その2.コミュニティの声を社内に届ける
コミュニティマネージャーは、ユーザーに一番近い存在です。ユーザーと直接話す機会が多いため、多くのユーザーインサイトをもっています。
「コミュニティでは、こんなお客様の声があります」「コミュニティには、こんな人達がいます」という情報を、ぜひ社内に届けてください。たとえば、社内の空いたスペースに張り出す、事業部全体にメールを出す、社内掲示板やスラックチャネルを作るなどして、日常的に社員の目に入るところを活用してみましょう。オンラインであれば、少なくとも週に1度くらいの目安で情報をアップデートしてください。
定量的な声は、質問をタイプ分けしてデータ化し、まとめて掲載。定性的な声は、ソーシャル・メール・口頭で受け取ったユーザーの声を整理し、まとめて送ります。実は、PinterestやAirbnb、メルカリも、ユーザーの声を社内の廊下に貼ったりしていました。
カスタマーセンターは、どちらかというと、使い方などの質問やネガティブな意見を拾い上げていることが多いと思います。が、それ以外のユーザーの声を聞けるのが、コミュニティマネージャーの醍醐味です。
その3.社内のメンバーとコミュニティの交流を図る
次に挑戦していただきたいのは、社内経営層・開発課などとユーザーが直接接触する場を作ることです。こうした接触の場は、大きく2つに分けられます。
一つ目は、ユーザーの声を社内の人に聞いてもらう機会。この場合のコミュニティマネージャーの役割には、事前準備として、ユーザーのサービス理解度などを明確にし、具体的な質問項目を決めておくことがあります。
また、ユーザーとのやり取りを記録する際は、その様子を録画しておくと良いでしょう。ユーザーの反応や表情をライブ感のある形で記録・共有するすることができます。加えて、要点をテキストでまとめたレポートを送ることも大事です。
逆に、会社の声をユーザーに聞いてもらう場も作ることができます。こういう場に来てくれるユーザーは、既にプロダクトを愛してくれるユーザーですから、開発の裏話などニッチな話も興味深く聞いてくれます。
たとえば、マツダが新商品の発表会で、コミュニティメンバーを招待し、開発のストーリーを披露することは有名です。一般的に、新商品の発表会はメディア向けのものというイメージがありますが、広報的な機能だけでなく、コミュニティマーケティングとしての機能も果たすのです。
もう一つ、私のクライアントでもあるTime Treeは、スケジュール共有に特化したカレンダーアプリ。Time Treeでも3月にコアユーザーのためのイベントをオフィス内で開きました。応募抽選に通ったユーザー30人に対して、開発チームがプロダクトを作った背景を話しました。また、新しいプロダクトを発表し、ユーザーからその場でフィードバックを受けるなど、密なコミュニケーションも取ることができました。
こういった場でコミュニティマネージャーに求められる役割は、会の運営だけではありません。SNSや口コミによる拡散を、ユーザー目線でディレクションすることはもちろん、社内向けにはユーザーに受け入れられるコンテンツを提案することも、コミュニティマネージャーの仕事です。
