イソジンの裾野を広げ、うがいを身近に感じてもらう
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、現在の担当業務を教えてください。
前川:当社はグローバルで展開する製薬会社で、3つの領域を手掛けております。そのうちの1つであるコンシューマーヘルスケアビジネス本部に私は所属しており、現在イソジンブランドのデジタルマーケティングを担当しています。PESO(ペイド・アーンド・シェアド・オウンド)を活用して、イソジンのブランディング貢献・購買行動を促すことがミッションです。
MZ:今回のプロモーション対象となった「イソジンのど飴」はどのような経緯で発売されたのでしょうか。
前川:うがい薬の「イソジン」は、日本で発売されて60年が経過し、国内90%以上の認知を誇るブランドです。ただ、うがい薬を利用する方が少なくなり、市場自体も縮小傾向であることを大きな課題として捉えていました。そこで、イソジンの裾野を広げ、うがいを身近に感じてもらう手段として2018年9月、イソジンのど飴をリリースしました。
のど飴を通じて、うがい薬をあまり使わないエントリー層にアプローチし、うがい薬への導線を作るのが最終的な狙いです。
生活者のコンディションや感情がつかめるTwitter
MZ:イソジンのど飴発売にあたり、どのようなプロモーションを展開したのでしょうか。
前川:イソジンというと、ほとんどの方はうがいや口腔内ケア用の商品として認識していただいています。そのため、イソジンのど飴を出すと「のどに良さそう」ということは自然にイメージしてもらえそうだと踏んでいました。その仮説をもとに、消費者調査をかけました。
その中で「味へのイメージ」に対する懸念が浮かび上がりました。「うがい薬ブランドが出したのど飴」と聞いて、すぐに「美味しそう」と思っていただけないのではないかと。
MZ:イソジン自体の認知が非常に高いからこその悩みですね……。それに対して、どのようなアプローチを考えたのでしょうか。
前川:発売当初はテレビCMや交通広告などのマス広告を出稿し、ある程度認知を獲得しましたが、マスはセグメンテーションができないため、デジタルではそのイメージを活用し、健康・風邪対策に関心が高い方に商品理解を促進していくことにしました。
上記のターゲティングの場合、タッチポイントとしては検索の意向度が高いのですが、風邪や感染対策関連の製品を検索される方は意外と少ない。でもインフルエンザと聞くと敏感に耳を傾ける方は多いですよね。ですので、検索以外のタッチポイントに注力する必要があると考えました。
MZ:そこで選択したのがTwitterだったと。
前川:その通りです。デジタル上にも様々なアプローチ方法がありますが、Twitterを選んだのは「届けたい人々に一番届けやすいプラットフォーム」だからです。
Twitter上で調べてみると、体調の悪さについて発信している人が多いことに気づきます。他のSNSでは「風邪引いた」「具合が悪い」といったネガティブな事柄はあまり投稿されませんが、Twitterでは自分の体のコンディションを発信する文化があるため、非常に今回の商品と相性が良く、届けたい人にアプローチできると考えました。