データ分析と課題抽出の作業はほぼゼロに
AIツールにインプットするデータのクレンジングに膨大な作業量がかかるようではスムーズな導入は難しい。しかし、実際には必要なタグをWeb ページに埋め込むだけで、AIXON内で自動的にデータをクレンジングしてくれることがわかった。このことは、他のAIツールと比較した上でAIXONを選択する理由ともなった。また、タグの実装にあたっても、Appierのデータサイエンティストから「こういう変数を送ったほうが良い」という具体的な提案があったそうだ。
AIXON導入後、広告配信までのステップのうち、データ分析と課題抽出の作業はほぼゼロとなった。人がやるのは予測モデルの作成と配信設計のみと大幅に効率化されたのだ。では、3ステップの中身はどのように変わったのだろうか。
作業時間はわずか5分に短縮
AIXON導入後の広告配信までの3ステップの中身を見ていこう。まず、ステップの1つ目。AIXONへのデータのインポート。HOME'Sを例にすると、トップページ、一覧ページ、詳細ページ、フォームから問い合わせ完了というそれぞれの階層から、約80の変数をAIXONにパラメーターとして送信。たとえば物件詳細ページでは、Webページに専用のタグを埋め込むことで、エリア情報や閲覧カテゴリ、物件価格などの情報がAIXONへ送られるようになっている。

次にステップ2は予測モデルの作成。クライアントのサイトでコンバージョンしそうなユーザーを予測し、広告配信を行うとする。この場合、コンバージョン予測モデルというものを用いる。HOME'Sやクライアントサイトのコンバージョンユーザーを教師データ(AIが意図した通りにデータを分類できるようになるための学習に必要なデータ)としてインプットする。さらに、データソースとしてHOME'S・クライアントサイトに訪問したユーザー全体のデータを入れる。そうすることで、コンバージョンの可能性の高いユーザーが浮かび上がってくる。この作業は管理画面上だけで完結する。データビジネスユニットの浅利大輝氏によると、「作業はものの5分くらいでできる」そうだ。

ステップ3の広告配信の設計でも工数を削減できた。AIXON導入前は、効果が高そうなセグメントを人が考え、手作業でセグメントを作成して広告配信を行っていた。「セグメントの数だけ広告グループが必要となり、実際には10も20も広告グループができていて、その分PDCAを回す期間が長くなっていました」と、浅利氏。AIXONで作成したコンバージョン予測モデルをオーディエンスリストとすることで、広告グループの数は1つか2つで済むようになった。設定の工数も減り、PDCAサイクルも速く回せるようになった。
