「効果計測」だけではなく「施策実行」につなげたかった
MarkeZine編集部(以下、MZ):2017年10月2日にアドエビスとLogicadの連携することが発表されてから半年以上経過しました(プレスリリース)。本日は連携することでどのような価値が提供できるのかに加え、実際に利用されているワンスターの青木さんにも対談に加わって頂き、実際に配信してみてどうだったのか率直なお話を聞きたいと思います。まずはアドエビス、Logicadそれぞれの担当者の視点から連携の狙いを聞かせてください。まずは廣さんからお願いします。
廣氏:株式会社ロックオンの廣です。アドエビスは提供開始から14年を数え、広告効果測定市場では40%以上のシェアを獲得するサービスとして発展しています。これまでお客様に提供していた「計測サービス」はPDCAの「Check(効果測定)」としての比重が大きかったため、計測したマーケティングデータを「Action(施策実行)」に活かしたいという声をお客様から多く頂いていました。
MZ:御社がマーケティングプラットフォーム構想を打ち出されたのは、確か2015年頃だったと記憶しています。岩田社長が「サードパーティーベンダーにデータを開放しマーケティングプラットフォーム化していく」とおっしゃっていたのが印象的でした。その流れと地続きということでしょうか。
廣氏:はい、そのとおりです。アドエビスは企業が実施するマーケティング施策のあらゆるユーザー接点を計測しているので、これらの蓄積データを最も活かせるのは「広告配信」です。DSPを提供されている会社様との連携を模索した結果、ソネット・メディア・ネットワークスさんのLogicadとお取り組みをさせて頂くことになりました。
MZ:御社から見てLogicadと組んだポイントはどこにあるのでしょうか。
廣氏:計測データから広告配信を行う上で大事なポイントは「配信可能ユニークユーザー数を確保できるかどうか」だと考えていました。アドエビスのデータを活用し、ユーザーの行動パターンを分析していくことで、最もコンバージョンに近いユーザーリストを作成することが可能です。このユーザーリストへ配信ができれば、広告のパフォーマンスを最大限に高めることができます。しかし、分析条件を厳しくする程、配信ボリュームの確保が難しくなるという課題も発生します。
そこで、弊社が重要視したのが類似ユーザーへの拡張配信技術です。Logicadは人工知能を用いた拡張配信技術に秀でており、アドエビスでセグメントした優良顧客のデータから精度高く類似ユーザーへの拡張配信ができます。
加えて「最低出稿金額の制約がない」という点も大きなポイントでした。今回の取り組みはアドエビスにとって新たな試みであり、お客様が利用する際の導入障壁を下げるためにも、最低出稿金額がない点は大きなメリットと考えています。
質の高いデータを掛け合わせ、高精度な配信を実現
MZ:では次に黒澤さんお願いします。御社としてはどういった点に魅力を感じたのでしょうか。
黒澤氏:Logicadは自社開発のDSPで、常時3,500件超のキャンペーンを展開しています。これまでも広告配信効果の最大化を目的として、様々なパートナー様とのお取り組みを進めさせて頂いておりますが、広告主側のデータを保有するアドエビスのような広告計測ツールとの連携は初めてでした。
広告効果を最大化するためにデータは必要不可欠ですが、そのデータが広告主さらにはその先のユーザーに近ければ近いほど良いデータだと考えていたこともあり、アドエビスとの連携には魅力を感じていました。
MZ:連携発表時からこれまでで予想以上の反響だったと聞いています。
黒澤氏:そうですね。発表からこれまでで60社以上のお引き合いを頂いており、嬉しい悲鳴をあげております。今回の連携話が両社の検討にあがったのは一年ぐらい前だったと思います。そこから半年ぐらい両社でより効果的な協業について議論したのですが、いざ実装フェーズに入ると非常にスピーディーに進みました。弊社側の視点からも今回の連携は非常にシンプルな発想なのです。
MZ:と、いいますと?
黒澤氏:Logicadの特徴の一つである人工知能「VALIS-Engine」を使った精度の高い広告配信技術とアドエビスのデータを組み合わせることで、今までLogicadだけではリーチできなかったユーザー、もしくは発見できなかった優良顧客への広告配信が可能となります。
さらに類似ユーザーへの拡張配信機能も優れているので、優良顧客となりうるであろうユーザーを高精度で発見し、効率的な新規顧客および認知獲得にもつなげられると考えておりました。
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互いの良い点を掛け合わせたことで生まれた相乗効果
MZ:お互いの良い部分の掛け合わせた取り組みですね。両社が連携することでどのような価値が生まれるのでしょうか。
廣氏:先ほども少し触れましたが、計測データを活用した”攻めのマーケティング”を実現できるようになったのは、「マーケティングプラットフォーム」として非常に大きな進化だったといえます。マーケティングデータを企業資産として蓄積し、膨大なデータの活用方法を多方面でご提示できるのは、DMPの思想に近いといえるかもしれません。
今回の連携により、初回の認知効果が出ているメディア接触者にリターゲティング広告を配信したりや、コンバージョンしやすい行動パターンのユーザーに拡張配信するといった、アドエビスのデータを新たな打ち手につなげられます。結果的に運用効率のアップにも貢献できます。
MZ:アドエビスと言えば「広告効果測定ツール」というイメージが大きいですが、確かに活用イメージはDMP的な発想に近いですね。
廣氏:性別、年齢、居住地域といった、デモグラフィック情報をはじめセグメントの切り方は様々ですが、アドエビスの強みはなんといっても「ユーザーの行動ログ情報」を提供できるという点です。それが他のDMPとは一線を画している点であり、価値の高いデータだと自負しております。
黒澤氏:Logicad側の視点から連携の価値を申し上げますと、アドエビスだからこそのセグメントで広告配信ができるようになったのは大きいと思います。わかりやすいところだとLogicad以外の施策も含めて、コンバージョンしているのか、していないのかというデータと連携させた配信などですね。
MZ:御社だけでは手に入れにくいデータを掛け合わせることで、より効果的な配信が実現できますね。
黒澤氏:まさにそうですね。人工知能を活用した拡張配信は質の高い元データがあればあるほど精度も高くなります。弊社が単体で行う拡張配信よりもアドエビスのような様々な施策に対するユーザーの行動ログ情報を掛け合わせた方が、効果が高まる傾向にあります。リターゲティングだけではなく、母数を広げて配信ができるので新規顧客を効率良く獲得する施策にも極めて効果的です。
予想を上回る効果を実感
MZ:ここまで連携によるメリットをサービス提供側それぞれの視点から語って頂きました。続いてこの連携サービスを使う側であるワンスターの青木さんにどう感じたのか聞いていきたいと思います。青木さん、お願いします。
青木氏:株式会社ワンスターの青木です。セールスコンサルティング部に所属し日々クライアントの広告運用と向き合っています。今回は健康食品のクライアントの案件でこの連携サービスを利用しました。そもそもの話なのですが、健康食品は薬機法(旧薬事法)を始めとする法令や、媒体の広告掲載基準など、様々な制約に遭遇するケースが多いです。その制約の中で効率良く獲得できる広告はなんだろうかといつも頭を悩ませています。
MZ:そういった厳しい条件の中で今回の連携サービスが役立ったということですね。実際にやってみてどうだったのか感触を教えてもらえますか。
青木氏:結果からお伝えすると、獲得効率を維持したまま、配信の母数が約2倍まで伸びました。元々アドエビスとの連携配信を開始する前から類似拡張配信のご提案を頂いていて、良い結果につながっていたという経緯もあり悪くなるイメージはありませんでしたが予想を上回る結果でした。
MZ:元々Logicadの拡張配信で効果を実感していた中、元データが違えば違うユーザーに配信できるので結果的に母数が増えたということですね。
青木氏:そのとおりです。今回は弊社側でアドエビスのデータを準備しLogicadにそのセグメントを連携して配信しました。配信条件を設定する上で、最初に行ったのが現状分析と拡張する媒体選定です。
全ての広告をアドエビスで計測していたので、そこから重複やアトリビューション効果を加味して媒体選定を行いました。今回はコンバージョン数の底上げが目的だったので、アドエビスの計測結果からコンバージョンの獲得効率(CPA・CV数)が最も良い媒体を選びました。
次に、選定した媒体のコンバージョンユーザーリストを作成し、Logicadで拡張配信を行いました。条件としてはかなりシンプルな配信ですが、結果的にはそれがよかったのかなと感じています。
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成功のカギは最初から細かくセグメントをしないこと
MZ:ワンスターさんのお話を聞いてお二人としてはいかがでしょうか。
廣氏:アドエビスのデータを活用した拡張配信が、良い結果につながったと聞けて非常に嬉しいです。もちろん青木さんの勘所の良さが大きかったと思いますが、複雑なことをせずにまずはシンプルなセグメントで拡張配信してみたところ、結果につながったということなのでこういった知見をきちんと伝えていきたいと思います。
MZ:デジタルマーケティングは可視化できてしまう分、細かくセグメントしすぎてしまうという弊害は良く聞きますが、まずはシンプルにやってみる大切さがわかりますね。黒澤さんはいかがでしょうか。
黒澤氏:「そもそも、どうセグメントを切って配信すればよいのかわからない」「セグメントして配信してみたがボリュームがでない」など、セグメントに関するお悩みはよく伺いますし、解決していかなければならない課題だと認識しております。その中で今回の事例は一つの解決策としてご紹介できるのでありがたいですし、実際にその効果を実感してもらうためにしっかりとサポートしていきたいと考えております。
青木氏:私自身もまだまだ試行錯誤中ですが、最初はざっくりとしたセグメントで配信してみてその結果をアドエビスで計測し、それを元にセグメントを作り直すといったサイクルを回していけるとよいのではと思います。
密なコミュニケーションでさらなる進化を
MZ:最後に今後について教えてください。それぞれの立場からどのようなアクションを考えていますか。まず青木さんから教えてください。
青木氏:今回実際に配信してみて、アドエビス側のデータ設計が大事だと感じました。そもそもアドエビスのデータを使って広告を配信するという発想がなかったので、発想の転換が必要ですね。
チェックツールとしてではなく、DMP的な発想で「こんなデータが取れているからこんなセグメントでの広告配信ができるかもしれない」という視点で取り組んでいきたいですね。できること、やりたいことはたくさんあります。まずは今の枠組みの中で色々なセグメントにチャレンジしていきたいと考えています。
廣氏:青木さんもおっしゃったようにアドエビス側でのデータ設計は重要なポイントです。その重要性が高まってきているので、最近は私たち自身が導入の初期段階で設計のコンサルティング入るケースも増えています。中長期的な視野に立ち活用を促進していきたいですね。
黒澤氏:まずはこれまでお申し込みを頂いているお客様の要望にきっちりと応えていきたいですね。これまで弊社はクライアントを中心に向き合っていたので、何か要望を頂いてそれに対して応えるというコミュニケーションだけでしたが、今回ロックオンさんとコミュニケーションをさせて頂きつつ進めることで「あれもできます」「これもできます」というように、ディスカッションしつつ進められたことは大きな収穫でした。
廣氏:まさに黒澤さんがおっしゃるようにコミュニケーションは重要だと思います。どういう意図でセグメントを切ったのか。その狙いはなんなのか。それぞれの目線を合わせつつ進めていかないとよい成果に結びつけることはできません。「こういう目的でやっていきましょう」という握りをきちんとやることが大切です。
ローンチしてからまだ半年のサービスではありますが、お引き合いも多く今後も色々な事例を増やしていきたいと考えております。皆様の期待に応えるべく、関係者一丸となってサービスを磨き上げていきたいですね。
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