満足度を統計データとして得られるように
イベント最後のセッションは、Zendeskを導入している3社の担当者によるパネルディスカッション。登壇したのは、JapanTaxiの手島健志氏とDJ機器の設計・販売を手がけるPioneer DJの西川正紀氏、そして野原ホールディングスの篠原明子氏。モデレーターはZendesk日本法人社長の藤本寛氏が務めた。
Pioneer DJでは、アナログ媒体からデジタル音楽への時代の変化に合わせてハードとソフトを開発。DJ機器用アプリケーションの提供を開始した。カスタマーサポートを社内のメールシステムで開始し、Excelで管理を行っていた。しかし、問い合わせ件数の増加にともない限界が訪れる。売り上げの大半を海外市場が占めていることもあり、様々な言語による問い合わせにも苦慮していた。
「毎月何件の問い合わせが来ているかは把握できているものの、対応状況がトレースできなくなっており、顧客満足度を計る以前の問題が発生していました。その後Zendeskを導入したことで、ステータスがログとして残り、満足度を統計データとして得られるようになりました。そして改善点はどこだったかを把握する土台を作ることができました」(西川氏)
対応状況を即座に共有
JapanTaxiではどのような問い合わせがきたのか、そしてどのような対応をしたのかといった顧客対応の情報を社内で即座に共有している。Zendeskと社内のSlackを活用することでチーム全員が確認できる仕組みを構築したのだ。現場と経営の顧客対応に対する認識を一致させるための手段だと手島氏は語る。
「情報共有において、特にZendeskの機能で助かっているのが、チケット内に録音音声を保存できる点です。これにより、実際のユーザーの声を開発と簡単に共有することができています」(手島氏)
社内での顧客対応の情報共有に関して、野原ホールディングスのカスタマーサポートチームでは現場からの積極的な改善提案を受け付けている。定期的に実施しているお客様からの満足度調査では98%ほどが高評価の反応が返ってくるそうだが、残りの2%の不満をどうすれば改善できるか、チーム全体で注力している。不満の内容とその背景を読み取り、チーム内に共有し、話し合う機会を定期的に設けている。また、業務フローや対応内容などへの改善提案も常時受け付けており、会議にかけた上で採用されれば実際の改善に取り組むという体制を整えている。
Zendeskの導入事例を中心に、様々な業界におけるカスタマーサービスの姿が紹介された本イベント。カスタマーサービスの質がブランドへの信頼やロイヤルティの向上だけでなく、今後ますます企業の業績にもインパクトをもたらしていく可能性が提示された。マーケターやカスタマーサービス担当者だけでなく経営者含む組織全体が、CXに本気で向き合えるかが今問われている。