SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

シェア拡散されるブランドストーリー

「吉野家」奇跡の5社コラボから学ぶ、SNS上で“戦略的にヒットを創る”ためのヒント

 直近で爆発的にシェアされたコンテンツ事例をもとに、「そのコンテンツがシェアされた理由」を独自の目線で分析し、解説していく本連載。今回は吉野家の公式Twitterアカウントから始まった軌跡のコラボレーションを考察します。

唐突に起きた奇跡の5社コラボ

 こんにちは。スパイスボックス事業統括責任者の森竹アルです。その時々の時流に合わせ、各コンテンツがシェアされる理由を分析してきた本連載。過去の記事では、映画や音楽、政治など、幅広い分野のコンテンツがどのようにシェア拡散されているのかを解説してきました(前回記事はこちら)。

 今回取り上げるのは、吉野家の公式Twitterアカウントのツイートをきっかけに始まり、最終的に外食5社の奇跡のコラボレーションへと発展した「外食戦隊 ニクレンジャー」についてです。

 詳細は上記のモーメントを見ていただければと思いますが、ことの始まりは、吉野家の公式Twitterアカウントが「今週のボツ企画ww『肉関連企業を5社集めてニクレンジャーを結成する』ボツ理由→5社も巻き込むなんて実現不可能。。。」と戦隊モノを思わせる手描きの画像を添付してツイートしたことです。

 そこへ自然発生的にガストの公式アカウントがのっかり、“レッド”を制作してアップしました。その後、約1週間でガストがケンタッキーフライドチキン、モスバーガーを、吉野家が競合の松屋を誘って「外食戦隊 ニクレンジャー」が完成し、大きな話題を呼びました。

 この企画は、まさにSNS時代の企業コミュニケーションの象徴的な成功例だったと考えられます。SNSの力によって難易度の高い企業コラボレーションを一気に5社、しかも、吉野家の競合である松屋までが参加するという広告業界の常識を覆す企画が実現しました。

 今回は、この奇跡のコラボレーションがどのように生まれ、どのようなポイントによって話題化したのかを分析、解説することで、SNS時代に成功する企業コミュニケーションのヒントを探りたいと思います。

自社のTVCMを超えるエンゲージメント量

 まずは、企画の効果から確認してみます。下記のデータを見ると、これまで平均1~2万だった吉野家のエンゲージメント数が7月を境に急上昇していることがわかります。6月は、福田雄一監督が俳優の佐藤二朗氏などを起用して制作したコント風TVCMが公開された時期で、この時も8万近いエンゲージメント数を獲得しています。

「吉野家」という単語を含むSNS上のエンゲージメント数
出典:株式会社スパイスボックス自社ツール集計(調査期間:2018/2/1~2018/7/31)

 しかし、7月に入って「ニクレンジャー」に関する投稿がされると、直後にその数値が20万近くまで跳ね上がりました。この時「ニクレンジャー」単体でのエンゲージメント数は約18万だったため、吉野家全体のエンゲージメント量の実に90%以上が「ニクレンジャー」関連だった計算になります。

(※)エンゲージメント数とは

 いいねやシェア、コメント、リツイートなどFacebookとTwitterでの総アクション数に加え、対象コンテンツについて取り上げた記事に対するSNS上における口コミなどの総数。スパイスボックスの独自ツールにて計測。

 6月に公開したTVCMも素晴らしいエンゲージメント量なのですが、TVCMの制作費は少なく見積もっても300万円以上ではないでしょうか。一方、自然発生的に話題化した「ニクレンジャー」は、ほぼコストゼロ。費用対効果という面でも思わぬ成果だったといえるはずです。

 さらに、各Webメディアのほかテレビのニュース番組などにも取り上げられたため、様々な世代に対する波及効果は絶大だったといえるでしょう。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
成功の要因は、「ストーリーの共有」と「集合」の形成

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
シェア拡散されるブランドストーリー連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/08/30 08:00 https://markezine.jp/article/detail/29133

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング