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日本郵便「デジタル×アナログ」実証実験プロジェクト(PR)

日本郵便が模索するデータドリブンマーケティングの「多層化」とは リード創出・リテンションでの可能性

 アジャイルメディア・ネットワークは、昨年から今年にかけて実施している日本郵便の「デジタル×アナログ」実証実験プロジェクトに参加。2月に開催した自社イベントの招待にDMを活用し、メールのみでアプローチするよりも多くの来場者を獲得した。結果報告の前回記事に続き、今後の可能性をひもとく本記事では、リードナーチャリングへの貢献や、同社が主にBtoC企業に提供しているアンバサダープログラムにおいてDMがどう機能するか、その可能性を掘り下げる。

DMによる来場促進のリフトアップは25%

――前回記事では、貴社が主催した、アンバサダープログラムを使っている企業や検討している企業を対象としたBtoBイベントの来場促進にDMを活用した結果をご紹介いただきました(概要は以下)。今回はそれを受けて、アジャイルメディア・ネットワークのクライアントであるBtoCの企業へ、アンバサダープログラムの一環としてDMサービスを提供するに至るまでのステップなどについてお話しいただきます。

 まず、簡単に効果について振り返りとして教えていただけますか?

左から、アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 プラットフォーム部 部長 五十嵐靖也氏、日本郵政株式会社 郵便・物流営業部 担当部長 鈴木睦夫氏
左から、アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 プラットフォーム部 部長 五十嵐靖也氏、
日本郵政株式会社 郵便・物流営業部 担当部長 鈴木睦夫氏

目的:自社主催イベント(2018年2月1日開催)への参加促進
方法:参加見込み客から2000名に対し、1.「メールだけ送る」600名、2.「DMとメールを送る」700名、3.「DMだけを送る」700名にそれぞれアプローチ
DM投函:2017年12月18日
メール配信:2017年12月20日
評価指標:メール開封、Webサイトへのアクセス、イベント参加申し込み、イベント参加
最終来場者数:475名

五十嵐:本イベントは、毎年当社が開催している大規模なイベントです。前年も同じようなタイミングで、メールのみでアプローチをしていますが、CVRのひとつであるイベント参加申込率をみると、各グループの内訳は、メールだけ送ったグループが9.18%に対し、両方送ったグループは17.8%と大きな差がありました。ちなみにDMのみは4.8%となりました。

――メールとDMの相乗効果があったわけですね。

五十嵐:そうですね。2000名というのは人単位ですが、企業単位でみると顕著な差が表れました。上記のグループ2と3、つまりDMを送った企業は7割が来場していて、一方でメールのみのグループ1の企業は5割弱の参加でした。この25ポイント程度の差は、DMによるリフトアップといえるのではないかと捉えており、今回の実験で手応えのあった部分のひとつです。

有望な見込み顧客が来場していた

――他に、前年実施時と異なっていた点はありましたか?

五十嵐:本イベントは代理参加可能でしたので、送付した宛先と来場者の突き合わせをすると、一定数の方が代理で参加していたことがわかりました。これは例年、問い合わせもいただくケースですが、今回問い合わせをいただいた中だと、DMを送った人のほうが多かったようです。

――メールのみのアプローチと比べるとDMを送付した企業では来場率で約25%のリフトアップがあり、送付した宛先とは違う人が来場した率が高かったのですね。

五十嵐:そうですね。特に前者から、リードジェネレーションとして効果があったといえると思います。

 他に単純に前年との違いでいうと、来場者のアンケート回収率が前年は50%弱でしたが、今回は60%以上となりました。また、今回のゴールのひとつに、有望な見込み顧客との商談につなげることを設定していましたが、来場者アンケートで「当社から実際にアポイントを取ってもよいか」の回答に前年比で倍以上、チェックをつけていただきました。数にして約30社から75社となりました。

 この2点で増えた方々が、実際にどのアプローチからお申し込みをいただいた方なのかまで追えておらず、特に商談希望については今回のイベントで行った新しいサービスの発表などの影響も考えられます。厳密にDMの効果であるとは断言できませんが、少なくとも有望な見込み顧客が来場したということには、手応えがありました。

DMとイベントは「アナログtoアナログ」で好相性

――メールとDMの相乗効果や、丁寧さを演出できるDMの特性などについては前回記事でお話しいただいたので割愛しますが、前回になかった点として、まずDMの回覧性というのは興味深い点です。鈴木さん、いかがですか?

鈴木:今回はBtoBの事例なので、自分の都合がつかなくなった場合に同僚や部下が参加することは十分考えられると思いますが、実際にBtoCでもDMが家族などに回覧されるケースは珍しくなく、母親と子どものイベント参加を狙って父親宛に送ることもよくあります。

 肌感覚ですが、メールだと転送しても流されてしまいがちでも、紙のDMというモノがあることで“来場”という確実なアクションを促せているのだと思います。

――鈴木さんはDMの効果を「心のシャッターを開ける」と表現されています。実際、今回も純粋なDMによるリフトアップが25%あったわけですし、DMの印象が深いから、自分が参加できない場合もDMを周囲に手渡す行為が行われているのかもしれませんね。

鈴木:そう考えています。特にイベント参加のような、アクションのアウトプットがアナログな場合、間の申し込みはWebでも、DMから最終アクションはアナログtoアナログになる。その点は、相性がいいと思います。

五十嵐:今回のイベントの無断キャンセル率までは追えていないのですが、紙で届くほうが、キャンセルしにくいのではないかという印象はありました。メールで招待を受けて、デジタルtoデジタルで申し込んだだけだと、行けなくなってもそのままにされがちな気がします。

DMを送った人の関心度合いの検証を視野に

――今回は、あくまでイベント参加を直接的な目的として設計されていたので、実験の評価という意味では余談になりますが、実際に今、イベントを機にアポイントを取って商談を進められている中で、DMについての反響はありますか?

五十嵐:はい。クライアントへお伺いしている担当者の話では、DMが話題に上ることも何件かあると聞いています。送付したのは昨年の年末、かなり忙しい時期だと思うので、それでも記憶に残っているのは大きいですね。

 ご指摘のようにデマンドジェネレーションを主眼とした設計上、その後の商談化といったイベント参加後のリードナーチャリングに対する貢献については可能性ベースの話が多くなってしまいます。そこは今後、挑戦したい点ですね。

 先ほどお話ししたアンケート回答率やアポイント希望件数のほかにも、初参加の方が多かったり、前年は基調講演だけで帰る人が目立っていたのが、今回は最後まで残っていただいた方が多かったりといったプラスの事象もあったので、そのあたりとDMの関係を設計に盛り込めるようにできればと思います。

――今回のイベントに関して、今フィードバックを進めている点などは?

五十嵐:イベント参加者に、今回のイベント資料のダウンロードページをご案内しているので、そこでダウンロードした人がDMを送った人かどうかの付け合わせはできそうです。Marketoと連動しているので、他にも追いかけられる点はあると思います。

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ステップメールのシナリオにDMを組み込んでいく

――今回のようなイベントを絡めたBtoB事業のDM活用で、具体的にどういったところを設計時に盛り込むと、その後のセールスへもDMの効果を反映できそうでしょうか?

鈴木:もし直接的な目的を「商談成立につながる見込み顧客のイベント来場促進」と置くなら、DMから誘導するLP自体を個別URLにするなどして、商談成立というコンバージョンまで個人を追えますよね。

 テストするなら、たとえばバリアブル印刷でパーソナライズしたDMを送り、個別URLで反応があった場合に営業にアラートを飛ばし、そこから電話で営業を開始するのと、DMを送らず一般URLにアクセスした人へメールして、反応があれば営業を開始するのとで、案件化率に差があるかを見る方法などが考えられます。

 イベント参加を最初の指標として、そこを起点にDMを含めたリードナーチャリングをしていくと考えると、イベント参加後もメールでアプローチし、反応しない人にはDMで、といったシナリオを展開することもできます。

――ステップメールの中に、DMを組み込むということですね。

鈴木:ええ。私も異なる業界の事例を支援する中で実感していますが、メールに反応する人がしない人に比べてCVRが高いかというと、そんなことはないんです。実はDMなら有効で、そこから同じ率でコンバージョンしたりする。

 つまり、メールに反応しないからとコールドリードに分類したグループに、別の方法でアプローチしたら「ホット化」して引き上がる可能性は十分あるので、アプローチのチャネルを変えるだけで獲得できるビジネスがまだまだあるんですね。

 特にBtoBは1件の成約の額が大きいですし、むしろ業種によってはDMがきっかけのほうが商談が早く、結果的にDMのコストを吸収してしまうことも珍しくないので、丁寧なコミュニケーションにコストをかけても見合うのではと思います。

DMによるリテンションの可能性

――今回、アジャイルメディア・ネットワークさんがDMを試されたのは、最終的に御社の顧客であるBtoC企業に対してアンバサダープログラムのメニューとしてDMサービスを提供することも視野に入れてのことでした。その点、今回の結果からどのようなことが考えられますか?

五十嵐:アンバサダープログラムは、リードナーチャリングとはまた違って、アンバサダーになってからのリテンションが課題になるケースが多いです。長く続けていただいている企業ほど、アンバサダーを日常的に活性化し続けるのが難しくなってきますし、古参の方と新規の方、またホットかどうかなどによって本来はコミュニケーションを変えたいところです。

 そのとき、ユーザーのタイミングに応じて、またクリエイティブも変えて、心を開く効果のあるDMを使っていければ効果が見込めるだろうとイメージしています。具体的には新規の方に2回目のアクションを促す、などですね。

鈴木:ユーザーのアクションをトリガーにして、メールで反応しない人にDMを送るのは、効果が期待できそうですね。従来の、イベント誘引など企業都合のタイミングでDMを送る方法はもちろんありますが、たとえば「Twitterで言及した」といったタイミングを捉えてコンタクトできると、その新鮮な印象が活動の継続につながる可能性はあると思います。アンバサダーはそもそもファンなので、いっそ新製品のお試しを届けるのもいいかもしれない。

五十嵐:逆に、離脱の兆候を分析して、その兆候がある人に「最近どうですか?」といった声かけをDMでするのも試してみたいですね。

鈴木:それもいいですね。本当に様々なシナリオが考えられると思います。ただし、ユーザーアクションをトリガーにするにはコミュニケーションの自動化が必要ですし、業種やユーザーの質によっては効果が出ないこともあると思うので、検証が必要ですね。

――DMがデータドリブンマーケティングのシナリオに普通に組み込まれていくと、DMを扱うプレーヤーも変わりそうですね。

鈴木:まさに、そう思っています。デジタルもアナログもフラットに使いこなせると、シナリオも多層化してリッチになりますし、そのプレーヤーが提供するサービスの価値も上がるはずです。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/18 16:22 https://markezine.jp/article/detail/27997