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愛され続けるためのブランド戦略

【3年で売上130%増】「ココナッツサブレ」のブランド戦略3部作~お菓子は楽しいを伝えるために

 ロングセラーブランドが愛され続けるべく取り組んでいる施策に迫る連載「愛され続けるためのブランド戦略」。今回は日清シスコのビスケット菓子「ココナッツサブレ」のマーケティング担当者松長直樹氏に話を伺いました。同氏から語られたのは、長年続いているブランドだからこその課題と、それを打破するための商品設計含めたブランド戦略でした。

課題は「おじいちゃん家のお菓子」からの脱却

MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、ココナッツサブレがどういったブランドか教えてください。

松長:ココナッツサブレは、1965年にデビューしたビスケット菓子のブランドです。発売当時、日本にはどちらかというとスッキリとした風味のビスケットが多く、リッチな風味のビスケットという位置づけで誕生しました。当時はそれが斬新で、とても売れていたとのことです。

日清シスコ株式会社 マーケティング部 次長
マーケティング部 第二グループ ブランドマネージャー
松長 直樹氏

 お菓子メーカーで営業、販売促進を経験後、化粧品メーカーに転職。その後日清食品に入社し、日清シスコへと出向してココナッツサブレなどのビスケット、チョコフレークを含めた菓子全般のマーケティングを担当。そして現在はグラノーラおよびココナッツサブレを担当している。

MZ:ブランドが誕生して以降、どのようなマーケティング施策を展開していたのでしょうか。

松長:私がココナッツサブレのマーケティング担当になったのは2013年だったのですが、誕生した1965年から2013年まで、大規模なマーケティング施策をしたという記録がほとんど残っていませんでした。具体的にはデザインの微調整、年に1回あるかのプレゼントキャンペーンなど、いずれも短期的な施策が多く、4Pでいえばプロモーションよりもプライスやプレイスの部分に力を入れていたのだと思います。

 その結果、ユーザーの高齢化が進み、私が引き継いだ2013年段階の調査では、ユーザーの内6割以上が50代以上という状態に陥っていました。調査の中では、ココナッツサブレに対する印象に「おじいちゃん家のお菓子のイメージ」といった回答も出てくるほど、明らかな高齢化が進んでいたんです。

MZ:ユーザーの高齢化が課題として浮き彫りになったわけですね。

松長:ココナッツサブレのおいしさは、若い方にも評価されるものだという自負はありました。つまり、プロモーションを変え、若年層が食べるきっかけを作れば好きになってもらえると考えたのです。

 そこで我々は「若返りを図る」というテーマを掲げ、ブランディング施策に動き出したのが、2015年のことでした。

50周年でパッケージを七変化

MZ:2015年に施策をスタートしたのはなぜですか。

松長:2015年はココナッツサブレの発売から50周年だったので、思い切ったこともやりやすい状況だったからです。その当時、フレッシュで明るく元気なキャラクターで人気のあった女性アイドルグループ「私立恵比寿中学(以下、エビ中)」とコラボレーションをし、「おかしな(お菓子な)イメチェン」をテーマに年間を通じて複数回の施策を実施しました。

MZ:その中で特に効果的だった施策はありましたか。

松長:春、夏、秋冬、50周年フィナーレ&51年スタートのフェーズに分けて施策を実施したのですが、各フェーズの企画をパッケージに反映したのが特徴的でした。エビ中をプリントした色んなデザインのパッケージを混ぜ、店頭に置いてもらえるようにしたのです。当時はいろいろと物議をかもしましたが、プロダクト自体もプロモーションの媒体として活用したいという狙いがありました。

2015年当時に展開されたパッケージの一部。全部で16ものパッケージが展開された
2015年当時に展開されたパッケージの一部。全部で16ものパッケージが展開された

 そこには、既存パッケージのままでは店頭でココナッツサブレが目立たないという背景がありました。長年微調整にとどまっていたパッケージデザインを刷新するのはそう簡単なことではありません。そのため、50周年限定で年4回変えようと社内では交渉しました。通常のパッケージは残しながら、様々なパッケージが店頭に出て行くことで、ココナッツサブレにお客様の視線が注がれるような1年にしたかったんです。

 その結果、エビ中のファンを中心に「なんかまたココナッツサブレが変わってる」「また何かやってる」といった形でバズらせることに成功しました。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/15 07:00 https://markezine.jp/article/detail/29662

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