広告メディアとして唯一無二の存在となったTwitter
#TwitterBrandSummit のテーマは、「Win Launches!」。これは、新商品や新サービスの発表だけでなく、既存商品の再アプローチも含めた「ローンチ」を、Twitterの持つ「リーチ・速さ・影響力」を最大限に活かし支援していくという戦略だ。
Twitterは「いま、起きていることや人々の思い」の集合体。このパワーをマーケティングに活かすには、ローンチ前・ローンチ当日・ローンチ後という3つのフェーズで、そのタイミングに最適な会話量(利用者のツイート)を生む設計をし、話題化させることがポイントとなる。
その方法についてTwitterは、「ローンチ当日に会話量が最大となるよう設計することが重要だ」とした。ローンチ前は利用者に期待感を抱かせる施策、ローンチ後は継続的に会話が続く施策を考えるとよいだろう。プロモビデオやプロモライブビデオなど訴求内容を多く伝えられる動画広告や、目に付きやすいプロモトレンドやファーストビューなど、多様なTwitter広告を活用し、会話量を作っていく。
特に広告ツイートに接触し動画を視聴した人の態度変容は大きい。広告ツイート非接触者・広告ツイートのみの接触者に比べ、ツイート想起・認知・購入意向が高くなっている。
その背景にあるのは、新しい情報を自ら探したいという「Discovery Mindset」を持ったTwitter利用者たちの存在。利用者自らがブランドについてツイートし、会話をすることがブランドと利用者の絆を深め、ブランドエクイティ(ブランドが持つ資産価値)の形成につながるのだ。
ライオンの新ブランドNONIOのTwitterマーケティング
では、実際にTwitterでローンチキャンペーンを成功させている企業の事例を見ていこう。最初に登壇したのは、ライオン ヘルス&ホームケア事業本部 オーラルケア事業部にて新ブランド「NONIO」(@lion_nonio)を担当するブランドマネージャーの柳田洋顕(ひろあき)氏。
はじめに柳田氏は、NONIOのブランドストーリーについて語った。「口臭科学から生まれたNONIO。」というブランドコンセプトで、オーラルケアの商品として口臭を防ぐという機能価値だけでなく、ポジティブな人間関係をサポートするという生活価値にも重きを置いている特長を持つ。
オーラルケア市場においてシェアトップを走るライオンだが、20代から30代の若年層に対してアプローチできていないという課題を抱えていた。歯ぐきトラブルなどの悩みが生まれる40代以上に対し、若年層はオーラルケアに対する関心が薄い。そこでライオンはターゲットのインサイトを深く掘り下げることから始めた。
「NONIOのターゲット世代は、オンライン含めた複数のコミュニティに属しており人間関係が多様化しています。ゆえに、他人から嫌われるリスクに非常に敏感です。このことから、セルフケアで気づきにくい口臭対策に、オーラルケアの視点を踏まえアプローチしていこうと戦略を立てました」(柳田氏)
2017年8月のローンチ後、NONIOの昨年実績は、ハミガキが計画に対し1.4倍、デンタルリンスが計画に対し1.8倍の売り上げを達成。いずれも当初計画を大きく上回り好調である。
そんなNONIOの成功を生み出したプロモーションプランは、どのようなものだったのか。
NONIOには、機能価値と生活価値の側面から訴求できるポイントが多くある。そのポイントを盛り込んだ自己紹介的なクリエイティブをテレビCM、交通広告、Webサイト、シネアドとあらゆるタッチポイントで展開。そしてマス広告だけではメッセージが届きにくい若年層に対し、コアなチャネルとなったのがTwitterだった。
#クリスマスボックス キャンペーンで、認知拡大を後押し
Twitterでのプロモーションは、大きく3つ。
公式アカウントによるローンチ前のアンケートツイートと、ローンチ当日の動画配信。そしてローンチ後に行った、#クリスマスボックス キャンペーンの実施である。まさにTwitterが提唱する「ローンチを3つのフェーズに分け、ローンチのインパクトを最大化するフォーマット」を実践したのだ。
まずローンチ前は、「口臭は気になりますか?」などのアンケート型ツイートを発信。さらにその回答結果を動画にまとめて配信することで、口臭ケアの土壌作りに貢献した。
そしてローンチ当日は、TwitterのファーストビューでCF(commercial film)を配信。818万再生と、認知獲得に貢献している。
意外なメリットとして「テレビCMと同じ素材を配信しましたので、クリエイティブに対する評価もツイートの反応でわかります」と柳田氏。同日は商品にまつわるツイートも多く、特に通勤時間帯・お昼・帰宅時に大きくツイート数が伸び、ターゲットに届いているという結果が得られた。
そしてローンチ後に実施したのが、Twitterが例年12月に行うプレゼントキャンペーン「#クリスマスボックス」だ。これは12月1日から25日まで、対象のアカウントをフォロー&リツイートした利用者に、抽選でプレゼントが当たるというもの。
クリスマス・イブまであと10日。
— 口臭科学から生まれた NONIO (@lion_nonio) 2017年12月13日
出会いを求めてラストスパート!気になる子の隣に座って、堂々と話そう!#NONIOで楽しいクリスマス#クリスマスボックス
フォロー&RTで100名様にNONIOセットが当たる。https://t.co/Tg7uJYMMHA pic.twitter.com/KKcnL84DSm
協賛したNONIOは、機能価値・生活価値の両面から訴求するクリエイティブを24種作成。期間中それらを1種ずつ配信し、認知拡大を進めた。またプレゼント当選者が思わず写真を撮ってツイートをしたくなるようなラッピングにもこだわり、会話の自然発生を設計している。
「テレビCM放送後のキャンペーンでしたが、初めてNONIOを知ったという方が35%と、新たな認知獲得につながりました。またテレビCMのみの接触者よりも、テレビCMとTwitter広告の両方に接した人のほうが、態度変容が2倍ほど高いという結果が出ています」(柳田氏)
現在ライオンでは、NONIOの生活価値によりフォーカスした「口を開けば、心が近づく。ひらけ、自分。」のプロモーションを展開中。Twitterでもファーストビューオンリーを実施し、ターゲットとのコミュニケーションを構築し続けている。
「Twitter運用のプロ」ローソンが抱えるマーケティング課題とは
続いてのスピーカーは、ローソンのマーケティング本部長を務める野辺一也氏だ。
ローソンはフォロワー数310万を超える公式アカウント(@akiko_lawson)を運用。Twitterが発表した2017年・ブランドカテゴリにおける最も使われたハッシュタグランキングにおいて、複数の関連ハッシュタグが選ばれるなど、Twitterをうまく活用している企業のひとつである。
その背景には、あらゆるターゲットを対象とし多くの商品を扱うコンビニゆえの課題があった。それは、メインターゲットとなるビジネスパーソンは忙しく、テレビCMでは訴求しきれないということだ。ローソンは2017年7月からの6ヵ月間、商品CMの出稿をストップし、デジタルマーケティングに集中するというチャレンジングな戦略も実行してきた。
このような状況において野辺氏は、あらためてローソンのTwitterに対する厚い信頼を明らかにした。
「実は、ほとんどの方がコンビニはどこも同じという感覚をお持ちです。つまり、欲しい商品・ブランドとしてローソンが想起される訴求を朝・昼に行えるかが勝負。Twitterの利用が伸びる時間帯とコンビニで物が売れる時間帯は見事にシンクロします。短い時間の中で情報収集をするお客様に対し、Twitterは重要なメディアなのです」(野辺氏)
さらにコンビニの購買は、その日の気温や天気に左右されやすい。それに対しTwitterは状況に合わせたタイムリーな発信ができるため、ビジネスパーソンにも的確にアプローチできるという。
クロスメディア活用で、次の可能性を発見
現在ローソンが取り組んでいるのは、Twitterとのクロスメディア施策だ。特にTwitterとテレビの両方に触れているターゲット層に向けた施策に注力している。
例えば、情報番組などをきっかけとし、特定の商品が突然売れるという現象。この機会を最大限活かすには、テレビCMでは告知までの期間を考えると間に合わない。
そこでローソンは、柔軟性・即時性の高いTwitterで訴求を行っている。これにより、ローンチ前に話題が設計できる新商品だけでなく、「発売1周年記念」「メディアで紹介されました」のように既存商品の話題化へもすぐに対応可能なのだ。
続いての事例は、シズル感のある食べもの動画をTwitterで配信する「ごちろう。(ごちそうローソン)」キャンペーン。コンビニは3,500種類以上の商品を持っている。あらゆる世代のお客様に、それぞれにあった商品があるため、1人の著名人を起用してオールターゲットに訴求することは難しい。
見た目もとても綺麗な「まぜまぜサラダ」が新発売です♪「緑」と「赤」、それぞれの色をメインにした、混ぜて食べるサラダです(^^) #ローソン #ごちろう https://t.co/tD0vnv0Osf pic.twitter.com/DHV4kVccRS
— ローソン (@akiko_lawson) 2018年5月24日
そこで同キャンペーンでは、タレントや有名声優など特定のコミュニティで支持を集めるキャスティングを行い、お勧め商品を紹介する音声のみ出演の動画を制作し、配信。「1,700万人にリーチし、完全視聴率も23.86%と大きな手応えを感じています」と野辺氏は語る。
お客様のリアルな本音をTwitterで受け取る
さらに、メディアミックスの事例も紹介された。フジテレビ系列「めざましテレビ」の人気コーナー・めざましじゃんけん。データ放送の機能を用いて、じゃんけん参加者に抽選でローソンのコーヒーのクーポンが当たるというキャンペーンを行った。Twitterでは「当たった」ツイートで盛り上がったという。
「キャンペーン期間の5日間で数百万の応募がありました。ローソンはもちろん、フジテレビさんの公式アカウントからもツイートし、さらに参加者の方もツイートする。この3方向から相乗効果が生まれ、Twitter内で話題となり、視聴率にも影響が出るという結果になりました」(野辺氏)
公式アカウント・広告メディア・お客様とのコミュニケーションツールと、Twitterに多様な価値を見いだし活用しているローソン。締めくくりに野辺氏は、ローソンが導入を進めている無人決済ツール・ローソンスマホペイを紹介し、ここでもTwitterへの期待を覗かせた。
「現在ローソンスマホペイは都内3店舗でテストを行っています。これに限らず新商品やサービスは、フィードバックが重要です。Twitterは本音を話すツール。ポジティブ・ネガティブともに、お客様のリアルな反応をTwitterで受け取れればと考えています」(野辺氏)