※本記事は、2019年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』42号に掲載したものです。
●VTuberがAR/VR市場の拡大を牽引する
株式会社CyberV 稲村 創氏
●ブランドとの過去・未来の接点を構築する
株式会社電通ライブ 尾崎 賢司氏
●ユーザー同士で「体験」を共有する
株式会社東北新社 小林 弘明氏
VTuberがAR/VR市場の拡大を牽引する
VTuberは、動画プラットフォームにおいて配信活動を行うアバターなどの仮想キャラクターの呼称で、元々はYouTubeなどで注目を集めていた存在です。しかし、2018年中頃からVTuberの活動領域は徐々に広がりを見せていきました。たとえば独自の配信アプリや、雑誌・書籍、テレビ番組に登場するなど、現在では様々なメディアでの露出が増えています。そして、その中でも特にVTuberとの相性が良く、広がりを見せているのがAR/VR領域での取り組みです。
イメージしやすい例として、ライブにおけるVTuber活用を紹介します。一般的に、ARライブは現実のライブ会場を使い、ステージ上に透過スクリーンやハーフミラーを用いてキャラクターを映し出して従来のライブ同様の一体感を楽しみます。一方VRライブは、参加者がVR HMDをつけてライブ空間に入場するもので、VTuberをリアルに感じつつ、現実には難しいような演出やパフォーマンスを体験します。
肉体を持たないVTuberにとって、何らかの形で映し出されたものこそが実体であり「現実」です。そう考えるとARは「VTuberが人間の現実空間に来るもの」、VRは「人間がVTuberの現実空間に行くもの」であり、やや大げさに言えばどちらも人間とVTuberの関係において他のメディアとは異なる特別な意味合いをもっているのです。
2019年4月時点で7,000人を超えたと言われているVTuberの増加や活躍は、AR/VR市場の拡大を推進していくことにもつながるでしょう。
株式会社CyberV VR室技術責任者 稲村 創氏
SIベンチャー、Webベンチャー創業を経て2012年にサイバーエージェント入社。ブラウザゲーム制作、技術戦略室、ゲーム開発ディレクター、VR専業子会社CTO 兼 事業責任者を経て現職。現在はVRライブシステムの開発ディレクションと技術調査をメインに、サイバーエージェントグループ内のAR/VRプロジェクトの相談や協力なども行っている。