チャネルを横断したデータ分析で顧客理解を促進
次に山田氏は、「CVRが高いメールは、パーソナライズされたコンテンツがファーストビューの位置に置かれていることが多いです」と、サイト内におけるコンテンツの配置ポジションの重要性を主張した。その他、メールタイトルや最初の数行を変えるだけでも十分な効果の改善が見込めるそうだ。
また、顧客導線をパーソナライズすることで、効果の高いシナリオを作成できる。たとえば、過去にキャンペーンやイベントに参加した人をターゲットとして抽出し、パーソナライズされたメールを送る。そして、Webサイトを訪れた際に、再度その顧客に対して今度はパーソナライズされたバナーを提示。
このような導線を設計したある企業では、通常5~6%ほどだったCVRが31%に向上した。山田氏によれば、メールとWebのバナーで伝えるメッセージが合致し、連動していることが重要だという。
ECの領域では、商品をカートに投入するも購入まで至らなかった「かご落ち」や、商品の閲覧のみで離脱した「ブラウザ離脱」に対してもMAを活用することができる。
ECでのCVRは、「ブラウザ離脱」は「かご落ち」に比べて4%と圧倒的に低い。ただ、興味深いことに、CVRと購入数の人数を計算した場合、購入客数は「かご落ち」と比べても大差がないことがわかる。また、離脱後7日以内に店舗で購入した人数を見てみると、「ブラウザ離脱」をした人のほうが「かご落ち」をした人よりもはるかに多い。
「Webでは購入せず、店舗で購入するパターンです。ショールーミングならぬ『Webルーミング』といったところでしょうか。Webが店舗誘導の役割を果たしていることを証明しています」と山田氏は語った。
他にも、アプリの行動ログと顧客データを紐づけることで、会員の理解を深めることができる。たとえば、顧客のアプリ内のアクションを可視化するためにパラメータをつけ、「アクションに対する売上金額」や「レジ客数でどの程度店舗へ流入したか」を把握するといった取り組みだ。現在、こういったMAの活用法は加速し、「LINE」においてもMAを利用したセグメント配信が増えてきているそうだ。
施策やシナリオごとに貢献度を検証
「顧客は点ではなく線で行動している」という考えをもとにした検証方法が、昨今では進んでいる。山田氏によると、アクティブコアを導入する企業では施策やシナリオ単位での分析が行われているという。
たとえばリスティング広告を出稿した場合、着目するのはCVRだけではない。特定のシナリオや新規顧客獲得のための施策、休眠顧客へのアプローチ施策など、一連の施策を1つの単位として考える。その上で、1ヵ月後や3ヵ月後に顧客がどう推移したかをグラフで可視化。これによって、どの施策がどの程度貢献したかを、長期間な視点で検証できるようになるという。