デジタル化で目指す姿は「DIY」
同社がアナログからデジタルでのサービスに移行する際に最も重要だと考えているのは、すべてのサービスを顧客が自ら行えるようにすること、つまり「DIY(Do It Yourself)」だ。White氏は「顧客がお金を取り扱う際に障壁となる点を取り除き、どこで、いつ、どのように銀行と取り引きするかを、お客様に決めてもらえるようにすることが欠かせない」と考えている。
しかしそのためには、状況に応じて変化する顧客のニーズについて、深く、リアルタイムに把握する必要があった。このため同社は、大量のデータにスマートフォンからリアルタイムにアクセスできるDomoの採用に至った。

Domoの強みは、データやエンジニアリングのバックグラウンドを持たないユーザーであっても、データを思い思いの形に視覚化して、アクションにつなげることができる点である。これにより、同社の顧客が銀行に関するサービスを「DIY」で行えるようになっただけでなく、従業員がデータを活用して仕事をする際にも、「DIY」の習慣が生まれていったそうだ。
「お客様への対応にあたって、従業員が自らデータを読み解き、活用するようになりました。もちろん、Domoは将来の銀行ビジネスの戦略策定にも役立っています」(White氏)
また、Domoの導入前は、新しい機能をリリースしてから、利用状況のデータを集めるまでに数ヵ月かかっていたが、導入後は、リアルタイムで収集可能に。必要な時にデータにアクセスできるようになった。
同社は「DIY」を推進するために、アプリのリリース後もリアル店舗を利用する人々に、アプリを使わない理由を調査。ここで挙げられた理由の92%について、アプリ上で解決できるように整備したという。
リアル店舗に行かずとも意思決定を可能に

「DIY」をさらに進化させた取り組みのひとつが、同社がスペインで展開している「BBVA Valora View」というアプリだ。ユーザーがスマートフォンの同アプリを起動し、住みたい建物をカメラで写すと、購入価格や賃料、周囲の環境といった情報が即座に表示される。加えて、住宅ローンのシミュレーション計算結果や、購入と賃貸どちらが妥当かといったアドバイスも得ることができるという。顧客がリアル店舗まで相談に行かずとも、意思決定できるようになる仕組みだ。
最後にWhite氏は、銀行として歴史をスタートさせたBBVAが目指す姿を語り、講演を締めくくった。
「これまで『伝統的な銀行』だったBBVAは、DIYの精神によって『デジタルバンク』へと変わっています。デジタル上で、お客様に信頼できるアドバイスを提供しながら、銀行口座をよりセルフドリブンなものにしていきます。さらに、システム統合によって『デジタルカンパニー』へと移行し、経済の脱中央集権化も進めたいですね」(White氏)