ワンメッセージ、シズル感、動きにこだわる
制作したGIF動画は、合計4種類。とろりとした黒蜜が注がれるくずきり、ぷるぷる揺れるゼリーといった、涼しさ・みずみずしさを表現したクリエイティブだ。商品の特徴を押さえた短尺の動画がループするため、視聴にストレスを感じさせず、商品の魅力がシンプルに伝わるようになっている。
それでは制作過程を見ていこう。
GIFMAGAZINEでは、コンテンツ制作の際に「誰に・どんなメッセージを・どの経路で・どの媒体で・どのクリエイティブで伝えるか」という軸を作る。
まずはキャンペーン目的を「夏の手みやげの購入」・「小田急百貨店への来店意向の向上」という認知・関心の獲得に設定し、ターゲットペルソナを作成した。ペルソナは、夫の実家へ帰省する妻、ホームパーティのホスト、家族サービスをしたい父、上京して初めての帰省を予定している若い男性と、百貨店の幅広い客層を意識している。
そして安田氏らは「涼しさ・夏らしさ・冷たい」などのキーワードをもとに、制作担当者と一緒に店内を回り、動画で取り上げる商品を探したという。
「動画では、揺れる動きを演出したかった。そこでキーワードもしっかりと伝えることができる、フルーツゼリーとくずきりを選びました。涼しさや冷たさがうまく表現できるように、ドライアイスの使い方やシズル感にこだわりましたね。
またサイネージは90インチと大きいものもあり、スマートフォンやPCと見え方が変わります。大きな画面で見たときに、正しくイメージした動きをしているかを何度もチェックしました」(原口氏)
特徴的なのは、動画の構成である。GIF動画は、ワンメッセージで制作することが基本だ。さらにサイネージの設置ポイントを歩き、何秒の尺で作成することが最適かも調べて制作に入った。サイネージの設置環境に応じた、最適な表現・尺があるということがうかがえる。
GIF動画の視聴で購入意向がアップ
今回のキャンペーンでは、デジタルサイネージの効果を測るための市場調査を行った。店内外で合計354名に対面アンケートを実施。回答者は店外サイネージを視聴した人、視聴していない人、食料品売り場で購入をしたお客様と3つに分け、GIF動画による購入意向・来店動機の影響を測った。
「サイネージでGIF動画を見た覚えがあると答えたお客様が、店内では約17%、店外では約25%と高い結果になりました。そのうち、ほとんどの方が“GIF動画を見たことで、夏の手みやげを購入したいと思った”と答えていらっしゃいます。また店外でGIF動画を見られた約75%の方に来店意欲が生まれていますので、影響度の高さがわかりました」(原口氏)
GIF動画の印象についても調査したところ、店内外問わずサイネージで見たという回答者の約60%が、「おいしそう」「涼しそう」と答えている。