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Domopalooza 2019

お金に関わるサービスすべてを「DIY」に!老舗銀行がDomoと進めるデジタル化

 ビジネス最適化ソリューションを提供するDomoは、2019年3月19日から21日(現地時間)、米国・ソルトレイクシティで「Domopalooza 2019」を開催した。20日の基調講演では、Domoを活用してデジタルトランスフォーメーションを強力に進めているスペインの銀行「BBVA」のDerek White氏が登壇し、デジタルとデータをビジネスに取り入れる重要性と、Domoの活用法について語った。

銀行からデジタルバンキングへ、そしてデジタルカンパニーへ

 2019年3月19日から21日(現地時間)、米国・ソルトレイクシティにおいて開催された「Domopalooza 2019」。ビジネス最適化ソリューション「Domo」の新機能が発表されたほか、多くのユーザー企業が登壇し、その活用法を共有した。

左から、Domo Founder and CEO Josh James氏 BBVA Global Head of Client Solutions Derek White氏
左から、Domo Founder and CEO Josh James氏
BBVA Global Head of Client Solutions Derek White氏

 ユーザー企業の中でも、Domo CEOのJosh James氏が「デジタルトランスフォーメーションにおいて、最も優れた例のひとつ。それも大きなスケールで、かつ濃密なスケジュールで行われている」と絶賛したのが、老舗銀行「BBVA」の取り組みだ。

 20日の基調講演には、同社のGlobal Head of Client SolutionsであるDerek White氏が登壇。データとデジタルの活用が銀行の成功に欠かせない理由を説明した上で、同社の目指す姿やデジタルトランスフォーメーションをいかに進めているかを披露した。

BBVA Global Head of Client Solutions Derek White氏
BBVA Global Head of Client Solutions Derek White氏

 同社はスペインに本社を構え、メキシコや南米では最大の銀行として知られている。現在、銀行からデジタルバンキングへ、さらにデジタルカンパニーへと変化を遂げるプロジェクトを推進しており、その取り組みにDomoを活用している。

 実際に同社のアプリは、Forrester社の調査において、2年連続で世界の銀行アプリの中で最も高い評価を得ている。加えて、White氏は、同社のデジタルトランスフォーメーションの進捗を測る指標のひとつとして、現在7,400万人の顧客のうち、2,700万人が店舗ではなくデジタル上で、さらにそのうち2,300万人がモバイルにおいて取引を行うようになっていると明かした。

 「多くの人が、『銀行は死んだ』と言っていますが、私たちの見方は少し違います。やり方を変えれば、銀行には輝かしい未来があると信じています」(White氏)

 こう断言したWhite氏は、続けてデータ活用の重要性について語り始めた。

データは「水」持続可能な形で共有し価値を得るべき 

 いまやどの企業にとっても最も価値のあるものと言えるデータは、しばしば石油にたとえられる。しかしWhite氏は「データを水にたとえてみたい」と提案。一度使うと価値を使い切ってしまう石油とは違い、データも水も使い方次第で繰り返し価値を生み出すものだからだ。データのエコシステムもまた、水と似ているという。

 「私たちは、サイトの閲覧や買い物によって、世界中で毎日2.5 quintillion(※)バイトのデータを作り出しています。これはちょうど、世界で5番目に面積の大きいミシガン湖に含まれる水滴の数と同じです。また、データも水滴と同じように、クラウド(雲)から私たちの下に落ちてきて、様々な場所を巡り、保存されます」(White氏)

(※)10の18乗

 ここでWhite氏が紹介したのは、「データの湖」というアイデアだ。企業のデータ活用が今どのような状態にあるのかを、湖や池にたとえ4つに分類した考え方である。

「データの湖」に基づく4つの分類
「データの湖」に基づく4つの分類

 1つ目は「湖」で、誰とも干渉していない、いわばオフラインの状態。2つ目は「地下水」で、水(データ)を蓄積してはいるものの、そこから価値を生み出すことはしていない。3つ目には、ダムのような「人工の貯水池」が挙げられた。これはひとつの企業が水(データ)を独占して利益を上げている状態で、フローが最小限にとどめられている。4つ目は「レジャーのための湖」で、水(データ)を持続可能な形で共有しながら、価値を得ていくというものだ。

 「あなたの会社のデータは、今どのような状態ですか」と尋ねたWhite氏。同社は「レジャーのための湖」を目指しており、データ活用によって、なによりも顧客が価値を感じられるようにしなければならないと主張した。

産業ごとの境界線が曖昧に 銀行の競合は誰なのか

産業ごとの境界線が曖昧になっている
産業ごとの境界線が曖昧になっている

 White氏は次に、銀行が向き合わなければいけない産業構造の変化について説明。White氏が「Big Tech」と呼ぶ、チャットやSNS、Eコマースからサービスを始めた企業が、ユーザーを拡大させ、ゲームや決済、そして銀行といった近接する領域に参入している。「これにより、かつては存在した産業ごとの境界線が曖昧になっています」とWhite氏は指摘した。

 こうした企業は、ユーザー数の拡大やプラットフォーム滞在時間の増加、そしてインタラクションを通じたデータ創出により、マネタイズに成功しつつあるという。

 また、銀行とBig Techの戦いについては、次のようなデータがある。人々が銀行のリアル店舗に訪れるのは、年に10回程度である一方、同社のアプリへのログインは、約300回。そして、SNSをはじめとするネット環境には、約3,000回もアクセスしているそうだ。

 「頻繁なログイン」を武器に攻めるBig Techと「訪問は少ないが、1回あたりの価値が高いサービス」を強みにしてきた銀行、「どちらが顧客の信頼を勝ち取り、ベストポジションを獲得するのかの戦いだ」とWhite氏は捉えている。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30791

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