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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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今伝えたい本当の広報PR

広報のプレゼンスを高めるための3つのポイントとデジタル領域への挑戦

逆輸入型PRへの挑戦

 私が所属する寺田倉庫は、「時を重ねることで価値を高めるもの(ワイン、アート、メディアなど)」を中心とした保存・保管事業と並行し、芸術文化発信事業を通じたエリアリバイバルに取り組んでいる非常にユニークな企業です。この4年間、拠点とする天王洲にはありとあらゆる文化芸術発信施設が誕生しました。そのさきがけともいえるのが2015年7月に産声をあげた画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」です。設立した背景には、日本の道具を作る多くの現場で起こっている後継者不足、天然画材の生産危機といった深刻な課題がありました。特に海外では良質な画材を入手するのが困難な状況に立たされていました。

画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」
画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」

 しかしながら、当時の寺田倉庫のメディア掲載は年間10件ほど。国内における認知度が決して高いとは言えない状況のもと、このままパブリシティを行ったとしても十分な露出は難しいと判断しました。そこで、社会的課題の解決、文化芸術への貢献を切り口としたプレスリリースを日本国内ではなく海外に先行配信し、情報の伝達経路を変えた逆輸入型PRに切り替えました。

 グローバルPRを展開する際は、基本となる戦略やメッセージの一貫性は担保しつつも、各国のメディアトレンドに配慮したアプローチが必要です。プレスリリースの文体も国別にチューニングしました。これと並行して親和性の高いメディア、インフルエンサーを招致しプレスツアーを実施しました。8社の海外メディア、3名のインフルエンサーに来日していただきました。結果、記事は瞬く間にグローバルを駆け巡りました。満を持して国内でも情報を公開し、同年のメディア露出は1,000件を軽く超えました。

 また、店舗オープンまで1ヵ月間という限られた時間の中、PR会社を介することなく得た成果と経験は、当時のチームの大きな自信につながりました。あれから4年。PIGMENTは世界50ヵ国から訪れるゲストであふれ、またリピーターの要望から誕生したPIGMENTオンラインショップは、当社の収益を支える大きな柱へと成長しました。

 当社の芸術文化発信の取り組みが国際的に評価され、モンブラン国際文化賞を受賞したのは2018年の事でした。法人格としては日本初の受賞となります。PIGMENTは寺田倉庫で働く私達の誇りであり、これからも世界中のアーティストの拠り所でありたいと強く願っています。

モンブラン国際文化賞授賞式の様子
モンブラン国際文化賞授賞式の様子

 広報担当として私達が行わなければならないことは、企業と社会の良好な関係を作る事。あらゆるステークホルダーと良好な関係を築く為には、広報としての必要なスキルや経験はもちろん、対人関係において信頼を勝ち得る事が何よりも重要です。自分自身の言動、身だしなみ、立ち振る舞い、仕事への姿勢が、所属する企業全体のイメージに直結していることを念頭に置きましょう。

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この記事の著者

脇山 亜希子(ワキヤマ アキコ)

武蔵野音楽大学声楽学科卒業後、フィレンツェでの音楽留学を経て、外資系クルーズ船運航会社にてマーケティング・PRとしてのキャリアをスタートする。WEB広告会社を経て、2015年寺田倉庫入社。15年間従事したマーケティング・PRの実績を活かし、寺田倉庫初の海外PRに取り組む。企業価値の向上を目的としたデジタル・プラット...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2019/04/23 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30485

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