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気になる広告クリエイティブをPick Up!

「どう広げるかよりも、どう残すか」コンテンツプランナー眞鍋氏に聞いた、これからの広告作り


「Instagramの大前提」で生み出す新しい表現

――新しい大前提を活かした表現……具体的にはどのようなものでしょうか?

眞鍋:たとえば過去に手掛けた虫除けスプレー「スキンガード」のInstagram広告。Instagramを単純に「広告枠」として捉えるのであれば、広告レギュレーションに沿って最適なクリエイティブを作ればいいとは思うんですが、せっかくインスタがここまで浸透し、生み出した大前提があるのであれば、それを活かして新しい表現ができないかと考えて作ったのがこの広告です。

_party.animals/Instagramより
_party.animals/Instagramより

――一見すると普通の投稿のようですが、どのような仕掛けがあるのでしょうか?

眞鍋:一見なんの変哲もない、野外でBBQを楽しんでいる若者の投稿に見えると思いますが、「※画面をタップすると夏の恐怖が....」というコメント通りにタップをすると……。

――すごい量のタグ……! これはなんのタグですか?

眞鍋:mosquito=蚊のアカウントで、タグをたどると正体がわかる仕組みです。インスタが生み出した、「写真に写っている人をタグ付けする」という大前提を使い、目には見えないけどそこにはいる蚊の存在を体験させる広告です。通常の広告流入より高い効果が得られました。

――蚊のアカウント(笑)。確かにこれはInstagramならではの表現ですね。眞鍋さんは、作りたいコンテンツとプラットフォーム、どちらを先に決めているのですか?

眞鍋:この場合はプラットフォームが先ですね。近年の野外フェスブームやアウトドアブームを考慮し、広告ターゲットを“ファミリー”から“行動的な若者”へシフトしましょうという提案がベースで、その上で「インスタ上で何かできないか?」ということになりました。ただ、考え方のアプローチはどこからでもいいと思っていて、基本的には「どんな表現がしたいか」ではなく、「何が課題で、どうしたらその課題を解決できるのか」というところが発端であるべきだと思っています。

スマホ7台で完成する動画コンテンツ

――他に手がけられたものは?

眞鍋:他ですか?(笑)そうですね……これは広告ではないのですが、7人組ダンスボーカルグループ「超特急」の『gr8est Journey』という曲のミュージックビデオ(以下、MV)を手掛けました。スマホで見る縦型MVなんですが、メンバーそれぞれ7本のMVがあります。

――7人分ってことですか?

眞鍋:はい、日本には「推しメン」文化がありますよね。なので、ファンのみんなが自分の推しメンをたっぷり堪能できるMVを作りたかったんです。超特急はその名の通り、列車がモチーフになっているグループで、メンバーもそれぞれ1号車、2号車……という担当号車があり、さらに『gr8est Journey』という曲には「8号車(ファンの総称)と一緒に夢に向かって旅をしよう」というメッセージが含まれています。なので、スマホ7台を並べると、ストーリーが繫がり夢に向かって進む列車のようになるしかけなんです。

――なるほど、7台で完全体なのですね! なぜこのような作りにしたのですか?

眞鍋:せっかくなので「MVを通して新たなファンを増やしたいな」と思ったんです。ファンを増やすには、やっぱりファンの熱量を媒介にするのが一番。これはファン同士をつなぐコンテンツでもあるんですが、完全版を見たいファンにとっては学校の友達や周りの人を誘う「装置」にもなります。そうすると、これまで超特急というグループを知らなかった人たちも超特急を知るきっかけになる。ファンの力も相まってか、このMVはすぐさま話題となり、3週間で100万回以上再生され、SNS上でも「これをきっかけに超特急のファンになった!」という声が多く見られました。

CASE VIDEO:超特級 連結MV『gr8est Journey』

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「何も起こらない」のに「心に残る」動画広告

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/12/28 16:20 https://markezine.jp/article/detail/29755

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