータを最大限引き出し、より深くかつ生産的にクライアントが必要とするユーザーインサイトを提供できるようになったといいます。これは同社が独自にもつプラットフォームとLucyとの結合によって実現可能になったとのことです。

 セッション最後のQAでは、「AIに仕事が奪われる恐れもあると思うが、どのように折り合いをつけるべきか」という質問が参加者から投げかけられました。Catherine氏はこれに対して、「確かにLucyの果たす役割はHavas Mediaにおいて非常に大きくなり、あるチームメンバーは今まで自分がしていたことをLucyがするようになったことに不安を覚えていた。しかし、Lucyは仕事を奪うのではなく、仕事をより楽しくしてくれている」と答えていました。

 Marc氏も同じ質問対して、「これらのツールはマーケターや代理店の仕事をより効率的にしてくれる。これによって、彼らはより多くの時間を、だれに対してどのようなメッセージを届けるか考えることに充てることができる。人が適切なオーディエンスをデータから導いて実装するのに最低でも8時間から10時間はかかるでしょう」と答えていました。

次のページ
セルサイドとバイサイドでポジティブな革命を

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
広告運用の情報サイト「Unyoo.jp」出張所連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

高瀬 優(タカセ ユウ)

アタラ合同会社 コンサルタント。国際基督教大学(ICU)を卒業後、総合電機メーカーで自社製品の法人営業ならびに販売推進業務に従事。その後、自身がリーダーおよびマネジメントを務める音楽バンド活動に専念し、CDの全国流通や全国ツアー等積極的に活動を行う。2016年よりアタラに参画し、国内はもちろん、グローバルに事業を展...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2017/12/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27628

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング