「共感度」が高いとバズが起こりやすい
MZ:「共感度」とは、具体的にどういう指標なのですか?
原:簡単にいうと、複数人が同じ脳波の波形を示す箇所を「共感度が高い」と捉えて、クリエイティブ評価などに利用します。複数人の脳波の波形がそろう箇所は、ネット上のバズが起こりやすいという先行研究があるのです。フリスクの事例でも、興味を引こうと意図したところで実際に共感度が高くなっているのか等を見ていきました。
MZ:バズが予測できるんですか? その先行研究とはどんなものなのでしょうか?
原:論文も複数出ているのですが、たとえばアメリカのあるテレビドラマを事前にモニターに視聴してもらい、脳波の同期度を測定します。その同期度合いからツイート数を事前に予測したところ、実際の放映後のTwitter投稿数と有意に相関がありました。この同期性を我々は「共感度」と定義しています。
MZ:それは興味深いですね。テレビ番組なら、今おっしゃった研究をそのままなぞって、バズるコンテンツをつくれるかもしれない。
原:そうですね、今後その可能性はあると思います。実証データを重ねれば、共感度が高まる工夫も具体的に見えてくると思うので、そのあたりのノウハウも我々独自というだけでなく、クライアントと共同で蓄積していきたいと思っています。
アンケートとの併用でわかる意識と心理のギャップ
MZ:ちなみに、既存のアンケートやインタビュー回答と併用する、といった使い方もあるんですか?
原:ありますね。併用すると、消費者が考えて回答したアンケート結果と生理指標から読み取れる深層心理のギャップがわかったりするので、その結果を元にマーケティングアクションをチューニングすることができます。おもしろかった事例は、保険商品のコンセプト調査で、男性はアンケートだと「皆が選んでいる商品」には特に興味がないんですね。でも脳波だと、実はそこに強く興味を引かれていることがわかる(笑)。
MZ:「俺は俺だ」と思っていても、実際は違うんですね(笑)。そうすると、“皆”推しであからさまなアピールは効かなくて、密かに心をくすぐる訴求が有効なわけですね。
原:そうですね、潜在的な訴求ポイントを明確にする用途で使っていけると思います。
MZ:マーケティングやクリエイティブは、勘と経験がものをいうような状況が長かったと思いますが、デジタルの発展とともにこうした生理反応や神経活動の活用によって科学的になり、再現性も高くなりますね。
原:そうあるべきですし、まさにそこに当社も貢献できればと思っています。商品開発段階や、今お話ししたようなクリエイティブの評価、またコンセプトの反応を確かめるといった事例もどんどん出てきているので、ご期待いただきたいですね。
MZ:最後に、今後の目標などあればお教えください!
原:数値的な面でお話しすると、導入社数、売上ともに、今年は昨年のだいたい倍の規模を見込んでいます。この先数年は1.5倍から2倍の伸長を目指していきたいと思っています。
その他にもより深く、より手軽に消費者インサイトを洞察できるような技術の研究開発や、様々な生体情報を活用した新ソリューションの開発なども積極的に進めていきたいと思っておりますのでご期待ください。
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