デジタル領域への挑戦が不可欠
PRと宣伝広告の垣根が消えつつある中、既存マスメディアへの情報提供=パブリシティに加え、デジタル領域への「挑戦」が不可欠な時代に突入しました。最近は、「デジタル広報」といった役職も目にするようになりました。私も、第二新卒で入社した外資系企業では「マーケティング&PR」というポジションで、マーケティング、PR、宣伝部の業務を満遍なく経験しました。しかしながら、媒体側が「記事」と「広告」の境界線を明確にしているように、広告の領域に足を踏み入れる事に躊躇する広報は割と多いとも感じています。ネット上では、あらゆる成果を数値化する事が可能であり、これまで多くの広報が抱えていた不動の悩み「成果の数字化問題」が解消されるチャンスにも関わらず、自分の担当領域に線引きをしてしまうのは本当にもったいないと思います。SEO、SNSマーケティングにおけるKPIのセット、オウンドメディアにおけるアナリティクスの基礎を理解していない広報担当は、これから相当不利な立場に立たされるのではないでしょうか。かくいう私自身も完璧とは程遠く、過去の経験や手法に甘んじていてはならないと自分を戒める日々です。

成果の数字化を容易にするためにPESOモデルを理解する
広報担当者はメディアリレーションを行うだけでなく、ソーシャルメディア活用に長け、どのようなストーリーを作れば、ターゲット層の心に響くのかを一貫して考え、また作成したコンテンツを広めるための広告運用についても知らなければなりません。生活者が接するメディアを4つに分類したPESOモデル(下図参照)を例に挙げてみましょう。大企業の縦割り組織では、PESOモデルのそれぞれの担当者が明確に分かれていますが、企業規模によっては広報部門が中心となってその大部分を運用する会社も増えてきました。市場全体を見渡し、4つのメディアの強み弱みを的確に理解し、最大限に活用するためのテクニックを学ぶことは、これからの時代を生きる広報のミッションともいえます。もちろん、企業規模によっては外部ベンダーと連携しても良いでしょう。プレスリリースを配信したけれどSNSの反響が少ない、サービスサイトへのアクセスが伸びない、じゃあFacebookでサービスの紹介を投稿してみよう、改善されない場合はお問い合わせボタンを設置した広告を打ってオウンドメディアに誘導してみたらどうか、などといった議論ができれば、成果の数字化は容易になります。消費者との双方向のコミュニケーションがうまくいけば、会社は間違いなく良い方向に向かいます。
