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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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広告運用の情報サイト「Unyoo.jp」出張所

ユーザーの動画広告視聴環境を表す5つのグラフから読み解く、動画広告の作り方とは?

もはや無視できない規模に拡大したフォーマット「ストーリーズ」

 InstagramやSnapchatのストーリーズは最も新しいフォーマットで、縦長フルスクリーンの短尺が特徴です。このため、一定の視聴時間を超えると動画セッション数が急下降するグラフとなっています。2016年8月にInstagramで提供開始されて以降、利用者は順調に拡大し、2017年10月時点のグローバルでのデイリーアクティブアカウント数は3億を突破しています。Instagram全体のデイリーアクティブアカウント数が5億(2017年9月時点)となりますので、全体の60%を占めるストーリーズはいまや無視できない配信面となっています(参考リリース)

 インフィード同様コンテンツのひとつとして再生されるだけでなく、フルスクリーンかつ短尺でユーザーのアテンションを獲得しやすいといったメリットがあります。また、オーガニック投稿はユーザーのスマートフォンで撮影されたものがほとんどですので、クリエイティブは必ずしもハイクオリティである必要はありません。

 例えば、韓国のファッションブランド「Beanpole Outdoor」は、Instagramのストーリーズ広告で注目を集め、従来の動画キャンペーンと比較して視聴率(View rate)は2倍に、コンバージョン数は1.4倍と非常にポジティブな結果が出たとのことです。実際のクリエイティブはこちらでご覧いただけますが、非常に簡易的な編集(動画上部にテキストとスタンプを追加したのみ)となっており、クリエイティブを構成する要素によってはオーガニック投稿になじむクオリティの方がパフォーマンスを発揮する良い例かと思います。

 Instagramはストーリーズ広告にカルーセル形式が追加(グローバルパートナー企業から順に提供開始)されたことを発表しており、広告主はより柔軟にストーリーズ広告を作成することができるようになります。広告商品としてもローンチから1年未満と新しく、今後も機能アップデートはあるかと思いますので、最新機能を積極的に活用しながら最適化を図っていくことも鍵となるでしょう。

スマートフォン片手に視聴されることを意識すべき「テレビ」

 FacebookはテレビCMについても上記の通りグラフを公開しており、これがインストリームのnon-skippable形式と似たかたちになっていることに着目しています。直近の調査では、テレビの視聴中(大半はテレビCMが流れている時間)にスマートフォンを使うユーザーは全体の94%にのぼるとのことで、これが動画セッション数と視聴時間のグラフに影響しているようです。

 また、テレビCMの視聴をMRCのモバイル動画のビューアビリティ規格(2秒継続でかつ50%以上の視聴面積)に則って計測すると、実際のビューアーはセッション数の半数になるとのことです。Facebook はこれに関して以下の通り補足しています。

That doesn’t mean TV doesn’t work. We know that it does. But the point is that our understanding of how people choose to pay attention, how long it takes to influence them, and how value is created?they all need a total re-work in the mobile era.
(日本語訳)このことはテレビCMが効果的ではないということを言っているわけではありません。我々は、テレビCMが効果的であることを知っています。しかし、ユーザーがどのようにアテンションを向ける先を選択するのか、彼らに影響を与えるのにどのぐらいの時間を要するか、そしてバリューはどのように生成されるのかについて、われわれがしっかり理解することは重要です。モバイル時代においては、それらを頭から再整理する必要があります。

 スマートフォン片手にテレビ番組を視聴することが当たり前となった状況下では、テレビCMに関してもユーザーのアテンションを如何に早い段階で引くかということが重要になってくるのではないでしょうか? 音声オフの状態でテレビ番組を視聴するユーザーは少ないかと思いますので、音声もユーザーのアテンション獲得に有効に活用できるかもしれません。

一人のユーザーとしての体験の中に答えがある

 ユーザーのアテンションを早い段階で獲得することは、どの視聴環境においても重要であることが理解いただけたかと思います。動画の構成だけでなく、それぞれのフォーマットに合わせたアスペクト比やクリエイティブで動画広告を作成することがアテンション獲得の第一歩となるでしょう。

 本コラムの冒頭に、「動画広告を見ない日はないと言っても過言ではない」と書かせていただきました。これは裏を返せば、いちユーザーとして動画広告に触れる機会が数多くあることを意味します。ユーザーとして、それが広告だと分かっていても画面に見入ってしまった時、画面をスクロール・スワイプする手を思わず止めた時の感覚に、何かしらヒントが隠されているかもしれません。

 テレビの視聴中にスマートフォンを使うユーザーは全体の94%にのぼるという調査結果も、広告主の視点ではかなり大きな数字に感じるかもしれませんが、日々の生活を振り返ってみれば自分自身もスマートフォン片手にテレビを視聴していることに気づかされ、納得感のあるものになるのではないでしょうか。

 新しいプラットフォームやフォーマットは今後も引き続き登場してくるとは思いますが、いちユーザーとして感じたことを大切にしていけば自ずと答えは出てくるものかもしれません。動画広告に限った話ではないですが、いち広告運用者としてユーザーになる時間もしっかり持ちながら日々の業務に励みたいものです!

本記事の著者である高瀬氏は3月8・9日に開催するMarkeZine Day 2018 Springに登壇します!講演セッションは「透明性、AI、プログラマティックTVの現在とこれから」です。先行く海外でのマーケティングの最新情報に詳しい高瀬氏から、日本市場におけるプログラマティック広告の先行きを解説します。広告主、代理店、メディアなど立場を問わず、業界の変化に関心のある全ての方に聴講していただきたいセッションです!

本記事は「Unyoo.JP」の記事「5つのグラフから見えてくる視聴環境に応じた動画広告の作り方」を要約・編集したものです。オリジナルコンテンツを読みたい方は、こちらをご覧ください!

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この記事の著者

高瀬 優(タカセ ユウ)

アタラ合同会社 コンサルタント。国際基督教大学(ICU)を卒業後、総合電機メーカーで自社製品の法人営業ならびに販売推進業務に従事。その後、自身がリーダーおよびマネジメントを務める音楽バンド活動に専念し、CDの全国流通や全国ツアー等積極的に活動を行う。2016年よりアタラに参画し、国内はもちろん、グローバルに事業を展...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/03/01 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27979

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