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ソーシャルメディア その進化と活用

『おっさんずラブ』に学ぶ、SNSで戦略的にヒットコンテンツを生む次世代メソッド

 2018年の大ヒットドラマ『おっさんずラブ』。今なおファンから絶大な支持を得ている本作だが、その盛り上がりの裏には「戦略的なSNS活用」がありました。本稿では、『おっさんずラブ』のSNS活用を、ソーシャルリスニングツールを用いて分析することで、コンテンツをヒットさせる秘訣を探ります。

コンテンツヒットの鍵はSNSにあり?

 「○○○が大ヒット! 秘訣はSNS戦略にあり!」このような見出しのニュースを目にする機会が多くなっています。なぜ今、SNSを活用したマーケティングがコンテンツや広告施策のヒットの鍵となっているのでしょうか?

 2018年に大ヒットし、今年には映画化もされるなど相変わらずエンタメ界隈を賑やかしている『おっさんずラブ』も、SNSでの盛り上がりがヒットを牽引したと言われるコンテンツです。このドラマが放送中のテレビ局による定例会見では、世間的な盛り上がりが予想以上であるという事と共に、その盛り上がりの要因はSNSにある、と言及していました。

 どうやら、ユーザーとコンテンツ、そしてユーザーとユーザー同士の共感が広がりやすいSNSは、共感を分かち合うコミュニティの存在が浮き彫りになりやすく、社会的なインパクトを生み出す場としても作用しやすい特徴があるようです。

 では、『おっさんずラブ』のSNS上での話題の実態はどうだったのでしょうか? どのような人たちがどのような話題をし、どれくらい実際に盛り上がったのでしょうか?

 これらを分析する事で、「商品やブランドのSNSを活用したコミュニケーションのヒントも見つけられるのでは」と考えた筆者は、チームメンバーと共にソーシャルリスニングツールを用いて『おっさんずラブ』の分析をしました。その結果、SNSを活用してコンテンツをヒットさせるためには、以下の秘訣がある事がわかりました。

クラスタ構造の理解こそ、SNS上での話題増幅の鍵である

 まず、以下のグラフは 『おっさんずラブ』についての盛り上がりを、ソーシャルリスニングツールを用いて分析し、そのボリュームの推移を時系列で表したものです(分析ツールや、各プラットフォームが開放するデータの規定上、今回はプラットフォームをTwitterに限定し分析しています)。

ソーシャルリスニングツール Crimson Hexagonによる集計(調査期間:2018/3/1~2018/7/31)
ソーシャルリスニングツール Crimson Hexagonによる集計(調査期間:2018/3/1~2018/7/31)

 ここでのポイントは、SNSで盛り上がっていたとされる『おっさんずラブ』も、ドラマ開始前から盛り上がっていたわけではなく、話が進むに連れて話題量が段々と増加していた、ということです。

 また、この各話の盛り上がりの推移も第4話以降から勢いが増していることがわかります(結果、第6話と最終話の放送中には全世界のTwitterトレンドの第1位を獲得するにまで盛り上がっていました)。

 この結果を見た時に、筆者は別の理論で見たグラフの推移に類似している、と思いました。それは、スタンフォード大学の社会学者であるエベレット・M・ロジャース教授が、1962年に刊行した著書『Diffusion of Innovations』のなかで提唱されている「イノベーター理論」を説明したグラフです。

 このグラフが示しているのは、商品やブランドが話題になるまでには、まず流行・トレンドに敏感なイノベーター、アーリーアダプターによる話題の醸成期間が一定期間あり、それらがキャズムを超える事でアーリーマジョリティに広がり、社会的ブームを引き起こすということです。

 このグラフと、先ほどの『おっさんずラブ』のSNS上での話題量推移の類似は偶然でしょうか? この話題量の推移の中にはどのようなTwitterユーザー達がいたのでしょうか? ソーシャルリスニングでの調査結果を、ドラマ放送スケジュールごとに説明します。

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この記事の著者

金清 雄太(カネキヨ ユウタ)

65dB TOKYO
Head of 65dB TOKYO

2015年、TBWA\HAKUHODOに入社。統合的なデジタル施策の企画〜運用の経験を生かし、得意先のクリエイティブ、プロモーション立案のプロセスにデータドリブン思考を注入している。なかでも、ソーシャルモニタリングを活用した生活者インサイトを抽出する手法...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/22 07:00 https://markezine.jp/article/detail/30640

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