分散型の時代が訪れている
いま、時代は分散型だ。私はそう感じている。それを明確に意識する破壊的な企業がある。メタップスと Preferred Networks だ。
メタップスの佐藤航陽氏著『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(幻冬舎 2017年)によると、テクノロジーの変化は点ではなく線で捉えることが重要で、流行りのバズワードを追っかけていても何も見えてこない。
ビッグデータやIoT、AI、ブロックチェーン、AR/VRなどの最新テクノロジーは、社会システムに対してそれぞれどのような変化を引き起こすのか? 点と点をつないで線にして、大きな変化の流れを一つの「現象」として理解すべきだ。佐藤氏は、次のように書いている。
「では、お金や経済の世界において最もインパクトのある現象、大きな変化の流れとは何でしょうか?(中略)これから10年という単位で考えれば、それは『分散化』です。」(『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』 )
一方で、Preferred Networks の西川徹氏は「エッジヘビーコンピューティング」というモデルを提唱する。現在のクラウドコンピューティングでは、AmazonのAWSのように、データを1箇所に集めて処理するのが主流だが、このやり方は遅かれ早かれ破綻する、と西川氏は考えている。
これから、IoTによって膨大なデータが生成され、リアルタイムでの処理が要求される。それをネットワークでクラウドにアップしていちいち処理するのでは間に合わない。
「そこで、私たちは、『エッジヘビーコンピューティング』という、クラウド・ネットワークデバイス・エッジデバイスが分散協調的にデータ処理を行うための新しいコンピューティングを提唱」している、と西川氏は語る(参考)。
Preferred Networks の西川徹氏は「分散協調的」という言葉を使う。彼もまた、「分散」に注目している。いま、「分散」を意識した二人の経営者が、時代を先取りする。「時代は分散型なのだ」と私が感じる理由の一つだ。