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MarkeZine Day 2019 Spring

「タッチポイントは日常生活のすべて」新規事業で顧客の365日に寄り添う、ANA Xの挑戦

1つの顧客IDをベースにグループの価値向上を実現

 ANA Xは、これまでの航空券販売から、航空券に付帯するECサービスやマイル提携、金融、ライフスタイルなど多様な事業を展開している。ただ展開するだけでなく、1つの顧客IDを中核に置き、このIDを通じて顧客行動を把握・分析して理解を深めることで、グループで展開している他事業へのレコメンデーションを強化している。

 こうしてグループ内で買い回りが発生することで、よりデータが蓄積され、利便性や満足度はますます向上する。この基盤作りを行うのがANA Xだ。

 具体的な事業領域としては、航空券+座席指定やラウンジ使用などのサービスを提供する「Seat-related」領域、旅行サービスにホテルやレンタカー、保険などを提供する「Travel-related」領域、そしてショッピングやグルメなど生活全般のサービスを提供する「Life-related」領域の3つを構想している。

 「そもそも、すべての人には生活や人生というものが前提にあり、その中で旅行や航空券の利用が発生します。この全体を捉え、ビジネス展開することが今後航空業界でも必要になると考えています」(稲田氏)

 ポイントは、付帯するサービスや商品をそれぞれの会社で販売するのではなく、グループでレコメンデーションしていくことである。これまでは各社がそれぞれ自社商品・サービスを独自に販売していたが、共通顧客IDを軸にアソシエーション分析などを行うことで関連する商品・サービスをレコメンデーションし、売上を伸ばしていく。

飛行機に乗らない顧客のロイヤリティをどう考えるか

 ビジネスモデルが変わると、顧客ロイヤリティの考え方や成果の捉え方も変わってくる。元々マイレージプログラムは、「頻度の高い人=ANAの飛行機をよく利用する人」をロイヤリティが高い顧客と定義し、手厚いサービスを提供するものだった。この基本的な考えは変わらないが、これからのビジネスを考えると、「ANAの飛行機を利用する人」だけが顧客になるわけではない

 そこで現在は、飛行機以外の別の分野でつながりが強かったり、関係が深かったりする人もロイヤルカスタマーと再定義し、サービス企画に当たっているという。

 また成果についても、以前と異なり、「1つの航空便に対する売上貢献」や「販売目標」ではなく、「顧客のLTV(Life Time Value)」を起点に考えるようにしている。同社では、LTVが向上することで、売上も上がり、顧客満足度も高くなるような施策を企画・運営しているという。その1つが「Million Miler Program」だ。

 「Million Miler Program」は獲得したマイル数に応じ、一生涯使えるサービスを提供するというプログラムで、専用のタグをプレゼントしつつ、たとえば100万マイルであれば「マイル生涯無期限」、200万マイルであれば「SUITE LOUNGEの生涯利用可」などの特典がある。

 また他にも、2019年4月以降で国際特典航空券(プレミアムエコノミー)を使いやすくする、新しい機体を導入してハワイ便を増強すると共に現地のショッピングエリアをつなぐ会員限定の急行バスを運行するなど、様々な価値提案を行い、ビジネスのさらなる成長を目指している。

 さらに、マイルを使って投資信託を行う金融サービスの提案や、ANAグループで保有しているデータを活用したディスプレイ広告配信などのメディア事業も展開中だ。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/16 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30771

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