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AWSに学ぶコミュニティマーケティング 成功のカギは「初期メンバー」にあり【おすすめの書籍】

 本稿では、編集部からおすすめの書籍を紹介します。今回は「コミュニティマーケティング」をテーマに、AWSのユーザーコミュニティをゼロから育て上げた小島氏の著作を取り上げます。年間延べ9,300人(2017年時点)が参加する活発な組織へと成長させた道のりと、そこから導かれた鉄則が詳細に綴られた一冊です。

コミュニティの成功を左右するのは「初期メンバー」

『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』1,728円(税込)小島 英揮 (著) 日本実業出版社
『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』
1,728円(税込)小島 英揮 (著) 日本実業出版社

 今回紹介する書籍は『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』。著者の小島氏は、Amazon Web Servicesのユーザーコミュニティ「JAWS‐UG」を立ち上げ、製品の売り上げ拡大に貢献した経験をもつ、コミュニティマーケティングの第一人者です。同書では、コミュニティマーケティングがビジネスをグロースさせる仕組みから、商材やビジネスモデル別のケーススタディにまで言及し、コミュニティの作り方・育て方を解説しています。

 まず、著者は同書の前半で、複数のコミュニティ運営に携わってきた経験と、そこから得られた成功のためのノウハウを語っています。

 そのうちの一つは、「コミュニティの初期メンバーが極めて重要」であるということ。初期メンバーが「情報を発信していくことが自分自身のプラスになる」という考えを持ち、受け身ではなく、コミュニティを自ら引っ張っていくという姿勢で参加していると、他のメンバーもそれに触発され、コミュニティ全体が盛り上がっていきます。

 逆に、直接的な見返りを求める人が多いとコミュニティの拡大は難しく、一度できあがった組織風土を変えることも困難だと実感したそうです。同書では、著者がどのような視点で「JAWS‐UG」の初期メンバーを探し出したかも説明されています。

初期メンバーには「フォロワー」も欠かせない

 著者が「JAWS‐UG」の初期メンバーとして選んだのは20人。その全員がいわゆるリーダータイプではなかったと振り返っています。コミュニティの拡大を支えていたのは、「リーダーたちの言っていること(やっている)ことはすごいんだよ」と周囲に伝えてくれるフォロワーでした

 著者はこれを「焚き火理論」と呼んでいます。焚き火の炎を大きくするためには、種火に着火するだけでは不十分で、枯れ枝などの「燃えやすいもの」を入れ続けなければなりません。

 初期の「JAWS‐UG」においても、人に伝えたい、行動変容を促したいというリーダーだけでなく、積極的に真似したいというフォロワーがいたことが、成功の起点になっていたそうです。著者はこの経験から、コミュニティ運営の担当者に求められるのは、リーダーとフォロワーをコミュニティに招き入れ、その関係性を最初から作っていく手助けをすることだと述べています。

 これまで、既に大きくなったコミュニティが話題に上ることはあっても、ゼロから成長していく過程が語られることは少なかったのではないでしょうか。同書を読み進めるにつれ、コミュニティに対する理解が深まっていくのを感じます。

担当者に「会社との交渉力」が求められる訳

 著者は同書において、コミュニティの担当者に欠かせない3つの要素も解説しています。

・マーケティング思考ができること
・人から好かれる人であること
・会社との交渉力があること

 3つ目の「会社との交渉力があること」は、コミュニティとはあまり関係がなさそうに見えます。しかし、コミュニティマーケティングは短期で成果が出る施策ではないため、その価値や期待値を適切に説明できないと、会社の信頼やサポートを得られなくなってしまうのです。

 同書の後半では、コミュニティマーケティングに向いている5つの商材が事例とともに紹介されています。コミュニティマーケティングの全体像を捉え直したいときはもちろん、施策に取り組んでいる中でヒントが欲しいというときにも、頼りになる一冊です。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/26 07:00 https://markezine.jp/article/detail/30816

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