導入に際し懸念していたことは?
導入に際し最も懸念していたのは、ユーザーからコンタクトセンターへ一方通行でしか連絡できず、折り返しの連絡ができないことだったという。コンタクトセンターを管轄する医療サービス部 アシスタンス室 担当課長の羽川恵三氏はこう振り返る。
「個人ユーザー同士であれば、LINEで双方向のやりとりができます。しかしその感覚でお客様とコンタクトセンターがやり取りをすることはできないため、クレームにつながるのではないかと不安でした。また、従来の国際電話であればコンタクトセンターから折り返しの電話ができましたが、緊急で連絡したいケースなどで直接折り返せないとなると、オペレーション側にも大きな負担が生じるのではないか、実際にコンタクトセンターの現場からも不安視する声がありました。
そこで折り返しの連絡が必要そうな場合は現地でつながる電話の番号やメールアドレスをお客様から伺い、そこへ折り返しの連絡をするように変更しました。結果、懸念していたお客様からのご不満を頂戴することはほぼありませんでした」

40・50代の中年層の利用も LINE to CALL導入後の効果
2018年4月に海外旅行保険の加入者向けのLINE to CALLサービスを公開。リリースからまだ日が浅く、海外からの問い合わせ数や顧客満足度など定量的な変化は見られないものの、定性的な変化は既に現れ始めている。営業・PR面では、LINE to CALLの導入がフックになり、クライアントから興味を持たれるケースが増えた。さらに、既存顧客のリテンション、新規顧客へのアプローチにも役立っているという声も聞こえるという。

「留学生を中心とした若年層のお客様からの利用が多くなるとは予想していましたが、想定以上に40・50代の中年層のお客様からもお問い合わせをいただいています。また、以前は国際フリーダイヤルの使用方法についての問い合わせを受けることがありましたが、LINE to CALLの場合、使い方がわかりませんという問い合わせを受けることはほぼありません。国内で普段使い慣れているインターフェイスでサポートを受けられることはお客様にとって大きなメリットでしょう」(鈴木氏)
費用対効果というところでも、高額な国際電話の通話料負担が軽減していくことから、長期的には着実にコスト削減へつながっていく見通しだ。