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MarkeZine Day 2019 Spring(AD)

「ユーザー体験をデザインする」DoCLASSEが描いた、コンテンツマーケティングの成功ストーリー 

 3月7日に行われたMarkeZine Day 2019のセッションから、Faber Company(ファベルカンパニー)の月岡克博氏による「コンテンツマーケティングには“ストーリー”が欠かせない」のレポートをお届けする。本セッションでは、DoCLASSE(ドゥクラッセ)のコンテンツマーケティング事例を紹介。テレビCMを起点としたキャンペーンを成功に導いた、「コンテンツマーケティングのストーリー」とは?

コンテンツマーケティングの認識、合っていますか?

 Faber Companyは、AI/自然言語処理技術を活用したSEOプラットフォーム「MIERUCA(以下、ミエルカ)」を提供するなど、企業のSEOやコンテンツマーケティング支援を行っている。同社でマーケティングを担当するスピーカーの月岡氏は、会場内における「コンテンツマーケティングの認識」を合わせるところからセッションを開始した。

株式会社Faber Company エグゼクティブ マーケティング ディレクター 月岡克博氏
株式会社Faber Company エグゼクティブ マーケティング ディレクター 月岡克博氏

 「コンテンツマーケティングを始める際には、まず関係者間で『コンテンツマーケティングに対する認識』を合わせることが重要です。なぜなら、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOが混在して語られているケースが多いためです」(月岡氏)

 コンテンツマーケティングを行う際、マーケティングファネル毎に「効果的なコンテンツ」は変わってくる。たとえば、認知ファネルにはネイティブ系広告や、興味喚起・話題化を狙ったコンテンツ。続く、興味・関心ファネルには、情報収集のコンテンツ。そして、比較・検討ファネルには、ケーススタディや診断、シミュレーションなどの自分ゴト化コンテンツ。購入・申し込みファネルには、クロージングの役割を果たす、事例や口コミ、価格などのアプローチが適切、といった具合だ。

 ファネル全体へのアプローチを指して「コンテンツマーケティング」と認識する人もいれば、認知領域のみや、情報収集領域に強いコンテンツSEOだけを切り出して「コンテンツマーケティング」と認識している人もいる。

 月岡氏は、「最初の段階で、どのような目的でコンテンツマーケティングを行うのかを整理し、関係者間で認識を合わせるべき」と強調し、コンテンツマーケティングをスタートする前のポイントを、次のように話す。

 「どんなユーザーに、何のメッセージをどのチャネルで伝え、どのような態度/状態になってもらいたいかを考える必要があります。手法のHowではなく、Who/Why/Whatが大切です」(月岡氏)

10年後のビジネスを考え、広告チャネルをシフト

 会場内の「コンテンツマーケティングの認識」を揃えたところで、続いて、Webだけでなく、店舗やテレビCMなどのコンテンツ制作や、Web広告・SEOなど、「ストーリー」のある総合的な施策展開で成果をあげた、DoCLASSE(以下、ドゥクラッセ)の事例が紹介された。

 2018年に創業10周年を迎えたドゥクラッセは、40・50代女性をターゲットとしたアパレルブランド。新聞広告をメインにマーケティングを展開し、販売チャネルは、カタログ通販・ECを中心に、近年では実店舗の出店にも積極的だ。

 そんな同社は、2018年の11月から12月にかけて、注力商品のコート「マジカルサーモ」のテレビCMを、関東と関西圏で実施した。これまで新聞広告を中心としてきた同社が、なぜテレビCMを採用したのか。月岡氏は、次のような課題があったと明かす。

 「いくつかの記事でも語られていますが、新聞広告で効果は出ていたものの、ドゥクラッセのメイン顧客の年齢層が上昇していることが課題だったようです。そこで、10年後のビジネスや顧客基盤の構築を考え、広告チャネルをWebやテレビにシフトし、本来のターゲット層へアプローチする戦略を立てた、とドゥクラッセの藤原氏に聞いています」(月岡氏)

テレビCM放送後のユーザー行動を「チャネル別」にストーリー化する

 ドゥクラッセの藤原氏は、コンテンツマーケティングのポイントを「ユーザーが購入に至るまでのストーリー設計」と強調。テレビCMによる認知獲得だけでなく、「テレビCMを放送したあとのユーザー行動」を重視し、その行動をチャネル別に設計していった。

 たとえば、テレビCM視聴後の検索行動について。テレビCMには、商品名を売り出す目的で「“マジカルサーモ”で検索」のクリエイティブが採用された。その効果もあってか、商品名の月間検索数は大幅に上昇している。

 一方、商品名で検索しない可能性も高い。数回のテレビCM視聴では、ブランド名や商品名がわからない可能性も高く、「テレビCMでみたダウンってなんだっけ?」と、「コート」「ダウン」などの一般キーワードによる検索も発生する。また、似たような競合ブランド名や商品名で検索されることもあるだろう。

 このように、検索ひとつをとっても様々な行動パターンが発生するため、「チャネルごとにストーリーを描くことが大切」と、月岡氏はその重要性を主張した。

 ドゥクラッセでは、テキストやWebサイトだけでなく、SNSや動画、店頭、アプリとすべてがコンテンツであると考え、各タッチポイントの施策を遂行した。たとえば、街頭ビジョンでテレビCMと同様の動画素材を流すほか、テレビCM放映中の店頭ディスプレイにはマジカルサーモを置くなど、施策を連動させた。

ミエルカで関連性の高いキーワードを発見

 これら複数のチャネル施策のうち、月岡氏はWebにおける顧客ストーリーのSEO・SEM領域の支援を担当。同領域のユーザーストーリーを、さらに細かく設計していった。具体的には、Web上のオウンドコンテンツの強化を行った。テレビCMによって生まれた潜在層の検索行動から、最適なLPや各サイト、特集ページへたどり着くまでの流れをストーリー化したのだ。そして、このストーリー設計でポイントとなるのが、ユーザーの「検索意図」だ。

 「ダウンジャケットと検索するとき、ユーザーは他にどのようなワードを検索しているでしょうか。“ダウンジャケット レディース”のほかに、“人気”、“安い”、“比較”……と様々なキーワードがあります。こうしたキーワードからユーザーの検索意図を読み解いていき、その意図にどう応えるかを考えてコンテンツを制作することが重要です」(月岡氏)

 ミエルカは、ひとつのキーワードを軸として一緒に検索されるキーワードのつながりをビジュアル化することができる。

ミエルカで関連性の高いキーワードを発見
ミエルカで関連性の高いキーワードを発見

 合わせて、商品軸と競合ブランド軸でキーワードをピックアップ。ミエルカの機能を活用して、ダウンジャケットなどの一般名称や、競合ブランドのキーワードを網羅し、どのようなキーワード、つまりユーザーニーズに対応していくかも選定していった。

 では、具体的なコンテンツ制作はどのように進めるのだろうか。ドゥクラッセの場合、初めに「40・50代のレディースファッション」「40・50代のコーディネート」などのユーザーの検索ニーズを意識したカテゴリー設計から着手。そこへ、どのようなサブカテゴリーを加えていくかも検索ニーズから設計し、どのようなカテゴリーの役割になるのかを明確にしていく。その後に選定したキーワードごとにコンテンツタイトル案を作成。タイトルが決まったら細かいニーズも考慮して、コンテンツの骨組みである構成案を作成、ライティングに移していった。

あらゆる施策がWebパフォーマンスに影響する

 これら施策の結果、どのような成果が出たのだろうか。月岡氏は、藤原氏から施策成果として次のように共有を受けたという。マジカルサーモの検索数・コンバージョン数はテレビCM放送期間中に数値が上昇。合わせて、ドゥクラッセの指名検索数も増えている。

 さらに、ドゥクラッセが行ったテレビCM放送前後のパネル調査でも、ターゲット層に対するブランドや商品の認知度が上がった結果が出ているという。「デザインや品質が良い」などのイメージ付与だけでなく、テレビCMきっかけの来店も上昇。これらの施策の結果、マジカルサーモはドゥクラッセのこれまでの商品の中でも、最も売れた商品の1つとなったそうだ。

 ここで月岡氏は、ある仮説を紹介。それは、「テレビCMだけでなく、あらゆる施策がWeb上のパフォーマンスへ影響している」という内容だ。ここでは違う事例も紹介。某アクセサリー系のECサイトにおけるユーザーサポートなどをユーザー目線で改善したところ、Web上でポジティブな口コミ・評価が増加。結果として、ECサイト自体は特別な変更を行っていないのに、SEOパフォーマンスが上がった事例があるという。「Web上での言及や指名検索の量が、SEOへポジティブに働くのではないか」と考えていると話した。

ユーザー体験をデザインすることが重要

 ドゥクラッセの成功の要因には、チャネル別に設計された「ユーザー行動の仮説=ストーリー」が挙げられるだろう。そのストーリーに沿ったSEO・SEM施策、店頭などのオフラインまで包括的な施策を行ったことで成果を挙げた。

 「コンテンツマーケティングにおいて欠かせないストーリーとは、ユーザー体験をデザインすることです。商品提供後も関わってくるとなると、Webチームだけでなく、商品開発チームなど他部署とも連動して施策を実施することが重要。こうした取組みが、ブランドとユーザーとの信頼関係構築につながっていくのではないか」(月岡氏)

 最後に月岡氏はミエルカについて紹介。本事例でも使われていた、検索キーワードを活用したユーザーニーズ分析やWebサイト解析など、手間がかかるが重要な調査・分析がミエルカだと簡単にできる。また、マーケター同士の「横のつながり」を作ることにも注力しており、ユーザー会なども活発に行われているという。

 月岡氏は、「ミエルカを活用することで調査分析は効率化し、ヒトにしかできない企画や戦略などの“打ち手”を考えることに集中してほしい」とまとめ、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/09 10:00 https://markezine.jp/article/detail/30684