ジェネレーションαを読み解く5つの特徴
日本においても、子どもYouTuberのコンテンツが人気を博したり、子どもを登場させる「ママ・インスタグラマー」がフォロワーを数十万人単位で集めている。すでにジェネレーションαの子どもたちも、経済的な影響力をもっているのだ。
もちろん、子どもたちの「後ろで糸を引く」のはミレニアル世代の親たちだ。「YouTubeネイティブ」として育ち、「Snapchat」や「Instagram」、「LINE」等のSNSを駆使している親世代は、教育の一環と称して子どもには「タブレット端末」を幼児期から触らせている。
この親子たち(ジェネレーションαとジェネレーションY)は、現在の39〜53歳にあたる「ジェネレーションX」世代とは大きく異なる生活習慣と感覚を持つ。昨今、子どもたちの「スマホ依存」「SNSでの個人情報流出」といった弊害は社会問題として考慮すべきだが、新しい価値創出が始まっている面で支持したい。
ロンドンのWIREDが発刊したレポートでは、組織やブランドがジェネレーションαにどのように対応すべきかを述べている。5つのポイントを紹介しよう。
- フリン効果(Flynn Effect)。世代が進むにつれて祖父母の世代より子どもの世代のIQが高くなる傾向をテクノロジーが後押しする。ジェネレーションαに限らず、人間の知能指数が年々上昇するという理論。
- ビジュアル・コンテンツ(写真や動画)を通じた「Connected World」での優位性。幼少期から世界中と双方向の繋がりを「自然に・ネイティブに」持つことができる。
- IoTの「T=Toy(おもちゃ)」経由の学習。「音声コマンド」「スクリーン情報」を自然に使いこなすことでデバイスから学ぶ。このTの意味はネットにつながる玩具や人形だけではなく、「iPad」や「AmazonAlexa」、「Google Home」等もおもちゃデバイスの一種として位置づけられる。
- 性別のあいまい化(ジェンダーレス化)。海外ではLGBTのセクシャル・マイノリティを重んじることもあり、人種的な差別も排除することを含めて「小学生男子」というようなデモグラフィック・データが曖昧になってきている。
- 複数のキャラクターの同時性。デバイスやSNSプラットフォームごとに個人が複数のキャラクターを同時に持ち、またその数が増える。
「プロアクティブ」から「リアクティブ」へ
さらに同レポートで、WIREDのグローバル・コンシューマー管理のトップが「ジェネレーションαを、旧マーケティングの概念としての『広告のターゲット』や『コンテンツのオーディエンス』とは呼びたくない」と述べている。これはジェネレーションαの課題(悩みや探しもの)を聞き出し、彼らの言語で答えていくという「アシスト・コミュニティ」としてのつながりを示唆している。
「プロアクティブ(押し出す)」ではなく「リアクティブ(受け答え)」でいつでも対応できる要素を備えることで、ブランド企業や組織はジェネレーションαとパーソナルかつエモーショナルな「感情」でつながることができる。
決めつけたデモグラフィックやキャラクターを目がけて押し出すメッセージではなく、「リアクティブ」な会話ができれば、ジェネレーションαはさらにまた答えを求めてより多く戻ってくる。この流れがすでに、現在のマーケティングをリアクティブな方向に進ませていることも感じられるだろう。
本コラムはデジタルインテリジェンス発行の『DI. MAD MAN Report』の一部を再編集して掲載しています。本編ご購読希望の方は、こちらをご覧ください。