ソーシャルアクティブ度の高低で異なる対策
4つのゾーンについて詳しく見ていく前に、まずはソーシャルアクティブ度の高低別で大きく変わるSNS活用の特徴について説明したいと思います。
ソーシャルアクティブ度が高いBやDゾーンに当てはまるブランドは、一般生活者のほかにブランドの顧客やファン、さらに影響力も兼ね備えたインフルエンサーなど様々な「人」が多数のコンテンツを投稿してくれる状態です。
このゾーンに当てはまるブランドは、こうした既に存在する「人」資産を有効に活用した評判形成が重要、かつ効果的と言えます。ブランドと親和性の高い「ファン」や「インフルエンサー」「TOL(トライブ・オピニオン・リーダー)」などを起用したキャンペーン、イベントなどが効果を生みやすいゾーンです。
一方、ソーシャルアクティブ度が低いAやCゾーンに当てはまるブランドは、生活者が話題とする“ネタ”自体が少ない状態です。そこで、まずはSNS上で話題を生むための「コンテンツ」をブランド側が用意することが重要です。
そこから新たに多くの生活者との接点を生み出していくことが可能になります。冒頭に挙げた事例も話題を作り出す「コンテンツ」を活用したものですね。
上記に加えて、ブランドスイッチの発生頻度によって、「瞬間的な話題」を作り出すことが効果的なのか、「継続的なコミュニケーション」をとることが効果的なのかが異なってきます。

時流を捉え、瞬発的に大きな話題を生み出す
ゾーンA(ソーシャルアクティブ:低×ブランドスイッチ:多)
ここから、ゾーンごとに詳しく説明していきます。Aゾーンにあたるブランドは、その時々の気分で購買を決めることが多いです。その上、ネット上で話題にしにくい、もしくはわざわざ話題にする機会が少ない種類の商材などが当てはまります。一見SNSに不向きと思われますが、このゾーンにあるブランドでもSNS上で話題化を狙うことは可能です。
ここに当てはまるブランドは、ブランド単体での話題作りはハードルが高いと言えます。しかし、日常的に何気なく購入することが多いブランドなので、その時々の生活者の興味や時流を捉えたコンテンツ作りをすることで大きく話題化させられる可能性があります。
たとえば、今年のバレンタインデー時期にブラックサンダーの「一目で義理とわかるチョコ」は、バレンタイン時期に瞬間的にSNS上で多くの話題を作り出し売上に貢献しました。
とある広告が話題のようですね(‘-‘*)
— ブラックサンダーさん(有楽製菓公式)スタンプ販売中! (@Black_Thunder_) 2018年2月1日
よそはよそ、うちはうち。
みんなちがって、みんないい。
ということで有楽製菓は引き続き「日頃の感謝を伝えるきっかけ」として義理チョコ文化を応援いたします(‘-‘*) pic.twitter.com/hWi9fd5RJL
出典:ブラックサンダーさん(有楽製菓株式会社の公式Twitterアカウント)の投稿より
本事例は、ブラックサンダーというどこかユーモアのあるブランドのキャラクター性と、ちょうど「義理チョコをやめよう」というキャンペーンが話題化していたSNS上のトレンドや生活者インサイトを上手に捉えたことで、成功したと考えられます。
価格が手頃で思い立ったらすぐ購入できるブランドは、瞬発的な話題化から購入体験までの経路を設計しやすく、こうした施策の有効性が高いと言えます。ブラックサンダーはこうした話題作りの積み重ねによって、今のソーシャルアクティブなブランドへと変化していった可能性が高いと思います。
気になったら「すぐ買える」を用意する
ゾーンB(ソーシャルアクティブ:高×ブランドスイッチ:多)
既にブランドに関する多くの話題が存在するこのゾーンは、ブランドを語ってくれるファンも多く存在します。また、ブランドスイッチ頻度が多く購入ハードルは低めです。
ご存知の通り身近な人や趣味、嗜好が近いFファクター(Friends/Families/Fans/Followers)が発信する情報はブランドへの「共感」や「信頼」を生み出しやすいという事実があります。
つまり、このゾーンのブランドは、ブランドのファンが発信した情報に“その人の身近な人”が接触した瞬間が、商品購入の機会となり得ます。こうしたゾーンのブランドの場合は、話題化させやすいので、話題化後の気になったら「すぐ買える」環境をいかに整えるかがポイントです。
ヘアケアブランドの「BOTANIST」は、SNSを起点として商品と親和性の高い美容師やスタイリストなどの「人」による写真投稿を促した結果、BOTANISTの世界観に共感した一般ユーザーが似た画像を投稿し始め、良質な話題作りを成功させました。さらに、話題量が増えたタイミングで、ECや店頭販売の環境も整えることでマス広告以上の売上効果を生んだプロモーションとなりました。