混雑緩和のための施策としてキャンペーンを企画
――はじめに、それぞれ現在ご担当されている領域を教えてください。
片貝:鉄道CS課として、主にお客さまの声を収集・分析し、満足度を向上させる施策を考えています。私が所属しているのは、アプリやメールなどのオンラインを活用した施策を中心に進めていくチームです。
伊藤:2年前に立ち上がったDMS統括部に所属しています。ゲーム事業とは別にデジタルマーケティング事業を展開する部署で、私はポイント交換サービス「Playbit(プレイビット)」に軸を置いたゲームアプリと他の商品・サービスとの相互送客などに取り組んでいます。
――「グッチョイクーポン」が始まった経緯について聞かせてください。
片貝:日常的にお客さまから寄せられるご意見をチェックしているのですが、以前から朝の通勤・通学ラッシュ時に関する不満の声が多くありました。この問題に対して、どうにか解決策を打つことはできないかと悩んでいました。そんな中、2017年7月に東京都が開始した「時差Biz(ビズ)」が契機となり、ラッシュの時間帯を避ける「オフピーク利用」を促進するための新しい施策を打ち、混雑緩和を実現しようと考えました。
混雑緩和のための解決策としては、「電車のホーム拡張」などハード面での施策もあると思いますが、それを実際に行うとなると多くのコストや時間がかかります。そのため、まず、比較的導入に時間がかからず実行できるソフト面での施策として、アプリを活用したキャンペーンを立案しました。
――どういったキャンペーンなのか、概要をご説明いただけますか?
片貝:「東急線アプリ」をお持ちで、かつ同アプリ内で「グッチョイクーポン」キャンペーンに参加登録をしていただいた方が対象となるのですが、たとえば平日の7:30までに渋谷駅に着くと、10ポイントを獲得することができます。このようにポイントを貯めていくと、コラボ企業が提供する様々なクーポンとアプリ内で交換できるというものです。「朝早起きをした自分へのご褒美」という感覚で使っていただけるキャンペーンになっています。
――キャンペーン参加者のユーザー属性を教えてください。
片貝:現時点での参加者数は約4万人。年齢層として一番多いのは、通勤世代の40代の方々ですね。男性が6割弱と、女性に比べやや多めです。
ユーザーの行動をリアルタイムで促すアプリのUI設計
――「東急線アプリ」について、普段はどういった活用ができるのでしょうか?
片貝:アプリはあくまでも手段であり、鉄道利用の利便性向上が一番の目的です。そのため、事故や遅延といった予期せぬ事態が起きたときに、ご乗車の見合わせや迂回ルートの選択など、安全な行動判断の一助としていただけるようUIを設計しています。
片貝:たとえば、「駅視-vision」という機能では、改札の混雑状況をリアルタイムで見ることができます。お客さまは事前に状況を把握することで、改札に着いてから「さてどうしよう」と迷うことなく、「じゃあ近くのカフェで運転再開を待とう」「別のルートで目的地まで行こう」といったアクションをとることができます。こうした機能をアプリを通して提供することで、少しでもお客さまの不安や不満を解消したいと考えています。