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Overture出身の先駆者たちの選択と次の一手

【フロム×香川対談】子どもを持ちながら第一線でいられる?進化の速い業界で働き続けられた理由


カルチャーを変える第一歩は、状況の共有から

――心強いですね。営業だと特に、クライアントへの対応や夜の会食など続けにくい印象もありますが、難しさはありませんでしたか?

香川:たしかに、会食も含めてクライアント対応については、私も最初は懸念していました。でも、接待で仕事を取るみたいな文化はどんどん薄れていきましたし、営業こそ数値で評価されるから時間に縛られないし、負けず嫌いの私にとっては働きやすいと思うようになりました。ただ、成果を出しているからといって、いつも晴れ晴れと「お先に!」といえたわけではなかったです。早く帰る私はどう思われているんだろうと、周りの目が気になって。

フロム:そういうカルチャーを変えたいなと、ずっと思っていましたね。それぞれの事情と柔軟な働き方を受け入れる雰囲気があれば、皆が働きやすくなるじゃないですか。

――周囲の理解、ですよね。最初にグレースさんは、ファミリー全体をサポートしたいとおっしゃいましたが、それは今のCriteoでも実践されているのでしょうか?

フロム:ええ、 2016年にここへ来てしばらくして、まずは皆のことを理解しようと思って子育て中のメンバー10人ほどと“お茶会”をしたんです。ワーキングマザーもファーザーも含めて。そうしたら、本当に驚くほど全員が全員、状況が違っていて。両親が近くにいて頼れる人、近いけど頼れないとか遠方に住んでいる人、旦那さんが忙しすぎたり非協力的だったりして一人で奮闘している人……。子育てというと女性中心に思われがちですが、家事も育児も完全に分担していて、すごく大変そうな男性もいました。サポートの形に、答えはないんだなと。

香川:そう、正解はないんですよね。でも、理解しようという上司がいて、そうやって皆で話せるだけでも、カルチャーが変わっていく一歩になるはずです。うちみたいに10人ほどだとお互いの信頼関係で仕事を進められますが、100人単位になってくると、理解のある女性が幹部にいるかどうかで、働きやすさがかなり変わってくる気がします。やっぱり、共有できる誰かがいることって大事です。皆、抱え過ぎですよね。特に日本の女性は、伝統的にがんばり過ぎるところがあるかなと思いますね。

It takes a village. 仕事も育児も皆で支え合えたら

フロム:そうそう、お弁当とか!

香川:キャラ弁ね。あと、手づくりの幼稚園バッグとかも。そういうのも仕事と同じで、エンジョイできることが大切だから。

フロム:私はもう娘が大人になったし、晴代も少し手が離れたからこうして振り返れますけど、私たちも決してパーフェクトじゃなかった。私は仕事が忙しくなったころ、北海道から自分の母に上京してもらって同居を始めたから、本当に恵まれていました。娘はおばあちゃんから日本語を学べたし、おいしいごはんを食べられて。そもそも“very supportive 旦那”だったから、彼じゃなかったらここまで仕事をできなかったと思います。

――だから、ファミリー全体をサポートしたい、という考えをお持ちなんですね。

フロム:ええ。女性ばかりに偏りすぎたら、それはやっぱりつらいですよ。だから、It takes a village. これは児童教育をテーマにヒラリー・クリントンが記した書籍のタイトルになっている言葉で、元はアフリカの「It takes a village to raise a child」ということわざだそうです。子どもを育てるには、村の皆の力が必要だという意味合いですね。

 ママだけじゃない、パパももちろん、両親やほかの家族や、ご近所の人。会社の上司、同僚。ひとつの村のように、皆で支え合おうよ、と。私は母に子育てを助けてもらえましたが、彼女も少しずつ支えが必要になる年齢で同居したのは、彼女にとってもよかったんじゃないかと思います。それぞれがmy villageをつくりながら、誰かのvillageにもなっていく。

香川:仕事も育児も、チームワークですよね。会社だって家族外家族みたいな感じで、手伝ったり理解したりしてくれる人は皆が味方。特にこれからマネージャーになる人は、支えてもらった経験があってほしい。働く人の多様性がもっと広がる中で、きっとマネジメントの力になると思います。さまざまなハードルが一気に消えることはないですが、ポジティブな体験を次の人へ返していければ、少しずつ皆が働きやすい環境になっていくと思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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2018/07/19 11:01 https://markezine.jp/article/detail/28774

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