SpiderAFで誰でも不正を特定
――ではあらためて、Phybbitとアドイノベーションが一緒にアドフラウド対策に取り組まれた理由を教えてください。
細川:以前から私たちは独自にインストールデータの分析を行い、アドフラウド対策を進めていました。しかしログデータをもとにエクセルでレポートを作成し、不自然なデータを指摘して、統計的な観点で判断をするという一連のフローは、コストと時間がかかり過ぎていたんです。
そのような状況でSpiderAFを知る機会がありまして、その機能と私たちが手動で行っている対応が似ていることに気づいたのです。ならば一緒に開発をしましょうという話になりました。
大月:元々SpiderAFはWeb向けのサービスが先行しており、アプリ向けを開発中というタイミングで、今回の取り組みがまとまりました。アドイノベーションさんが持つモバイル広告の知見やアドバイスをいただいたおかげで、一層アプリ向けの機能が充実したと思います。
――SpiderAFを導入し、どのような成果が得られていますか。
細川:SpiderAFのコンセプトである、怪しいものを可視化し客観的な証拠として作り上げるという仕組みを取り入れられたのは大きいです。
さらにツールを導入したことでアドフラウド対策への高いノウハウが標準化され、誰でもアドフラウドを検出し、次のアクションが取れる体制を整えられたことが素晴らしいですね。やはりログデータのみでは、アドフラウドの判断が属人的になってしまいますから。
不正に関わる項目を細かにスコアリング
――SpiderAFの具体的な機能を教えてください。
細川:SpiderAFでは利用者が配信しているアドネットワークごとにレポート生成をし、アドフラウドと見られるデータがないかスコアリングしています。配信先のどの面のデータが疑わしいか追える上に、スコアをもとにアドフラウドかどうかも判断しやすいのが特徴です。
大月:ダッシュボードでは、スコアの他にインストール件数、データセンター経由の有無、端末の種類などが確認できるようになっています。疑わしい部分は色が変わるなど、アラートのサインが出るようにしています。
ラストクリックから初回起動までの時間を確認し、インストールファームやハイジャックやフローディングの判定に役立てております。また、端末情報や言語設定やOSのバージョンを見て、現在の日本のアプリ市場における分布との乖離を比べ、Botや海外のスプーフィング(なりすまし)や一見正常に見える不正インストールを弾いています。
業界全体で対策強化を
――広告配信先であるメディアとは、どのような連携を取られていますか。
細川:以前から取り組んでいたアドフラウド対策に、SpiderAFを導入し、エビデンスとして活用していくことを伝えています。前もって、どの基準を超えたらアドフラウドと見なすかという運用基準を共有し対策を進めているところです。
最近では海外事業者が運営するアドネットワークへ出稿するケースもありますので、一層メディア側との協力は必要になるかと思います。
――最後に、今後の展望やアドフラウド対策として取り組みたいことを教えてください。
細川:広告主・メディア・広告代理店と、ネット広告に関わるすべてのステークホルダーへ、共通の理解や知識を共有できるように働きかけたいですね。このままネット広告市場の信頼性が低くなってしまうのは避けねばなりません。
各社が協力をしてアドフラウドの撲滅に取り組めるようなサポートをしたいです。そのファーストステップとして、広告測定ツールの機能と併用できるSpiderAFを活用したご支援ができたらと考えています。
大月:アドフラウド対策で難しいのは、関係各社が足並みをそろえて対応しなければならない点です。不正とはいえ、クリックやインストールが多く見えますし、獲得単価が下がるので問題ないと判断する企業も、もしかするといるのかもしれません。しかし、それは確実に間違っています。
アプリ広告のKPIの見直しなど、マーケティング活動そのものに関わってくるのがアドフラウド対策です。業界全体の意識が変わるような働きかけを、アドイノベーションさんをはじめ様々なパートナーと行いたいと思います。