SQLを自ら学んで変わったこととは
野崎:ここでツールベンダーであるSATORIに入社したわけですが、その中で具体的に得られたことはありますか。
中野:SQLに触るきっかけですね。また、創業まもない少人数体制の中で、サービス開発を行うエンジニアチームとの技術的な会話もたくさんできました。さらに、自社ツールの利用者分析からサービス改善に貢献したいと考え、少量のデータから情報を抽出するチャレンジを始めました。
人それぞれの行動にIDが付与された生ログデータを目にし、「確かにこの状態であれば人ごとにデータが接続できるかもしれない」いう感覚を覚えました。一方、利用するデータの規則性や突合するIDが不明瞭であれば他データとの接続はできないことも知りました。

野崎:SQLを扱えるマーケターは希少価値が高いです。一から勉強するのは大変だった思うのですが、どのようにして会得していったのでしょうか。
中野:当時は社員数10名弱だったので、隣で開発職の同僚が働いている状況でした。お手本を見て真似しながら、わからない部分は質問を繰り返し、自分が使える表現が増えていくことに成長を感じていました。
野崎:一般的にエージェンシーからツールベンダーに転身すると、扱える商材が自社ツールだけに限定されるため、提案の幅が狭くなってしまいがちですが、キャリアチェンジして失ったと感じるものはありましたか。
中野:自社ツールありきの提案にはなりますが、MAの利用方針も世の中では定まっていませんでした。そのためアクセス解析やネット広告、インサイト発掘の知識をミックスしながらクライアントへの導入を提案していました。
パートナーサイドで抱えていたジレンマとは
野崎:エージェンシーサイドでの経験も活かしたキャリア形成ができていたんですね。そのSATORIからトレジャーデータに移った背景も教えてください。

中野:メンバーズ、SATORIでDMPの輪郭に触れたことで、マーケティング施策としてどう活用できるか具体的なイメージが見えてきていました。そのときに大企業を中心に導入され始め、具体的な活用事例もあるTreasure Dataの将来性を強く感じ、トレジャーデータに転職することになりました。
野崎:トレジャーデータに入社して、これまでの経験が役立った場面はありますか。
中野:複数の広告・マーケティングツールを利用した経験があったため、テクノロジーを組み合わせた施策を実施することに抵抗感なく入っていけました。たとえばFacebook広告とトレジャーデータの機能を併用して、自分自身でクエリを書きながらFacebookにセグメントを連携し、広告施策を実施するような施策ができました。マーケティング視点とデータ分析スキルを駆使して、効果を高める施策を考えられるようになったんです。
野崎:そして、現在ZOZOテクノロジーズに所属しているわけですが、ずっとパートナーサイドに従事していたところから、事業者サイドに移行したのはなぜでしょうか。
中野:パートナーサイドは様々なクライアント課題に関わり幅広い人との出会いもあり、やりがいのある仕事でした。ただ多少のジレンマを感じる部分もありました。エージェンシー、ツールベンダーでは施策ごとに“点の最適化”を行うため、生活者行動の連続性を意識できずにいました。そこで広い視点で感触を確かめながら、売上の改善につながる感覚を作るために今の環境に飛び込みました。
ZOZOの持つデータで売上を向上させる
野崎:続いて、ZOZOテクノロジーズでどのようなことをしているか教えてください。
中野:開発部のデータチームに所属し、ZOZOTOWNのデータから売上改善施策の種を探しています。広告・マーケティングに関するスキルを活用し仮説を作りながら、SQLを利用してデータ抽出や分析作業を行います。たとえば、メールやプッシュ通知を活用したクーポン施策でどこに改善点があるのか分析し、各チームと連携しプロジェクトを進行しています。