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つい指が止まる、触ると動く仕掛け豊富な体感型クリエイティブでスマホを店頭に変身させたヤーマンの快挙

 化粧品や美容器具の開発・販売を行うヤーマンが、ミストファンデーション「ミネラルエアー」のキャンペーンでTeadsのinRead®クリエイティブ広告を活用し、店頭で商品をタッチ&トライしてもらうような広告体験を提供し話題を呼んでいる。施策の狙いと成功要因を、ヤーマンでミネラルエアーを担当する石橋氏、ヤーマンのデジタル広告戦略を支援するシンクリンクの的場氏、ダイナミッククリエイティブの仕掛け人であるTeadsの川口氏に聞いた。

革新的な商品特性を伝えるための、二段階のメディアプラン

――まず、今回キャンペーンを行ったミストファンデーション「ミネラルエアー」の商品特性を教えてください。

石橋:ファンデーションは、手やパフ、ブラシで「塗る」のが一般的です。ミネラルエアーはスプレータイプのファンデーションで、本体機器を使って顔にシューッと吹きかけます。”浴びるだけ”でお化粧が完了します。ですので、手を汚す必要も、色々な道具を使う必要もありません。吹きかけるだけでムラなくきれいに仕上がりますし、大幅な時短を実現できるのが特徴ですね。

――メインターゲットにはどのような層を設定されていたのでしょうか。

石橋:メイクされる方全般を対象としていますが、ファンデーションとしては高価格な部類なので、美容にある程度投資できる30代以降の方がメインですね。その中でも、時短ニーズのあるビジネスパーソンや主婦の方であったり、仕上がりの美しさを求めていろんな商品を試す、いわゆる「メイクジプシー」と言われる方を対象にしています。

 ターゲットの皆さんに満足いただける品質にはなっていると思うのですが、まったく新しいタイプの化粧品であるため、すぐには魅力を理解いただけない点をネックに感じていました。

ヤーマン株式会社 営業本部 直販事業部 石橋侑典氏
ヤーマン株式会社 営業本部 直販事業部 石橋侑典氏

――ありがとうございます。次はメディアプランについてシンクリンクの的場さんに伺っていきます。認知施策として、当初はSNSやバナーでの広告施策を中心に運用されていたんですよね。

的場:そうです。動画も活用しながら、Twitter、Facebookでセグメントをかけて配信しターゲットリーチを獲得するところを中心に始めてみました。結果としてリーチ目標は達成できたのですが、リアクションという観点で課題が残りました。

 幅広く認知を得ていく第一段階として各種SNS広告は有効でしたが、ミネラルエアーの場合、スプレータイプという商品特性がもたらす価値を深く理解してもらえなければ魅力が伝わりきらない。単純にリーチを獲得する広告の次の段階が必要だと感じていました。

 そこで、商品の理解を促すための第二段階として、ヤーマンの石橋さんに動画広告配信プラットフォーム「Teads」の導入を提案しました。

広告内でユーザーがアクションするから理解が深まる

――的場さんからTeadsのソリューションを提案され、導入に至った決め手はどこにあったのでしょうか。

石橋:一番はインタラクティブ性の高い、独自のクリエイティブを実現できる点ですね。ここまで動的な広告クリエイティブはなかなかないと思いました。LPに飛ばなくても、広告内の動的な仕掛けを体験するだけでミネラルエアーのベネフィットを体感してもらえることに強い魅力を感じました。

川口:事前に「ミネラルエアーの魅力が伝わりきらない」点が課題だと伺っていたので、CVをゴールとしたものではなく、商品の優位性を伝えるためのクリエイティブ事例を中心に紹介しました。

――Teadsの川口さんにお伺いしますが、ダイナミッククリエイティブ広告は、従来のバナー広告や動画広告とどのような違いがあるのでしょうか。

川口:一番異なるのは、ユーザーの能動的なアクションを促す点です。スワイプやタップをすると広告クリエイティブが変化するので、ユーザーは楽しみながら自然に対象商品を知ることができます。

 たとえば、ファンデーションを吹きかける動作を広告上で体験できるよう、画面をこするとミストが吹き出してメイクが完成してツヤと透明感のある肌が現れる「スクラッチ」というinRead®フォーマットを利用しました。

 また、「スライダー」というフォーマットも利用しました。スライダーでは、ファンデーションを塗布するビフォアー/アフター画像を、画像上のスライドバーを徐々にスライドして切り替えられます。この技法を用いて、ミネラルエアーの特徴の1つである、仕上がりの美しさをアピールすることに重点を置きました。

 当社の広告はプレミアムメディアである活字媒体の記事中に配信されます。記事の途中に設置されている広告バナーは、視認性が高く、当社の場合はユーザーの興味を惹く動的なクリエイティブを実装しているのでエンゲージメント率が高い傾向にあります。

 たとえば、スライダー広告ですと、デフォルトでスライダーがさりげなく左右にゆれることで、操作して動かせることをメディアの読者に自然に気づいてもらいます。このクリエイティブは、非常に高いインタラクション率を記録しました。

 また、今回は「マルチ動画」という手法も活用しています。バナー内に商品の特徴を4つ記載し、各文言をクリックすると解説動画が流れる仕掛けです。

 商品を深く理解いただきたいけれど、1つの枠に情報を盛り込みきれないという場合に有効な手段です。

CTR業界平均が0.06~0.08%程度に対しインタラクション率3%超え

――今回の施策は、商品理解の深度を深めるという、ミドルファネルのエリアを狙ったものだと思うのですが、どのようなKPIを設定されたのでしょうか。

的場:インプレッション、CTR、売上は当然見ているのですが、今回最重要KPIに設定したのは、インタラクション率です。

――インタラクション率というのは、具体的にはどのような指標なのでしょうか。

川口:広告を見たユーザーのうち、広告上で何かしらのアクションを行ったユーザーの割合ですね。Teadsの場合、確実にユーザーの視界に入った場合のみインプレッションとしてカウントしています。また、商品理解のためにはインタラクションや広告接触時間などのKPIが重要とTeadsは考えています。

的場:今回の配信では、かなり高いインタラクション率を記録しました。特に高い数値を出したのがスライダー広告です。業界的に、記事中のバナー広告平均CTRは0.06~0.08%ともいわれる中、インタラクション率が3%を超えました。スクラッチも2%と、非常に良いインタラクション率になりました。

シンクリンク株式会社 代表取締役社長 CEO 的場啓年氏
シンクリンク株式会社 代表取締役社長 CEO 的場啓年氏

 マルチ動画広告に関しては、他2つに比べるとそこそこの結果となりました。まだこのようなUIには慣れていない方が多いということもありますが、クリックするとどのようなアクションが起こるのかがわかりづらいUIになっていたのも影響しているかと考えています。

――全体として非常に高い成果につながった要因はどのような点にあると分析されていますか。

的場:色々な広告に慣れきったユーザーが多い中で、今回のようなTeadsさんのinRead®クリエイティブ広告は目新しさがあったのだと思います。ユーザーのストレスにならないよう、コンテンツ体験を阻害しないように配慮しつつ、クリエイティブのユニークさにもこだわりました。

川口:広告クリエイティブが目立ちすぎると逆に邪魔だと感じられてしまうので、バランスにはかなりこだわりました。当然、配信先の媒体もかなり厳選しましたね。ミネラルエアーのメインターゲットが閲覧するであろう美容系やファッション系のプレミアムメディアを選定しました。

――今回のクリエイティブは、すべてTeads側で制作されたのでしょうか。

川口:そうですね。ロゴや画像、動画などの素材をいただいて、当社で制作しました。各素材に対してどのようなインタラクティブ性を持たせれば効果につながるかについては、3社で深く議論しました。石橋さんからもクリエイティブ案を絵コンテで提案していただいたんですよ。ターゲットを一番理解されている広告主側から積極的に意見をいただけるのはありがたかったです。

 また、それをもとに当社のデザイナーと日々協議してデザインワーク含めてクリエイティブを綿密に設計しました。Teads Studioは広告主様には過重なご負担をかけず、最適化された美麗なクリエイティブを作ることが可能です。この手軽さに好評をいただいています。

 今回担当させていただいたTeads Studioデザイナーの安尾有里左に聞いたのですが、クリエイティブを制作する際には、お客様の商品やサービスの特性を把握し、弊社のフォーマットやたくさんの技法でいかに表現できるかを第一に考えているということでした。 今回は、スプレータイプのめずらしいファンデーションということで、リアルな噴霧感と、スプレー体験をいかに表現するかに力を注いだそうです。

石橋:今回のような広告形式に関わるのははじめてなので、手探りで進めていましたが、こちらの要望にはほとんど応えていただけて感謝しています。

もはや広告ではない!?態度変容・購買につながるVR広告も視野に

――今回の成功をうけて、今後どのような広告施策を展開していこうと考えているのでしょうか。

石橋:課題だった商品理解の促進が実現できましたし、今回のクリエイティブには社内外から反響があり手応えを感じています。今後の希望としては、広告上で化粧品の色味を確かめていただく「バーチャルメイク」にも挑戦したいと考えています。広告をタップしたとき、インナーカメラに自分を映して、実際に肌に載せたときの色味を確認できるようなクリエイティブが実現できないかな、と。

 ミネラルエアーは新しいタイプの化粧品なので、店頭で商品を試していただくことが重要なのですが、実際にお客様に試していただく機会はそれほど多くはありません。なので、広告でバーチャルにタッチアンドトライしてもらえるようにしたいですね。

川口:Teadsではそのようなバーチャルメイクの事例も豊富にあるので、ぜひお力になれればと思います。

的場:商品理解を深めることを目的にしておりましたので、今回実施したTeadsのinRead®クリエイティブは非常に有効だったと感じています。次は、ここからどうやって購買につなげていくかを考えていきたいですね。

Teads Japan 株式会社 アカウントエグゼクティブ 川口瑞浩氏
Teads Japan 株式会社 アカウントエグゼクティブ 川口瑞浩氏

川口:そうですね。広告を体験していただくだけで完結するのではなく自然に購買につなげていくような流れを作っていきたいなと。海外では、体験からカートイン、実購買までの確率をあげていくようなinRead®クリエイティブも登場しています。そのようなインタラクティブなコミュニケーションもTeadsで実現できるので、ぜひ提案させていただきたいです。

 バーチャルメイクに限らず、広告の最終ゴールは、態度変容からの購買です。広告主様の利益が出るまで、当社の技術をフルに採用した最新のクリエイティブをご提案してしっかりアシストしていきたいと考えております。

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/26 11:00 https://markezine.jp/article/detail/31420