AIの使い方は2つ
LIFULLは国内最大規模の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S(以下、HOME'S)」を中心に事業を展開。昨年4月に、「株式会社ネクスト」から「株式会社LIFULL(ライフル)」に社名を変更した。その際、「世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニーへ。」というスローガンを掲げた。住まいや暮らしに関するライフデータを統合し、新たな価値を創出することを目指している。蓄積した膨大なデータを効率的に活用するため、同社ではAIツールを導入。CDOの野口真史氏によると、その使い方は大きく2つ。
「まず、いわゆるターゲティング。どういうユーザーが物件を探しているかやどんな物件に住みたいと思っているかをビッグデータから推定し、広告やサイト内のレコメンドに活用するということです。もう1つは、労働生産性を高めることです」
PDCAサイクル7時間の課題
野口氏が統括するグループデータ戦略部内にあるデータビジネスユニットでは、2014年7月にDMP事業を開始した。HOME'Sには多くのユーザーが訪れるが、コンバージョンに至るのは数%だ。残り90数%のデータを活用し、マネタイズしようという考えが大本にある。
HOME'Sのデータの他、不動産会社や外部提携先のデータをプライベートDMP「NabiSTAR(ナビスター)」に集約。このDMPを使い、不動産会社などに向けて広告施策の支援を行っている。AIツール導入前の広告配信までの流れは以下の3ステップだった。
1:データを分析し、課題を抽出する
2:課題解決と相関性のありそうなセグメントを設計する
3:広告配信の設計をする
「この3ステップのPDCAサイクルを回すのに約7時間かかっていました」。そう話すのは、データビジネスユニットの梁取義宣氏。支援のニーズが高まるにつれ、「クライアント数×PDCAサイクル数×案件数」で費やす時間は膨れ上がっていった。そこでデータ分析の効率化と精度向上を狙い、Appier(エイピア)の提供する「AIXON(アイソン)」 を導入するに至った。AIXONは、消費者データ分析に特化したAI搭載データサイエンスプラットフォームだ。たとえば、コンバージョンしそうな顧客や離脱しそうな顧客、あるいはコンバージョンしている顧客に近いターゲットを予測することができる。しかし、導入にあたっては、「インポートするデータのクレンジングをどうすべきか」といった課題を解消する必要があった。